AI×介護、中国で急成長 リハビリシステムやスマート介護住宅が展示

中国では人工知能(AI)技術とロボット製品の急速な発展に伴い、AIと介護機能を組み合わせた製品が次々と登場している。重慶市でこのほど開催された2025年世界スマート産業博覧会では、介護ロボットや医療リハビリシステム、スマート介護住宅などのハイテク製品が大きな注目を集めた。

スマート歩行ロボットのデモンストレーション

展示会場では、両腕を広げた車輪付きロボットが多くの来場者の目を引いていた。

IT大手、騰訊控股(テンセント)傘下のロボット研究組織「Robotics X実験室」の李陽陽プロジェクト・マネジャーによると、これは同実験室が独自に開発した介護ロボット「小五」で、主に介護現場での使用を想定しており、高齢者の起き上がりや車いす介助、宅配便の受け取りなどの支援ができる。

李さんは「2024年から『小五』は深圳市内のある介護施設で試験運用を始めており、介護スタッフの日常的な高齢者ケアを支援しているが、効果も反響もよい」と語った。

「小五」は人間の歩行や障害物跨ぎといった動作を模倣できるだけでなく、平坦な場所では車輪による滑走も可能。両腕は自在に動かすことができる。

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李さんによると、このロボットはバイオニック技術に視覚や触覚、力覚(りきかく)などの感知技術を融合させ、複数のセンサーと大面積の触覚を持つ皮膚も備えている。これにより、高齢者をケアする際、より安全で安定した触れ合いが可能になるという。

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別の展示エリアでは、中医学(中国伝統医学)の理念を取り入れたデジタル医療システムが来場者を「診察」していた。現場の担当者によると、このシステムは「AI舌診デバイス」と呼ばれ、深層学習とアルゴリズム分析で人々の舌の特徴を分析、中医学の理論と現場で収集した画像を組み合わせて体験者に健康評価レポートを提供する。

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会場にはスマート家電や家具、照明、入浴補助設備など、高齢者向けに開発されたシニアフレンドリーな製品も多数展示されていた。これらの製品には、先端技術に加え、細部に至るまで人間味あふれる配慮が見られた。【新華社重慶】

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