移り変わりの激しいストリートのファッションシーンを20年以上に渡り追い続けてきた『ストリートジャック』。雑誌名こそ創刊当時から変わらないが、その中身は時代の流れに合わせるように、大きく変化していった。
そんな過去のアーカイブスから、当時の時代背景やファッショントレンドが分かる“名物号”をピックアップ。 今回は2005年4月24日に発売されたSTREET JACK2005年6月号から当時のトレンドをプレイバック!
長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を...の画像はこちら >>
長澤まさみさん(STREET JACK 2005年6月号より)今も第一線で活躍する女さんが続々と…!
長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を振り返る。
写真を拡大表紙は ’00年代前半のバラエティアイドルブームのトップランナーだった若槻千夏さん。当時渋谷にあったSJ編集部にもプライベートで遊びに来るなど、気さくな人柄で編集部にもファンが多かったとか。

 ファッションの流行が数年単位で繰り返されると同じように、「男子が好きな女性芸能人」にも流行があり、大きく分けて「女優」「アイドル」「バラエティタレント&グラドル」の3ジャンルを数年置きに繰り返している。創刊号から女性芸能人を表紙に起用し続けてきたストリートジャックを振り返ると、その変遷も辿ることができる。(以下、敬称略をお許しいただきたい)

 創刊時の’97年は雛形あきこ鈴木紗理奈など「バラエティタレント&グラドル」が全盛期を迎え、やがて広末涼子をアイコンとして「女優」が台頭。その後、世紀をまたぐかたちで「モーニング娘。」や「鈴木あみ」のブレイクで「アイドル」の時代がやってくる。

 

 そして

に関するニュース">モー娘。ブームが落ち着いた’02年頃から、再び「バラエティタレント」が躍進、そのトップを走っていたのが、表紙を飾っている若槻千夏。抜群のタレント性に加え、その飾らない人柄で男女ともに好感度は高く、この号が発売された’05年にはまさに「全盛期」と言える活躍ぶりだった。

 そして、彼女の全盛期と同時進行で、順番通りに「女優」の台頭が見られるのだが、これがまた空前の「女優」大豊作時代となるーーと、それは次のページで触れていきたいと思う。

数十年に一度の「女優大豊作時代」が始まった’05年。
長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を振り返る。
写真を拡大 この頃のSJは、「女性タレント+男性ハーフモデル」の組み合わせが鉄板だった。男性ファッション誌なのに、女性が手前、男性が後ろというのも今振り返ると斬新。

 左ページには当時まだ10代だった長澤まさみさん。

 さて、空前の女優大豊作時代とは、どれほどすごかったのか振り返ってみよう。(再び敬称略をお許しいただきたい)

 

 同年代ですでにトップを走っていた上戸彩を追いかけるように、『世界の中心で、愛をさけぶ』に起用された2人の女優、長澤まさみと綾瀬はるかがブレイク(長澤は映画版、綾瀬はドラマ版ということで何かと比較された2人だったが、10年後に『海街diary』で奇跡的な共演を果たすことになる)。

長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を振り返る。
写真を拡大 今では貴重なTシャツ企画内での出演カット!

 並行して、相武紗季石原さとみ井上真央、宮崎あおいらが台頭。次いで彼女たちの少し後輩にあたる、堀北真希戸田絵梨香が『野ブタをプロデュース。』で注目を集める。さらに蒼井優上野樹里沢尻エリカ、そしてこの世代「最後の大物」と言われた新垣結衣の登場までわずか2~3年弱。彼女たちの誰もが今もなお第一線を走り続けていることが、大豊作時代のなによりの証左と言えるだろうーー。

 女優大豊作時代が一段落すると、ローテーションを変え、南明奈木下優樹菜スザンヌ、リア・ディゾンら「バラエティタレント&グラドル」期に。その後、2005年に結成されたAKB48を中心としたこれまた空前絶後の「アイドル」期がやってくる。ちなみに『あまちゃん』で能年玲奈がブレイクしたときは、この女優大豊作時代の再来とも言われ(能年、橋本愛有村架純松岡茉優etc.)、そして今に至っている。

 そしてこの年、女優大豊作時代の幕明けとともに、ファッションにおいてもあるムーブメントの萌芽がーー。それは果たしてーー?

今では当たり前?なあのジャンルが台頭してきたのも’05年。
長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を振り返る。
写真を拡大 お金のないサロンアシスタントが古着をおしゃれに着こなすようになったことから、古着MIXブームが始まったという説が有力(SJ的に)。

そう、「サロンスタッフ」=おしゃれ、という認識が本格的に広まったのがこの頃。’05年前後に起こった「第2次古着ブーム」は、’90年代後半のようにヴィンテージ至上主義ではなく(第1次古着ブーム)、安くて無名な古着もおしゃれな人が着こなし次第でかっこよくなる!という意識が広がった時期でもある。それはやがて「新品だって同じ」という流れになり、ユニクロやH&M、フォーエバー21などのバリューブランドの時代へとつながっていく。

 

 そして、サロンスタッフがもたらした「古着MIX」という新ジャンルは、原宿で多くのフォロワーを呼び、やがて「読者モデル」というまた新たなカテゴリを生み出すことにーー。

 2005年という年は、日本のストリートファッションやユース・カルチャーにおいて、非常に大きなターニングポイントといえる年だったのだ。

 

ついでに、いくつか時代を感じさせてくれる記事をピックアップ(写真を参照)。

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写真を拡大 日本発、原宿発のブランドとして一躍脚光を浴びることとなった「FAT」。この頃には「SUPREME」と並び特集されるほどに成長していた。
長澤、綾瀬、沢尻にガッキー、石原さとみ…「女優大豊作時代」を振り返る。