振替輸送って今さらだけどどんな仕組み? SuicaやPASMOは対象外
新年度、新たな学校や職場へ通うことになった人も多いだろう。朝は混雑のために電車のダイヤも乱れがち。
ぜひ余裕を持って出かけたいところだ。

ところで、駅でたまに目にするのが、「振替輸送」という文字。「○○駅で人身事故が起きた影響でダイヤが乱れており、〜線で振替輸送を行っております」といった感じのメッセージが電光掲示板に流れている。

振替輸送とはその名の通り、ある区間で電車の運転に支障が出た場合、他の鉄道会社を使って目的地に行けるようにするもの。でも、その仕組みや利用方法って実はよく知らない人もいるのでは?  

そこで東京メトロの広報担当者にお話を聞いてみることに。まず振替輸送が行われるのはどんな時?
「電車が完全に止まってしまったとき、そして事故や災害などの影響で大幅にダイヤが乱れているときにも行います」
実は、“この区間で支障が出たときは、この鉄道会社に振替輸送を依頼する”という基本的なルールはあらかじめ鉄道会社同士間で決めてあり、それに基づいて振替輸送が行われるのだそう。

ただ列車の運転に支障があれば、必ず振替輸送が実施されるかといえばそうでもなく、
「どうしても振替輸送ができない路線など、やむをえない場合もあります」
確かにその区間に、ほかに振り替えられる路線が運行していなければどうしようもない。とはいえ東京メトロの運行区間ではほとんどその心配はいらないようだが。

意外だったのは、SuicaやPASMOは振替輸送の対象外だということ。
「振替輸送とは、あらかじめ目的地が決まっていて、すでに乗車券を購入いただいたお客さまに対して行うものですので……」
そのためSuicaやPASMOであっても、定期券の乗車区間内であれば対象だ。言われてみればそうかと思うのだが、別の路線を使うことで料金が高くなるのはちょっと悔しい……、なんて言っても仕方ないか。当然ながら乗車券を持っていない人も対象外だ。
ただJR西日本のICOCAの場合、一度ICOCAを使って入場していれば振替輸送の対象になる(約款が違うため)。

実際に振替輸送を利用するには、列車の運転に支障が出た駅で「振替乗車票」をもらえばよい。ただし必ずしも支障が出た駅まで行かなければならないわけではなく、東京メトロでは同じ路線の駅では配布しているそう。いずれにしても振替輸送が行われるようなときは、なんらかのトラブルなどが発生しており通常の運行状態ではないため、ケースバイケースなことも多いようだ。実は私はこれまで振替輸送に出くわしたことはないのだが、利用者は多いとのこと。

振替輸送ができるほど列車が走っていなかった田舎出身の私にとっては、振替輸送というシステムがあること自体にも、東京の都会さを実感せずにはいられません。
(古屋江美子)
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