2026年5月16日(土)に都内映画館で『モノノ怪』特別上映イベントが実施され、声優を務めた神谷浩史、細見大輔、中村健治総監督が登壇。第一章と第二章をファンたちと振り返るとともに、第三章の公開に向けて見どころをアピールした。


『モノノ怪』は 2006年に異例の高視聴率を記録した『怪 ~ayakashi~』の一編「化猫」から派生し、2007年に放送されたテレビアニメシリーズ。放送以来、根強く愛され続け、2024年7月に劇場版第一章『劇場版モノノ怪 唐傘』、2025年3月には続章となる『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が公開。そして 2026年5月29日より第三章にして最終章となる『劇場版モノノ怪 第三章 蛇神』が全国の劇場にて公開となる。

この日は『唐傘』『火鼠』リバイバル上映に加えて『蛇神』の冒頭20分がお披露目となり、上映後の会場にキャスト、総監督が着物姿で登場。大きな拍手を浴びた。主人公の薬売り役を演じる神谷は、「和装はいつも褒めていただけるんです。なで肩だからだと思います」と笑顔を見せ、周囲から「師匠」と声がかかるほど和装が似合っていた中村総監督は、「神谷さんと細見さんが、僕の内弟子みたい」と楽しそうに話すなど、和やかな雰囲気でイベントがスタートした。

会場に集まった観客は、『蛇神』の冒頭を最速で目撃したことになる。MCが「いかがでしたか?」と呼びかけると、会場は熱い拍手で反応。中村総監督は、本編が無事に最後まで完成していることを明かし「今はスッキリしています」と清々しい表情を浮かべた。まだ完成したものを観られていないという神谷は、「早く完成作を観たい」とはやる思いを口にする中、ステージでは大奥を舞台に描かれる劇場版としてスタートした『劇場版モノノ怪』の道のりを振り返ることになった。

全三章構成の第一作目となる『唐傘』に臨んだ時の心境について、『モノノ怪』シリーズ生みの親である中村総監督は「テレビシリーズから劇場版を作るまでに結構、時間が空いている。
その間に世の中も変わり、アニメーション技術も変わり、いろいろと変わっている」と時代の流れに触れながら、「その中で、いいところは取り入れ、残すべきところは頑張って残そうと。今のアニメーションのトレンドよりは、“『モノノ怪』として何が正しいのか”と仕訳するのが大変でした」と苦労を打ち明けつつ、当時を懐かしんだ。

『唐傘』で初めて中村総監督の作品に出演を果たした神谷だが、『唐傘』の特報を観た段階で「それは90 秒くらいだったと思いますが、ものすごい作品になりそうだと感じた」と吐露。「まさかこのクオリティが 90分続くとは思っていなかった」と映像、音も極めて濃密な完成作を目の当たりにして、「嘘だろ!」と驚愕したという。それだけに三章まで「“完結するのかな”という感覚だった」と、走り抜けるには相当ハードな歩みが必要になるだろうと想像したとのこと。中村総監督は「皆さんの書き込みや応援に励まされた。“楽しみだ”と感想を書かれている方が 1 人でもいらっしゃれば、“よし!やるぞ”と思えた。スタッフみんなも励まされていた」とファンの愛に支えられながら、ここまで辿り着くことができたと感謝を込めた。さらに神谷は、何度も鑑賞を重ねることで発見や理解が深まるシリーズだとうなり、「実はすべての答えが画面上に提示されていて、それを見落とすか、見落とさないか。その意味を理解するか、理解しないかでまったく見方の変わる作品だということがわかる。これは“監督、すごいな”と思った」と惚れ惚れ。壮大なサーガを完成させた中村総監督が今、晴れやかな表情をしていることも納得だとうなずいていた。


『火鼠』では、薬売りと大奥の警備を司る広敷番(ひろしきばん)・坂下の関係性にも変化が見えた。2 人の絶妙なコンビネーションも、多くのファンを魅了している。

「『唐傘』をやった時に初めて神谷さんとお会いして。どういうお芝居をされるかもわからないところから、2 人で一緒にアフレコをやらせていただいた」と回顧した坂下役の細見は、「神谷さんのお芝居を受けながら演じさせていただけたことが、すごく大きかった。第一章、第二章と進んでいくにつれて、神谷さんと僕の関係性も芝居に乗ってきた。第二章ではより近い関係になって、それが坂下役に反映された部分もあります。お芝居に対する集中力もすばらしいし、神谷さんが画面に向かって命を吹き込んでいる様子が、横にいても響いてくる。それに感化されて、芝居ができた。神谷さんがいなかったら、坂下はできていなかった」と神谷が演じる薬売りあっての、坂下だと強調。神谷は「好感しかない人。不思議な魅力がある」と細見について分析し、「細見さんと一緒にいると楽しいんです。アフレコでお会いしても、リラックスできる。
すごく助けられています」と相思相愛の思いをにじませた。

