梶裕貴が主演男優賞、二年連続!
「魂を、心臓を捧げて頑張っていきたい」。
主演女優賞の佐藤利奈「先輩の背中を追いかけて真摯に初心忘れず」。


[取材:高浩美]
第八回声優アワード授賞式が文化放送のメディアプラスホールで盛大に行われた。あいにくの曇り空、時折雨模様ではあったが、会場は“快晴”。司会は文化放送アナウンサーの長谷川のび太と石川真紀。長谷川は第一回からずっと司会を担当。オープニングのアテーション終了後、順次トロフィー授与が行われた。

■ 新人賞声優3人にプレゼンターの小原乃梨子「初々しいのでビビっています(笑)」
歌唱賞の宮野真守、心意気を白のスーツでビシッと。

新人賞のプレゼンターは小原乃梨子。新人賞受賞の石川界人山下大輝内田真礼は緊張の面持ちでトロフィーを受け取った。
小原は「初々しいのでちょっとビビっています(笑)」と会場の笑いを誘ったところはさすが。石川界人は「恐縮です。未熟な僕がこのような賞をいただけるとは思ってもみませんでした……みんなで取ったようなものです。皆さんに顔向け出来るように頑張っていきたいです」と挨拶。

続いて山下大輝は「この賞は僕一人の力で取った訳ではありません……先輩達のような素敵な役者になれるように精一杯頑張っていきたいと思います」とはにかみながら喜びを語った。内田真礼は「作品と向き合って、ぶつかって、キャラクターと向き合うことを教えて下さったのはたくさんの先輩達でした」とコメント。3人の新人らしい発言に会場は暖かい拍手に包まれた。

続いて歌唱賞の宮野真守が真っ白のスーツをビシッと決めて颯爽とステージに登場。2008年にメジャーデビューし、男性声優で初めての武道館ソロコンサートを成功させた宮野だが、実は2012年にST☆RISHの一人として歌唱賞を受賞している。
宮野は「このたびは栄えある賞をいただき光栄です」と挨拶。「私は歌い手としては全然……本当に未熟で、支えてくださっているファンの皆様、スタッフ、そして素晴らしい楽曲を創ってくださっているクリエイターの皆さんの支えがあって受賞出来たと思っております。声優・宮野真守だからこそ、歌える歌、そして声優としてのパフォーマンスを目指して精進してまいります」と挨拶。2
008年に第二回声優アワード主演男優賞、2012年では第六回声優アワード助演男優賞という受賞歴、さすがの貫禄であった。

■ 心温まるコメント、比嘉久美子「笑顔、想いをつなげていきたい」、
三木眞一郎「愛する相方と、息子が支えてくれた」、
三石琴乃「トロフィーは主人と娘に」

キッズファミリー賞の比嘉久美子は艶やかなドレス姿で登場。「作品に関わるたくさんの方の大切な想いがつながって私をこの場所に運んでくれて、喜びで胸がいっぱいです。たくさんの笑顔になるために、皆さんの私の大切な想いをつなげていきたいなと思います」と優しい人柄が感じられるコメント。
キッズファミリー賞にふさわしいコメントで会場は温かい空気に包まれた。
シナジー賞は『ガールズ&パンツァー』、代表して西住みほを演じている渕上舞がステージに上がった。「この作品に関わった皆様、物語の縁となります大洗町の皆様、みんながこの作品を盛り上げてこの素晴らしい賞をいただきました」と挨拶した。

富山敬賞は2010年に第四回声優アワードでは助演男優賞に輝いている三木眞一郎。近年は活動の幅も広げ精力的に行っている。三木は「この賞をいただけて今、自分がここに立てるのは両親が産んで育ててくれたから。愛する息子が支えてくれて、そんな僕の背中を押して応援して下さる皆さんがいらしたから。この賞に恥じないように精進いたします」とやや緊張の面持ちで挨拶。
高橋和枝賞の三石琴乃は明るい色の着物姿でステージに。「声優として女性が長く続けるのは大変ですが……これからも風邪を引かないように頑張りたいです。今日の、このトロフィーはいつも影ながら支えてくれている主人と娘に渡したいです」とどちらも“家族思い”な発言。人柄が感じられる両人のコメントに大きな拍手が送られた。


■ 大ベテランのユーモアに脱帽。キートン山田「もらえるものはもらっとく」、納谷六朗「今年で81、下さった方も81」、作品の偉大さアンパンマン、戸田恵子「喪失感が大きい」、中尾隆聖「25年間やらせていただいています。素敵なキャラクターと出会えた」

続いて大ベテランの登場、功労賞のキートン山田は「僕はまだ中堅でございます」の発言にドッと笑いが。あの語り口調で「人生は後半に続く」とここでも会場は大ウケ。シメの言葉は「(ある方から)もらえるものはもらっとけと言われました」、会場を終始笑わせてくれた。
その後をうけての納谷六朗も「今年で81、(賞を)下さった方が81(プロデュース)の社長」とコメントで対抗、ベテラン声優のトークの巧みさの“競演”はさすがであった。

特別賞『アンパンマン』は代表してアンパンマン役の戸田恵子とバイキンマン役の中尾隆聖。戸田恵子は黒のパンツスーツに赤のネクタイ、中尾隆聖はグレーの蝶ネクタイ。
戸田は「キートン山田さんが中堅なら、私は新人でございます」と挨拶。原作者のやなせたかし氏が他界した直後は「喪失感がとても大きくて……」と気持ちはふさぎ込みがちだったようだが、アンパンマンのイベントで子供たちとのふれあいを通して、気持ちが新たになったと語った。
中尾は「25年間やらせていただいています。素敵なキャラクターと出会えた」と作者への感謝の言葉を述べた。
ロングセラー作品にふさわしい両人のコメント。アンパンマンの作品としての偉大さにあふれたコメントであった。

