4大共通ポイントと呼ばれるポイントサービスのうち、Tポイント・ジャパンが運営する「Tポイント」に逆風が吹いている。代わって追い上げるのはPayPayボーナスを改称した「PayPayポイント」と、ロイヤリティ マーケティングが運営する「Pontaポイント」だ。


au PAY以外は自社クレカ縛りありに
 Pontaポイントの転機となった、Ponta会員IDとau IDの連携は2020年5月から。それ以降、スマートフォン(スマホ)決済サービス「au PAY」をはじめ、さまざまなauブランドのサービスでPontaポイントがたまるようになり、「Pontaポイント経済圏」「au経済圏」が一部重なる日本最大規模の顧客基盤をもつ「au×Pontaポイント経済圏」が誕生した。22年4月現在、au IDを登録すると、三菱UFJ銀行・auじぶん銀行との取引でもPontaポイントがたまる。
 さらに今春、他の共通ポイントサービスに名称を合わせるかたちで、ソフトバンク・ヤフー・LINEの各サービスがゆるくつながる「PayPayポイント経済圏」が立ち上がり、通信・決済(EC/リアル店舗)・金融を核とした、楽天ポイント(楽天)・dポイント(ドコモ)・Pontaポイント(KDDI)・PayPayポイント(ソフトバンク)の4大ポイント経済圏が覇権を競う格好となった。
 このうち、もともとオンラインからリアルに進出した楽天エコシステム(経済圏)は、ECの「楽天市場」が主となり、その他は通信サービスまたは共通ポイントが主となる。つまり、ドコモ・au・ソフトバンクの通信サービスを契約していて利用額に応じたポイントが付与されているなら、その経済圏と、経済圏に属するスマホ決済サービス(楽天ペイ・d払い・au PAY・PayPay)を使い倒したほうがお得だ。

 なお、ソフトバンクは携帯電話の利用料金に対し、従来のTポイントに代わり、独自のソフトバンクポイントを付与するサービスを22年4月1日から開始した。このポイントはPayPayポイントに交換可能で、PayPayポイントは他のポイントに交換できない上位ポイントの位置づけとなる。
 ポイント経済圏同士の争いでは、クレジットカードも重要な役割を果たす。具体的には、現在、楽天ペイ(アプリ決済)は楽天カード、PayPayはPayPayカード/ヤフーカードを紐づけた場合しかポイント還元はなく、6月1日からドコモのスマホ決済サービス「d払い」も、dカード以外の他社クレジットカード払いはdポイント付与の対象外となる。
 一方、事前チャージ型(プリペイド)のau PAYは、対象のクレジットカードなら制約なくチャージが可能で、チャージ額に応じてクレジットカードのポイントがたまる(ポイント付与率や付与の有無はクレジットカード会社によって異なる)。もちろんau PAY×au PAYカードの組み合わせだと、同額のチャージでより多くPontaポイントがたまる。
Pontaポイントを優先してためるならau PAYカードによるチャージがベストな選択だ。
 ところが、7月1日からここ数年の楽天経済圏の牽引役である楽天カードは、au PAYへの残高チャージをポイント還元サービス対象外に変更する。この措置は、au PAY残高からチャージしてPontaポイントがたまる「au PAYのSuica」のサービス開始を受けたものと考えられる。いわゆる改悪だが、現時点では楽天カード会員がau PAYをサブとして使うと楽天ポイントを獲得できるメリットがあり、7月1日以降も携帯電話料金合算払いの「auかんたん決済(au/UQ mobile/povo契約者限定)」を利用すれば、間接的に楽天カードでチャージ可能なので各経済圏は決して閉じているわけでないと分かる。
 PayPayはセブン-イレブンアプリから利用でき、au PAYは、ローソンアプリに続きトヨタの決済アプリ「TOYOTA Wallet」から利用が可能になるなど、決済サービスと大手企業の連携は広がっており、d払い・au PAY・PayPayの各アプリから直接テイクアウトの注文などが可能なミニアプリも順次拡大している。ポイント経済圏はそれぞれ微妙に強み・弱みが異なる。
ぜひ積極的にポイントをためて使おう。(BCN・嵯峨野 芙美)
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