神谷と細見はいつも 2 人セットでアフレコに臨んでいたそうで、中村総監督は、「お二人はとにかく楽しそうでした。和気藹々としていて、終わった後もにこやか」と証言。さらに第三章でも「坂下の見せ場があります」と紹介しながら、「薬売りさんは、カッコいいけれど話しかけづらいところがある。“なんだ、お前”と突っかかってくれる人がいた方が、薬売りさんも助かるし、僕ら制作陣も助かる。圧をかけてくれる人がいないと、薬売りさんの人柄がなかなか出てこない」とツッコミを担う坂下の役割について言及した。坂下の存在について「ありがたい」と実感を込めた神谷は、薬売りにとっても「好感度が高いでしょうね」と目尻を下げた。シリーズにおける坂下の重要性について耳にした細見は、「普段の生活においても、人と仲良くなっていく段階って、最初は相手の言葉通りに受け取っていたものが、次第にその言葉の裏や意味、隠されたものを汲み取れるようになると思うんです。“そういったことができるといいな”と思いながら、薬売りのセリフを聞いて、話すということを心がけていました」と 2 人の関係性を大切に演じたと話していた。

『火鼠』は母と子を中心にした物語でありながら、男性も暗躍した章だった。老中大友を演じる堀内賢雄らベテラン勢が味のある演技を披露した作品となり、神谷は「ベテランたちが楽しそうに芝居をしているのはいいですよね」とにっこり。「賢雄さんや、堀川りょうさん、チョーさんが丁々発止やっているのは、見ていて気持ちがいい。
そのキャリアになった時に、僕はああいうポジションで、ああいったお芝居ができるかなと思ったり。ベテランが醸し出す、いやらしさ(笑)。“そういうものをちゃんと感じさせる歳の取り方が、できるかな”と思いながら、見ていました」と声優としての刺激もたくさんもらった作品になったという。堀内に本作を称えられて「ものすごくうれしかった」と声を弾ませた中村総監督は、『火鼠』について「薬売りさんが、大奥の人たちに認められていくお話。『火鼠』はそこが見どころ」と人間関係の動きやドラマ性についてアピールしていた。

そしていよいよ、5月29日からは『蛇神』が公開となる。物語は章を進めるたびに厚みを帯び、人物描写もより奥行きを見せた。最終章となる本作で明かされるのは、大奥内で永きにわたりひた隠しにされてきた“最大の秘密”。

見どころに話が及ぶと、中村総監督は「狭い部屋の中で、薬売りさんがカッコよくジャンプして回転する。コンテを描きながら、“わおー!”となった」とアクションも注目だと訴え、神谷は「最終目的地は、『蛇神』。第一章、第二章では、演じる上でも、全力を出し切らないようにとペース配分を探っていた。薬売り自身も、どうやって大奥に入っていこうかと探っていた部分もある。
それが僕と、薬売りのリンクしている部分」だと語り、『蛇神』では「最終目的地を見つけて、“そこに向かって行けばこの物語は完結する。自分の目的が終わる”という思いも、リンクしている」と力強くコメント。目的に向かって突っ走っていく薬売りを、ぜひ「観ていただきたい」と呼びかけた。

最後には、“モブ女中のぐるぐるお面”を手にした観客と一緒にフォトセッション。会場一帯が『モノノ怪』の空気に満たされる中、神谷は「ついに『劇場版モノノ怪』が完結します。感動です」と感無量の面持ちを見せ、「第一章、第二章で明らかにされていないところが、第三章で全部明らかになります。すべての謎が開示されます。皆さんが観たかったものがすべて詰まった『モノノ怪』になっている。最高にエンタメした作品」と胸を張った。細見は「90 分、目が離せない映画。どうか中村監督の熱い思いを、1 人でも多くの方に伝えていただきたい!世界に発信していただけるよう、お願いできますでしょうか!」と声をあげた。「大変な時期もあった」と改めて述懐した中村総監督は、「皆さんすごくモチベーションを持って、お祭りみたいな感じで頑張ってくれました。
スタッフ全員、連れてきたかった」とスタッフにお礼を述べつつ、「みんなが“こういうものを観たかった”というものを詰め込んでおきました」と約束し、大きな拍手を浴びていた。

『劇場版モノノ怪 第三章 蛇神』
※蛇神=へびがみ

■キャスト
薬売り:神谷浩史
幸子:種崎(たつさき)敦美/天子:入野自由/溝呂木北斗:津田健次郎/水光院:榊原 良子
アサ:黒沢ともよ/時田フキ:日笠陽子/大友ボタン:戸松 遥
時田三郎丸:梶 裕貴/嵯峨平基:福山 潤/坂下:細見大輔/時田良路:チョー/藤巻:堀川りょう
天局:ゆかな/常磐井:平野 文/カワ:本多真梨子/溝呂木朔:竹本英史/三代目御台所:沢城みゆき
■主題歌
「No Epilogue」アイナ・ジ・エンド(avex trax)
■スタッフ
総監督:中村健治/監督:越田知明/脚本:新 八角
キャラクターデザイン:永田狐子/アニメーションキャラデザイン・総作画監督:高橋裕一
美術設定:上遠野洋一/美術監督:倉本 章 斎藤陽子/美術監修:倉橋 隆
色彩設計:辻田邦夫/ビジュアルディレクター:泉津井陽一
3D 監督:白井賢一/編集:西山 茂/音響監督:長崎行男/音楽:岩崎 琢
プロデューサー:佐藤公章 成瀬晃一 加藤はるか 上松南菜子/企画プロデュース:山本幸治
製作・配給:ツインエンジン/制作:スタジオカフカ EOTA

(C)ツインエンジン
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