2020年のステップ・アップ・ツアー最終戦となった11月の「カストロールレディース」会場に、3番ウッド(スプーン)を握って気持ちよくティショットを放つ堀琴音の姿があった。「スプーンだと違和感なく振り抜ける。
(飛距離も)ドライバーと大して変わらないですね。このスプーン飛ぶんですよ」。そう言ってニコリと笑う。
“雰囲気”がガラリ 堀琴音のパーティウェア姿
QTランク164位で臨んだ今年のシーズンは、レギュラーツアー3試合、ステップ・アップ・ツアー5試合に出場。レギュラーで予選通過を果たすことはできなかったが、ステップでは10月の「かねひで美やらびオープン」11位タイ、そしてカストロール6位タイと、しり上がりの状態で1年を終えることができた。
「(カストロールでは)ティショットの時にスプーンを多めに使ったおかげで、フェアウェイから打てる場面がたくさんありました。
そこからだとゴルフが楽で。フェアウェイからなら問題がないんだなって、1つ自信が増えました」。1年の最後に、来年へとつながる“選択肢”を得ることもできた。
堀が賞金シードを失ったのは18年シーズンのこと。ドライバー不振がたたり、賞金ランク114位に終わったのがこの年だった。そこまでは順調なキャリアを歩んだ。
14年にプロテストに合格すると、翌15年には賞金ランク33位(約2930万円獲得)となり、シード選手の仲間入りを果たした。16年も、当時アマチュアだった畑岡奈紗に一歩及ばなかったものの「日本女子オープン」で2位になるなど活躍。キャリアハイとなる約7052万円(賞金ランク11位)を稼ぎだした。
しかしシードから陥落した18年、さらに19年とここ数年は苦しいシーズンを過ごしている。昨年の獲得賞金は42万6000円でランク150位。QTでも結果を残すことができず、今はステップ・アップ・ツアーを主戦場に“再浮上”の糸口を探している。

そんな堀にとって、新型コロナウイルスの影響により大会中止が続くことになった2020年は「ゴルフをしていいのかなと考えさせられた1年。職場がないことは悲しいこと。それについてすごく考えさせられました」という年になった。自粛期間中は他の選手同様、練習も満足にできず、週に数回のラウンドで試合勘を維持するのが精いっぱいという状況。そのなかで「ゴルフができるのは当たり前のことではないんだな」という思いを強く持つことになった。
だが、一方で「体を軟らかくするためのメニューや、鍼治療などをする時間ができました」と、これまで着手できなかったケアなどに取り組むこともできる時間にもなった。
今冬もそこは継続し、同時に「自分に合うドライバーを探していきたいですね」と完全復調に向けた時間を過ごしていく。
先日行われた増枠予選会(QT)ではファイナルステージまでコマを進めたものの、出場権を確保するまでには至らなかった。そのため来年もステップに軸足を置きつつ、残された推薦枠も活用しレギュラーでも戦い、まずは第1回リランキング突破を目指していくことになる。もちろん今頭に置いている目標は「賞金シード復帰」。未曾有(みぞう)の1年のなかで得た“自信”を、来年結果という形で実らせたい。

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