映画で描かれた美しい風景描写も多くの人を魅了した要因の一つだが、その「舞台設定のモデル」には諸説ある。
映画『君の名は。』の舞台として有名になった岐阜県の飛騨古川。作中、東京の国立新美術館で観た飛騨の写真が、糸守町に似ていると気付いた瀧は思いを巡らせる。そして、瀧は三葉の住む糸守町を探すために、この町を訪れている。
しかし、よく勘違いされがちだが、飛騨古川はあくまで作中で「瀧が三葉の面影を探して訪ねる場所」であり、三葉が実際に住む糸守町のモデルではない。さらに、公式認定された場所としては、飛騨古川では、飛騨古川駅、飛騨市図書館、宮川落合バス停、気多若宮神社の4カ所となっている(東京では、新宿を中心に、六本木ヒルズや国立新美術館などの施設や信濃町の歩道橋など、瀧が暮らす日常空間が認定された場所とされている)。

そもそも飛騨古川は岐阜県飛騨市の山間の街。もともと周辺の飛騨高山・白川郷は「古き日本の情景が残る場所」と外国人観光客にも人気の高いエリア。映画の美しい風景描写に惹かれて「行ってみたい!」という人が急増している飛騨古川だが、訪れる際は舞台だけでなく、美味しいごはんと清潔感のある旅館を下調べし、余裕のあるタイムテーブルを組みたいところだ。聖地以外にも観光スポットは満載なので、余裕があれば2泊目もオススメだ。
そんな飛騨古川へのアクセスは、主に「高速バス」と「新幹線&特急」を使った2つのコースがある。リーズナブルに行きたいなら前者、ゆったり行きたいなら後者がオススメ。また、新幹線から特急に乗り換える「名古屋駅」も映画の舞台になっているので、瀧たちと同じルートを完コピして追いかけたいなら、ぜひ「新幹線&特急」コースで。

瀧たちと同じルートにこだわる「新幹線→特急コース」。高速バスよりやや割高とは言え、快適さや移動時間で「聖地巡礼」っぽさではリード。東京駅や名古屋駅は映画の中でもそのまま登場している。
上の名古屋駅で特急に乗るシーンがあるが、乗っているのは「ワイドビューひだ」、場所はJR名古屋駅で、主に富山方面行きの特急が発着する「11番ホーム」と特定できる。ファンとしては「映画と同じ写真を撮りたい!」となるが…。

「11番線の電光版などホーム屋根の要素を基準にアングルを決めると◎。実際には映画の位置には停車しないので、入線する瞬間を狙うしかないですね」と語るのは、今回実際に撮影していただいたフォトグラファーの鈴木克典さん。また、ワイドビューひだは写真の車両のほか、先頭がパノラマ型の近代的な車両も混在して運行しており、 どちらが来るかは運次第。
この特急に乗車すると、約2時間40分で、飛騨古川駅に到着となる。

都内からは飛騨古川への高速バスが運行。片道6900円なので、新幹線&特急(東京・飛騨古川間で片道約1万6000円)に比べると格段に安い。旅費を節約したい人にはオススメだ。
新宿~飛騨高山線のうち、これまで直通は「14時35分・新宿発」の1本のみだったが、映画の大ヒットを受け’16年12月よりもう1本増便。しかも新 設されたのは「8時15分」新宿発なので、より観光しやすくなった。他にも乗り換えが必要な便でよければ1日5便ある。
03-5376-2222)。
(*この記事はストリートジャック2017年2月号の記事を再編集したものであり、2016年12月取材時の内容となります)