ファンケルの高機能スキンケアブランド「BRANCHIC(ブランシック)」が8月1日、天猫(Tmall)や京東(JD.com)、抖音(Douyin)など中国の電子商取引(EC)チャネルに開設していたオンライン旗艦店を全て閉鎖した。事実上の中国市場撤退となる。
ブランシックは2021年に誕生したブランドで、エステサロン級の洗顔料や美容液などを打ち出している。22年には中国市場に参入し、天猫のECセール「ダブルイレブン(11月11日)」では、海外ブランドの美容液売り上げランキングで上位に入った。しかし、24年以降は発信力や販売実績が低迷。現在の中国向けオンライン旗艦店のフォロワーは約2万6000人にとどまる。
ファンケルは、ブランシックの中国市場撤退は事業再編に伴うものだとした上で、日本国内での販売は継続すると説明した。中国では近年、福島第一原発の処理水放出をめぐって消費者感情が悪化し、日本のブランドに対する受容度が低下している。加えて、ブランドの現地化戦略などが不十分だったため、今回の撤退は不可避だったとの見方もある。
同社はキリンHDによる株式公開買い付け(TOB)が成立し、2024年12月18日に上場廃止となったため、25年3月期決算を発表していないが、中国など海外向け化粧品事業の売上高は不調だったとみられる。
2024年以降、日本を含む海外の化粧品ブランドが相次いで中国市場から撤退している。中国国産ブランドの台頭で消費者意識が変化するなか、日本ブランドが今後も中国市場で存在感を保てるかは不透明だ。
(36Kr Japan編集部)