黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に防災・危機管理アドバイザーの山村武彦が出演。コロナ禍における防災のあり方について語った。
山村武彦
黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺う「あさナビ」、今週のゲストは防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんです。新型コロナウイルスで自粛になりましたけれども、新型コロナと避難所の対策については、どのように考えていらっしゃいますか?
山村)自治体としては、大わらわで避難所対策を改善しようとしているところです。特に、避難所の環境改善が必要です。従来であれば避難所に収容できる人数として、体育館で500人を収容できたとしても、3密を防ぐために一定の収容面積を決め、通路も幅を広くとると半数以下の収容人数になってしまう。200人程度しか収容できない、ということになるのです。そもそも日本の避難所はかなり劣悪な環境のなかにありまして、例えば一部の避難所では「立って半畳、寝て一畳。雨露凌げばそれで頂上」と言われるくらいに、1人あたりの専有面積が1平方メートル~2平方メートル程度というところもあります。でも3密を避けてソーシャルディスタンスを取ろうとすれば、1人あたりの専有面積は4平方メートル程度ないと無理なのです。従来の避難所のスペースだけでは足りないので、教室を解放しようとか、公共施設の指定をするというような対応策を考えているところです。
黒木)数を増やすと言っても、場所の問題などもありますし、密になるかも知れないということを恐れて、避難しない人が出て来るかも知れませんよね。
山村)避難しなければいけない人が避難をためらってしまって逃げ遅れたら、それこそ本末転倒です。「難を逃れる」ということを第一に行動しなくてはいけない。
黒木)どうしたらいいですか?
山村)それをこれから準備してやらなくてはならない。心構えとして、まずは家族で防災会議を開き、我が家の安全を確認すること。せめて自分の家は安全なのかどうか、もし安全であれば、家のなかで暮らせる準備には何が必要なのか、そういうことを家族で話し合うところから始めることだと思います。
黒木)防災家族会議ですね。

山村武彦
山村武彦(やまむら・たけひこ)/防災・危機管理アドバイザー
■1943年、東京都生まれ。防災システム研究所所長。
■1964年、学生時代に遭遇した「新潟地震」でのボランティア活動を契機に、防災システム研究所を設立。
■その後、50年以上にわたり世界中で発生する地震・津波・風水害・火災・竜巻・山火事・テロ・感染症など、200ヵ所以上の現地調査を実施。
■その知見を活かし、全国で1000回を超える大手企業の防災顧問や危機管理マニュアル、災害発生時の事業継続計画策定に参画。また防災・危機管理に関する講演活動も積極的に展開している。
■実践的防災・危機管理の第一人者と言われ、実践的な防災対策の在り方について提案し続けると共に、実戦で役立つ防災・安全機器を多数開発している。
■伝えたいメッセージは……
「安全は与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものである」
「防災とは、大切なものを、最後まで守り抜くこと」
「防災とは、被害者・加害者・傍観者にならないためのモラルである」
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