■ 他界したベテラン声優に想いを馳せる、故内海賢二の奥様野村道子「(夫が)夢に出てこないのは向こうが忙しいから」

特別功労賞は故人に送られる賞、故内海賢二の奥様で自身も声優で磯野ワカメ役としてもおなじみの野村道子がステージに。「去年から今年にかけていろんな方が逝きました。最近(夫が)夢に出てこないのはきっと向こうが忙しいからだと思います」とユーモアあふれるコメント。
続いて、故来宮良子、2008年には第二回声優アワード功労賞を授賞しているが昨年に惜しくも他界。所属事務所の俳協の理事長田代利之がステージに上がった「第二回声優アワードで功労賞をいただきまして、そのときに一言、“私、何にもしてないわよ”と。今日もこのことを報告いたしますが“恥ずかしい”というんじゃないかと思います。昨年11月25日に亡くなりまして、およそ60年間にわたる俳優人生、声優人生、ナレーション人生と完走いたしました。」と挨拶した。

その後、スクリーンには映像演出で昨年から今年にかけて他界した声優の名前と共に読み上げられた。
いずれも声優という職業の確立と地位向上に努めたベテランばかり。ほんのささやかな短い時間ではあったが、来場者は遠くに逝ってしまった故人たちの歩みに想いを馳せる瞬間でもあった。
 

■ 助演男優賞、細谷佳正「実感がない」、
助演女優賞、石川由依「充実した1年」声優アワード常連“レジェンド”神谷「ひとつひとつの台詞に真剣に向き合う」

次に助演男優賞の細谷佳正が登場「授賞が決まった時は全然実感が湧かなくて……スタッフの方々が“よかったね”と喜んでくださったのが個人的には嬉しかったです」とコメント、「今日一日は大いに喜んで、明日から仕事、頑張ります!」と元気にシメた。
助演女優賞の石川由依はブラウンのドレス姿、白い髪飾りが華やさを添えていた。「2013年は私にとって凄く充実した一年でした」と振り返った。「『進撃の巨人』や素晴らしい先輩方に出会えて、素晴らしい一年でした。ただ、あまりにも新しいことをたくさんやらせていただいたので、自分のことで頭がいっぱいいっぱいで振り返る余裕もなく……ただ、この賞をいただいたことで改めて皆さんに感謝の言葉を述べる機会が与えられたと思っています」と語った。

そして最多得票賞は3年連続で神谷浩史が授賞。思えば2008年の第二回声優アワードサブキャラクター男優賞から始まり、2009年は第三回声優アワード主演男優賞とパーソナリティ賞。この受賞歴はもう“レジェンド”とも言える神谷。仕事の都合で登壇はかなわなかったが、所属事務所から本人のコメントが読み上げられた。
「……ひとつひとつの台詞に真剣に向き合ってきた結果としてこのような形で賞をいただき、声優という誇りある仕事を続けていく上で無上の励みとなります。生涯現役を目指し、日々精進していきたいと思います」というフレーズから神谷の声優という仕事に対する情熱が感じられた。
代理で登壇した所属事務所青二プロダクションの池田克明執行役員は「業界発展のために声優、スタッフ一同、頑張ります」とコメント。


■ 梶裕貴「ご縁の大切さを知った」、
佐藤利奈「ツイッターでたくさんの方が祝福のコメントをくださいました」

いよいよラスト、主演男優賞の梶裕貴、昨年に引き続きの主演男優賞、2年連続はこの声優アワードが始まって以来の快挙。梶裕貴は水玉模様の蝶ネクタイで登壇、「一年前、この賞をいただいた時、またこの賞をいただくのはなかなか難しいんじゃないかなと思っておりました……昨年一年は改めてご縁の大きさと大切さを知ることができました。これからもひとつひとつの作品、役の出会いを大切に、新しく出会う共演者、スタッフの方、皆さんとの出会い、全てを大切にして一人の役者としてしっかりと……魂を、心臓を捧げて頑張っていきたいと思います」と力強く挨拶。
2009年に第三回声優アワード新人男優賞を、そして昨年、今年と2年連続の主演男優賞という“金メダル”、重みを感じさせるコメントであった。

続いて主演女優賞の佐藤利奈は花柄の華やかな振り袖姿でやや緊張の面持ちでステージに。「正直、この主演女優賞というお話をうかがって、私がいただいてよいものかどうかずっと不安に昨日の夜まで思っていました……この賞が発表された生放送を聞きながら、ウチのスタッフが電話をしてくれました……スタッフ全員でお祝いしてくれました。とても愛すべき家族のようなスタッフに恵まれ、私はツイッターをやっているのですが、ツイッター上でもたくさんの方が祝福のコメントをくださいました。“自分のことのように嬉しいです、涙がでました”というコメントを読んで、ひしひしと私も涙が出ました……」と感無量の様子。「先輩の背中は果てしなく遠く、私なんてひよっこ……その先輩の背中を追いかけて真摯に初心忘れず、まわりの方々を大切にして一生懸命精進していきたいと思います」と語った。

インターネット上での一般投票は約7万以上。今後、インターネット上での投票が増えることは容易に想像出来る。現在、声優人気は世界に広がりつつある。“世界の声優アワード”目指して、このアワードがますます意味のあるアワードに成長するであろう、そんな未来を想像出来る一日であった。
ますます“声優”から目が離せない。

なお、この様子は、3月19日(水)に、TOKYO MX「響け!声優アワード スペシャル特番2014」で放送が、dアニメストア「第八回声優アワード」では特集が組まれている。

声優アワード 公式サイト
http://www.seiyuawards.jp
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