金魚は雨の日、眠いのか
「犬か猫を飼いたいけど、一人暮らしで留守が多いので、可哀想で飼えない」という友人に、いま熱心にすすめているのが、金魚。意外になつくし、しっぽをふっておねだり(?)もします。
雨など、空がどんよりしている日は、頭が重く、やたら眠くなりがち。だが、そんな自分よりも雨の日にふさいだ様子なのが、わが家の金魚である。


天気の悪い日は、一日中ぼけーっとして、やたらアクビをしたり(※長く大きく口をあけているときは、アクビといわれている)、砂利に腰を(腹を?)おろしていることもしばしば。

それにしても、水中で暮らす金魚が、天候の影響を受けるというのもおかしな話だが、これってよくあること?
以前、金魚ネタで取材したエサメーカーの株式会社キョーリン・屋宜さんに聞いてみると、
「天候というより、水温が下がると動きが鈍くなって、あまりエサを食べないということはありますね」
ということだった。

雨の日は、寒いことも多いので、水温の影響だったのか……と思っていると、こんな説明が。
「ただし、暗い状態で飼っていると、あまり動かないですね。金魚が病気になると、体力を消耗しないよう、暗幕をかぶせて動かないようにしてあげることもありますので」
やっぱり暗いと、眠いものなのか!? 実は、金魚にも一人前に「1日のリズム」というものがあるそうで、それをつくるのは、明るさだという。
「自然光が入るのが理想ではありますが、そうでない場合、昼間は数時間ライトをつけてあげて、一定のリズムをつくってあげたほうが良いですよ」

また、逆に、ずっとライトをつけっぱなしだと、「時差ボケ」状態になり、ストレスにもつながるのだそうだ。
以前、金魚を一時的にトイレで飼っていたことがあったのだけれど、電気がカチカチ点灯するのは、ストレスだったのね……ごめんよ。

ところで、1日中、人間をいとおしそうに(?)見つめ、ごはんを催促しては踊る様を見ていると、不憫に思えて「何か娯楽でもないのか」と、心が痛む。
なかには、水槽に家がわりの鉢を入れたり、貝などを飾る飼い主もいるけど、そういうのもアリ?
「金魚にとっては、エサを食べることがいちばんの娯楽です。水草ならエサにもなるから良いですが、他のものはちょっと(苦笑)。モノに隠れたりすると安心することもあるかもしれませんが、アクセサリーなどは人間が見て楽しむことの意義が大きいのではないかと。金魚にとっては広々と泳げることのほうが大事ですね」

ところで、眠ってばかりだった冬から、暖かくなるにつれ、生き生きしてきている金魚たち。
もしや産卵するのでは? と、ほんのり期待してしまうが……。
「春先になると、家庭でも、卵を産むチャンスはあります。違う品種のかけあわせも可能ですよ」

ちなみに、オスとメスの見分け方は、行動パターンでいくと、追いかけるほうがオスで、追いかけられているほうがメスのケースが多いそうだ。また、素人目にはわかりにくいが、お尻の穴のかたちでも、「細い楕円=オス」「丸くて大きい=メス」の区別があるという。
いわれてみると、我が家の2匹の金魚は、常に追いかける側・追いかけられる側が決まっているけど、もしかして……?
にわかに、金魚たちの動向を、孫を心待ちにする姑のような気分で見守ってしまうのでした。
(田幸和歌子)