「大事な話だから、直接会って話しましょう」。ビジネスの現場ではよく聞く言葉だが、ひろゆき氏は「むしろ逆」だと考える。
対面では、声の大きさ、身なり、容姿、話し方といった“印象”に判断が引っ張られ、本来見るべき能力や成果を見誤りやすいからだ。では、本当に相手を見極めるには何を重視すべきなのか。
※本記事は、ひろゆき著『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)より抜粋、編集したものです。

ひろゆきが教える“デキる人”の判定法。「大事な話だから会って...の画像はこちら >>

直接会うと、能力を見誤る

「大事な話だから、直接会って話しましょう」

 ビジネスの現場ではよくある提案だ。電話やメールといった間接的なやり取りより、膝を突き合わせて、顔を見て話したほうが互いの理解が深まる。そう考える人は多い。でも本当だろうか。僕はむしろ逆だと思っている。

 直接会うと、視覚や聴覚を刺激する副次的な情報にさらされる。相手の声の大きさ、身なり、容姿。それらは価値判断の本質ではない。単なる印象だ。でも人はそうした印象に容易く取り込まれてしまう。


 テキパキと話す人、身だしなみが整っている人、イケメンや美人の言うことに対しては肯定的になりがちだ。

 かたや、口下手な人、風采の上がらない人の意見は、たとえ論理的に正しくても軽視してしまう傾向がある。

 相手の一部の特徴に引きずられ、全体を歪めて判断する認知バイアスのことを心理学で「ハロー効果」という。

「感じがいい」「誠実そう」「信頼できそう」――視覚情報や聴覚情報にもとづくそんな印象は、相手の能力を測るうえで邪魔なノイズにすぎない。直接会うと、そのノイズが強烈な存在感を放つ。適正なジャッジを妨げるのである。

対面することで相手を判定できるの?

 そもそも相手の能力を適正に判断するのは難しい作業だ。

 同じ人物が同じ話をしても、それを好意的に受け止める人もいれば、否定的にとらえる人もいる。判断する側の思想・ポリシー、趣味嗜好が絡むからだ。さらにはそのときの気分や機嫌という偶発性にも左右される。

 ようするに僕らの判断は、視覚情報や聴覚情報といった副次的なノイズに影響されやすく、くわえて自分の主観や気まぐれによって場当たり的に下されがちなのである。
 言うまでもなく、そうしたノイズは極力排除したほうがいい。だから大切な交渉であればあるほど、直接対面は避けるのが賢明だ。
それよりもまずは相手の履歴や成果物といった客観的情報を把握すべきだろう。

 対面するのはそのあとだ。そうした手順を踏めば余計な手間はかからないし、ミスマッチも避けられる。移り気な自分を過信してはいけない。

ひろゆきが教える“デキる人”の判定法。「大事な話だから会って話す」はむしろ逆と断言できるワケ
『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)


人は「印象」で誤魔化そうとする

 いきなり実際会って、相手を判断することのデメリット(リスク)はもう1つある。

 それは対象者が1人しかいない点だ。「n=1(エヌワン)」では比較優位の検討ができない。つまり判断材料がないに等しい。だから「意外といい人だった」「誠実そうだった」といった上っ面だけの人物評価に走ってしまう。

 ハロー効果の影響をもろに受けるわけだ。会って目を見て話したら、相手の本質がわかるというのは迷信だ。そんな迷信がまかり通ると結局、「それっぽく振る舞える人」が得をしてしまう。
そんなアンフェアな世界は不幸でしかない。

 実際会わないことには人となりがわからない──。それはその通りだろう。でも会うのは最終局面である。

 一緒に仕事をして楽しそうな相手なのか。自分と気が合うのか。そうした数値化できないノリを知るために会う。いわば、最後のフィルタリングである。

 繰り返すが、何より大切なのは客観的情報だ。どんな経歴なのか。何をやってきたのか。そうした客観的情報こそ、正しい判断に近づくための手立てなのである。


 直接会わないとその能力を測れないのは、催眠術師くらいだろう。その催眠術師の腕前を知るには、実際に体験する以外にない。

 そうした特殊能力は別として、ほかは会わなくてもだいたいわかる。

「大事な話だから会いましょう」はだいたい大事な話ではない。

 印象ではぐらかしたいと考える人が「会いたい」と言っているだけ。そう勘ぐるくらいで丁度いいと思う。<文/ひろゆき>

【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。
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