老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、短時間パートで社会保険に加入していない場合、厚生年金にどのような影響があるのかについて解説します。

■Q:週3日・1日4時間のパート勤務です。社会保険の加入条件を満たさない場合、厚生年金は増えませんか?
「65歳から週3日、1日4時間のパートをしています。社会保険には入っていません。このまま働き続けても、厚生年金は増えないのでしょうか」(Sさん)

■A:現在の働き方で厚生年金に加入していない場合、今後の年金額は基本的に増えません
厚生年金の受給額は、「現役時代の収入(平均標準報酬額など)」と「厚生年金の加入期間」によって決まります。

そのため、働きながら厚生年金保険料を納めている場合は、加入期間が増えることで、将来受け取る老齢厚生年金も少しずつ増えていきます。65歳以降に、基準日の9月1日において厚生年金へ加入して働いている場合は、「在職定時改定」により、毎年10月に前年9月から当年8月までの加入実績が年金額へ反映されます。

一方で、社会保険に加入していない場合は、厚生年金保険料を納めていないため、どれだけ長く働いても、厚生年金の加入実績として積み上がることはありません。

Sさんは、週3日・1日4時間勤務とのことですので、週の労働時間は合計12時間になります。現在の社会保険の加入条件である「週20時間以上」を満たしていないため、この働き方では厚生年金には加入できず、将来の年金額も基本的には増えません。

ただし、短時間パートへの社会保険適用は、今後さらに拡大される予定です。


2026年10月からは、現在ある「月額賃金8万8000円以上」という賃金要件(いわゆる106万円の壁)が撤廃される予定です。これにより、給与額にかかわらず、週20時間以上働けば社会保険の加入対象となる方向で制度改正が進められています。

さらに、2027年10月からは、現在の「従業員数51人以上」という企業規模要件も撤廃される予定です。そのため、企業規模にかかわらず、週20時間以上働くパート・アルバイトの多くが社会保険の対象になる見込みです。

もし将来の年金額を増やしたい場合は、働く時間を増やして週20時間以上にする方法があります。例えば、1日4時間勤務のままであれば週5日勤務にする、あるいは1日5時間勤務なら週4日にするなどで、社会保険加入の対象になる可能性があります。

一方で、社会保険に加入しない働き方には、「厚生年金保険料や健康保険料が給与から引かれないため、手取り額を確保しやすい」という面もあります。

そのため、「今の手取りを重視するか」「将来の年金額を増やすか」は、働き方を考えるうえで大切なポイントになります。

2026年以降は制度改正によって短時間パートの社会保険加入が広がる予定ですので、今後の働き方を考える際には、「週20時間」というラインが1つの目安になるでしょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

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