疲れを見せず 小祝さくらがメジャーの舞台に登場【写真】
妊娠しても試合に出場し、出産後も子供を連れて転戦するのは、米ツアーでは珍しいことではない。それができるのは、毎試合、プレー中に子供を預けられる“チャイルドケア”というシステムが確立しているから。25年も前からのことで、しっかりとスポンサーもついている。
米ツアーでプレーしたことがある日本の女子プロたちは、これに驚く。
幸せの物さしは人それぞれ。節目、節目に自分で決断し、人生のレールを敷いて行くのは当然のことだ。
もちろん、アスリートの場合、しばらくのあいだブランクができてしまうことや、肉体的な変化というハンデを負うことを第一に考えるのは当然だ。しかし、それでも妊娠、出産を選び、カムバックしようとしたときに、それができる環境がないのでは、成熟した組織とはいえない。この部分を考えただけでも、日本の女子ツアーは米国に四半世紀も遅れを取っている。
日本の女子ツアーは年々若年化が進むとともに、早く第一線を離れる選手が増えている。ジュニア時代からゴルフ一筋だったため、早くそこから離れたい、という者が多いという事情もあるが、前述のように妊娠、出産を望んだ時に試合に戻れる環境がないことも大きい。ベビーシッターを雇う場合もないわけではないが、まだまだパートナーや双方の両親、祖父母、姉妹などのサポートに頼るしかないのが実情だ。
男性だったらどうだろうか。男性自身が妊娠したり、出産したりすることはできないが、子供ができたからといって仕事を辞めることはめったにない。ようやく男性も育休を使うことが増えては来ているが、それでも「子供ができた」といって「仕事どうする?」と聞かれることもない。子供ができても働くのは当たり前だし、子育てに少しでもかかわると“イクメン”などと讃えられたりする。子育てを“手伝う”などとんでもない話で、親として一緒にしていくのが当然だという意見もあるのに…。
こうしてゴルフの世界に限らず、日本はいつまでたっても“おっさん社会”から抜け切れない。
横峯は、若いころから「結婚したらゴルフはやめる」と公言していたが、結婚後、夫の助言で米ツアーに挑んでから、ゴルフがどんどん好きになったと話していたことを思い出す。だからこそ、34歳での妊娠発表でも、同時に2021年後半でのツアー復帰の意向だ。日米両ツアーでプレーし、米国での優勝、そして日本での永久シード(通算30勝)という目標も掲げているのだろう。
生涯スポーツであるゴルフ。
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