そんな群雄割拠の春アニメのなかから、今回は「今後ますます面白くなっていくであろう3作品」をピックアップ。異世界ギャグの異端児『勇者の肋骨』、すれ違う青春が可愛い学園ラブコメ『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』、そしてワードセンスとリアリティが光る会話劇『霧尾ファンクラブ』。
この3作は、いずれもジャンルの“フォーマット”から一歩踏み出した作品たちだ。それぞれの試みやユーモア、演出の新しさに注目しながら、この1か月で見えてきた魅力を紹介していきたい。
◆画作が秀逸!転生の“常識”を突き破る実験作!『女神「異世界転生何になりたいですか」俺「勇者の肋骨で」』
異世界系のアニメ作品は、追放、スローライフ、婚約破棄、悪役令嬢、領地経営など様々なジャンルを生み出し先鋭化しながら、その作品数を増やし続けているが、その中でも異色の作品がこの『勇者の肋骨』である。
本作、『勇者の肋骨』というタイトルの通り、主人公は最初勇者の肋骨に転生するのだが、驚くべきことに、その後また別の対象に転生し、翌週にはまた別の対象に転生するのを繰り返す異色のフォーマットを展開している。転生後に経験したできごとを女神さまに報告するという体をとり、女神さまが主人公の報告にツッコミを入れながら進んでいく。
主人公は「勇者の肋骨」や「ヤドカリ」、「魔王城の扉(右)」といった、普通なら転生したくない対象に次々と転生していく。その時点で本作はすでに異色の設定をもっているのだが、この作品の異常性はそれだけにとどまらない。単に人外や無生物に転生するだけなら、『蜘蛛ですが、なにか?』や『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う。』といった先例がすでに存在する。
毎話毎話独自の映像を展開していく実験的な自由さ、そしてダウナーなツッコミを入れながら一緒に異世界アニメを見てくれる女神さまのキャラクター性を合わせて、今までにない異世界モノになっている。
◆真面目すぎる風紀委員といじらしい女子高生の青春ラブコメ『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』
ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話。度が過ぎるほど真面目で鈍感な風紀委員の桜大門統悟(さくらだいもんとうご)と、派手な格好をするものの子どもらしい可愛らしさと純真さを持ついじっぱりな女子高生の小日向微笑(こひなたぽえむ)のふたりのいじらしい恋を描くラブコメディだ。
鈍感な桜大門のストレートすぎる優しい言動に振り回されてしまう小日向、いじっぱりな小日向のわかりやすい好意に鈍感すぎて気付かない桜大門という、それぞれ絶妙にすれ違う関係を描いていて、見ていて非常に微笑ましい。小日向のキャラクター造形は、少し派手な格好をして発言が粗雑ではあるものの、不良でもなくギャルでもなく、ラベリングされていないバランスに成り立っているため、タイトルでも「スカート丈が不適切なJK」としか呼ばれていない。小日向微笑に関しては安易に記号的なモノに回収せず、可愛いものが好きだが自分の子どもっぽさを知られるのは恥ずかしい、ひとりの少女を描いていこうとしているのを感じる。
そんなふたりの関係を中心に描きつつも、豊富なサブキャラクターの存在も大きな魅力となっている。1話はAパートとBパートに分かれ、それぞれ異なるエピソードが展開されるため、テンポよく物語が進行する。
この学校の役職に合わせて個性的なキャラクターが多く登場する学園モノは『キルラキル』を想起させる。本作の副生徒会長の古郡薫は『キルラキル』の副生徒会長・蒲郡苛と同じく稲垣徹が声優を務めており、また『キルラキル』を制作したTRIGGERのスタッフも本作に複数参加している。また本作のキャラクターデザインの氷室陽は『ダンジョン飯』や『SSSS.DYNAZENON』に参加。OP映像の原画を務める雨宮哲はTRIGGERの監督としても有名だ。『キルラキル』ほどバトルとケレン味に振り切れているわけではないが、近しいエネルギーを感じる力強い作品だ。
◆卓越したワードセンスと笑いと本音が交錯する放課後コメディ『霧尾ファンクラブ』
等身大な高校生を描きつつ、優れたワードセンスによるコメディと、各人の抱えた秘密が絡み合うシリアスが融合した傑作だ。
女子高生の藍美と波は親友同士であり、同時にクラスメイトの霧尾に恋するライバル同士でもあった。しかし霧尾に対してアプローチするわけではなく、ちょっとした霧尾との接点や霧尾の言動を陰からふたりで楽しむような、独特だが現実的な恋を楽しむに止まっている。この放課後にふたりで妄想を繰り広げていく藍美と波の会話は、劇的ではないものの確かに輝きを持った内輪だけの特別な時間だ。同じ人を好きという設定から、三角関係の中で嫉妬や優越感を展開するのではなく、恋している時間をふたりで楽しむという、より普遍的で小市民的な姿を見せている。
女子高生の会話を楽しむコメディとしての側面がある本作だが、ふたりの会話の中で飛び交うワードひとつひとつのパワーも魅力的だ。原作者・地球のおさかなぽんちゃんは、エンタメ系WEBサイト「オモコロ」で隔週連載の4コマ漫画を手がけるなど、ギャグ表現を得意とする作家だ。短い尺の中でも強い印象を残す独特の言葉選びは、『霧尾ファンクラブ』にも存分に生かされている。たとえばアニメ第2話で登場した、藍美と波による霧尾へのラブソング「涙なめなめソング」は、一度聞いたら忘れられないほどの強烈なインパクトを放つ曲名だ。このように、本作には印象的なフレーズが随所に散りばめられており、会話主体のアニメでありながら、最後まで飽きることなく楽しむことができる。
コメディ作品であると同時に、シリアスな群像劇でもある本作は、徐々に単なる平和に愛を語り合う会話劇の域から離れていく。藍美と波はふたりとも本心をすべて話しているわけではなく、霧尾や相手に対する感情を少しずつ偽っている。その嘘が今後どのようにふたりの関係を、ふたりと霧尾との関係を変えていくのかはまだ予想ができないところだ。卓越したワードセンスによるコメディ要素と、朗らかな会話の水面下で徐々に浮かび上がる登場人物たちの本心。その両面が交差する今後の展開から、目が離せそうにない。
『勇者の肋骨』も『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』も『霧尾ファンクラブ』も、それぞれ独自の強みを持った作品であり、今後どのように展開していくのか注目の作品だ。まだクールが始まって1か月ほど。
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