吉本興業を根幹から揺るがす事態にまで発展した闇営業問題に、やっと希望の光が見え始めた。8月8日、吉本興業は所属タレント約6000人と「共同確認書」を交わすことを発表。
吉本興業の今回の対応について、ある週刊誌の記者は次のように語る。
「共同確認書を交わした程度で吉本興業が変わらないのはいわずもがな。とはいえ、今回の闇営業騒動の象徴たる“謹慎芸人”の復帰を決めたことは、この問題解決の突破口になる可能性はあります。
そもそも彼らは“反社が主催のパーティー”とは知らなかったということですし、金銭の授受についても先輩の宮迫(博之)さんによって箝口令を敷かれ真実を語れなかったというわけですから、情状酌量の余地は大いにありました。ダウンタウンの松本(人志)さんも『若い子は早く復帰させてほしい』と呼びかけていたように、謝罪会見を強行した宮迫さんやロンドンブーツ1号2号の田村亮さんとは処分内容が違って当然。なのにここまで復帰を先延ばしにしてしまったのは、吉本内でゴタゴタが一向に収まってないから。今回謹慎が解除された11人の中には、芸能活動もできなければバイトすらできない状況に追い込まれていた人もいたわけですから、世間から同情の声が上がるのも当然。今回の謹慎解除は“遅すぎた決断”ともいえるでしょうね」
“みそぎがんばってます!”アピール が痛い一方、雨上がり決死隊の宮迫博之は、8月4日に茅ヶ崎市民文化会館で行われた「Hawai’i湘南フェスティバル」に参加、振り込め詐欺防止を促す啓発チラシを配り、ステージにも上がったことがワイドショーなどで話題となった。
いまだ「吉本に戻るのか戻らないのか」判然としない宮迫に関して、ある吉本関係者は次のように明かす。
「うち(吉本興業)の上層部と宮迫さんは何度か話し合いを持ってるそうですが、どうやらいまだに議論は平行線のようです。
ただ、振り込め詐欺防止を促すイベントに出演って、いくらなんでもわかりやすすぎるというか、『みそぎをがんばってます!』というアピールがあまりにもストレートすぎて、少々痛すぎるのではないでしょうか。ほかの謹慎芸人たちの空き缶拾いもそうですが、いつもふざけていた人気芸人たちによる突然のボランティア活動を見て、興ざめしてしまう人も少なくないはず。劇場への復帰はできたとしても、この騒動を笑いに変えるにはまだまだ時間がかかるでしょうね」
謹慎芸人らはユーチューバーになるべき?それぞれ、とりあえずは復帰への第一歩を踏み出した形の謹慎芸人たちだが、「彼らの眼前には茨の道が広がっている」と語るのは、前出の週刊誌記者だ。
「謹慎していた11人はレギュラー番組などもすべて降板しており、テレビへの復帰は苦戦するでしょう。2012年に次長課長の河本(準一)さんが母親の生活保護不正受給問題で業界から干されたとき、しばらくたって復帰すると、(明石家)さんまさんやダウンタウンの松本さんがその件をいじりまくり、結果として収録現場は大いに盛り上がったそうです。しかし、オンエア上では当然のようにカット。謹慎前、河本さんは売れっ子芸人のひとりでしたが、あの件以降、再ブレイクしたとはいい難い。河本さんも、いまだに地元でボランティア活動などをしながらあの反省の日々を忘れないようにしているそうですが、やはり一度でもそのような問題を抱えてしまった芸人さんに対して、お茶の間は笑いづらいんですよね……。
そもそも“NGワード”が多い芸人に対してスポンサーはいい顔はしないし、彼らをキャスティングしたがるスタッフも少ないため、仕事が激減してしまうのは当然なのかもしれません。たとえ番組出演がかなっても、番組上でそれに一切触れないのも相当違和感が残るでしょうし、かといって今回は問題が問題だけに、安易に笑いにして触れるわけにもいかない。
となると、謹慎解除となった11人は劇場で細々とやるしかないのか……。
「吉本が各地に持つ劇場への出演競争は、実は熾烈を極めます。テレビにも出ている人気芸人たちが連日客席をわかせているわけで、今回の“謹慎解除芸人”たちがそう簡単に出番を獲れるとは思えません。で、テレビ出演も難しいとなれば、あとはウェブでしょうね。たとえばキングコングの梶原(雄太)さんはユーチューバーに“転身”し、チャンネル登録数100万を突破するなどブレイクしてますが、彼のようにネット上に自分のチャンネルを持つのもいいかもしれません。くしくも梶原さんも河本さん同様、2012年に実母の生活保護不正受給問題でバッシングを受けた過去がある。そんな彼だからこそ、謹慎芸人の気持ちは誰よりもわかるはず。梶原さんの人気チャンネルにゲスト出演し、復帰への足掛かりを見つけるというのも手だと思います」(前出・週刊誌記者)
謹慎を解除されたとはいえ、彼らの苦難の日々はまだまだ続きそうだ。
(文=藤原三星)
藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>