石川遼が20日から始まる米ツアー、「WGC‐メキシコ選手権」と翌週の「ザ・ホンダ・クラシック」の出場が決まりました。東京五輪出場を目指す石川遼は、上位に食い込んで世界ランキングを上げることができるのか。
米ツアーに参戦していた頃に、ゴルフ雑誌ALBAの編集者として取材した思い出を振り返ってみたいと思います。
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2015年、「ファーマーズ・インシュランス・オープン」(米カリフォルニア州・トリーパインズGC)で取材したときの話。テーマは“飛ばし”で、「インパクトの力みこそ飛ばしの奥義!」と打ち出しました。取材に指定されていた日は朝から濃霧で、話は聞けても写真の背景は真っ白け。しかも我々が約束していたのは練習ラウンドの前半だったため、カメラマンと2人で困っていると、遼くんから「ハーフ回った後でもいいですよ」とうれしい提案がありました。
霧が晴れて真っ青な空が表れたところで取材がスタート。
「アドレスから力を入れてしまうと、ヘッドは走りません。僕はゆるゆるで握っておいてインパクトの瞬間だけ指をギュッと締めています。そうすることで手元にブレーキがかかって、シャフトのしなりが使える。ヘッドが一気に加速して強いボールが打てるんです」と教えてくれました。
アドレスでグリップを握る強さは10段階で3だが、インパクトの瞬間は8くらいの強さで握るという。特に大事なのは、ヘッドから一番遠い左手。
小指、薬指、中指の順番でグリップを締めることで、ヘッドが加速します。そこで取材魂が働き、インパクトで左手をギュッと握る動きを練習する方法はないものかと遼くんに投げかけてみました。
「僕は毎日お風呂で練習していますよ。頭の中でスイングをイメージして、インパクトの瞬間に“片手水鉄砲”で水を飛ばすんです。小指側から力を入れると、親指側からピュッと水が飛ぶ。両方やったほうがいいけど、やっぱり左手が大事ですね」。

グリップする指の間に隙間があると、シャフトのしなりは使えない。水鉄砲でも指に隙間があると、水を遠くに飛ばせないので、指に隙間を作らずに握る練習にもなる。水を逃がさなければ、パワーも逃げないというわけです。
取材は一日の約束でしたが、何としても石川遼の“片手水鉄砲”が見てみたくなりました。翌日、アメリカのスーパーで探してきた大きめの透明なボウルと、それを入れていたビニール袋にタプンタプンと水を入れて持ち歩き、撮影のチャンスを待つことに。そして、練習終わりに“片手水鉄砲”の提案をすると、コースの駐車場で快く撮影に応じてくれました。
そのときの写真がコレです。
移動日で練習場やコースに行く時間がなくても、お風呂なら毎日できます。24時間ゴルフのことを考えていたからこそのユニークな練習法だと思いました。取材後、私もこの写真のイメージで“片手水鉄砲”をやってみましたが、うまく水を飛ばせませんでした。ヘッドスピードの割にボールが飛ばないのは、そのせいかもしれませんね。

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