お笑いコンビTKOの木下隆行が、3月15日をもって所属事務所の松竹芸能を退所すると発表した。相方の木本武宏は事務所に残り、コンビも継続するという。

 松竹芸能が公式サイトで木下について、「この度、弊社所属タレントのTKO木下隆行は、2020年3月15日をもって弊社を離れる事になりました。今後は弊社を離れ、フリーとして引き続き芸能活動を行っていきます」と発表。さらに、「TKOは解散せず、木本武宏は引き続き弊社所属で芸能活動を行います」と説明した。

 また、スポーツ報知の記事によると「解雇ではありません。木下本人との話し合いで、『会社や芸人仲間に迷惑をかけたので、一度自分を見つめ直してリフレッシュしたい』ということだったので、退所することになりました」として、話し合いのうえでの円満退所だったことを強調している。

 だが、木下に関しては、素行の悪さを指摘する声が後を絶たず、それが原因で実質的に解雇されたのではないかと指摘する向きもある。

「去年、よゐこ濱口優の結婚パーティで、木下が幹事を務めて費用を後輩から集めたが、後輩芸人にはお金を払わせたくないとして濱口が全額支払ったようです。しかし、後輩芸人たちに返金されなかったため、オジンオズボーンの篠宮暁がライブ上で木下が“横領”したのではないか、と言及したんです。それに激怒した木下が、篠宮の顔に中身が入ったペットボトルを投げつけ、目の付近を怪我したのです。この件について事務所は、木下が投げたペットボトルが篠宮に当たったことは事実と認めながらも『狙って投げたわけではない』と釈明し、両者は和解したと発表しています」(芸能記者)

 また、ある番組で後輩のクロちゃん安田大サーカス)が木下をイジるというドッキリ企画があった際、木下が激怒して収録後に楽屋でクロちゃんに土下座させたうえに革靴で頭を踏みつけたと報じられた。

実質的な解雇か

 ほかにも、後輩芸人に対して居丈高な態度を取るとの指摘も多い。そのため、事務所としても見過ごすことはできない状況になり、木下を“切った”というのが実情ではないかとみられているのだ。

「契約に関して、松竹芸能は吉本興業並みに厳しいといわれています。吉本が昨年夏以降、契約書を交わすことになった段階で、松竹でも動きがあったようです。それで折り合いがつかなくなった可能性もあります。『野性爆弾のザ・ワールド チャネリング』(アマゾンプライム)で、木本の月収が400万円であると明らかになりましたが、コンビ内の格差なども退所の一因となったかもしれません」(芸能事務所関係者)

 お笑いコンビの所属事務所が異なるというのは、よくあることなのだろうか。お笑い評論家のラリー遠田氏は、かなり特殊な事例だと語る。

「管理も面倒だし、ギャラ配分の問題もあるし、別々の所属にさせるメリットがありません。唯一、知っているのは、今も活動している若手コンビのわらふぢなるおが、ふぢわらさんはサンミュージック、口笛なるおさんがグレープカンパニーと、それぞれ別の事務所所属の状態のままでコンビとして活動していたことがありました。

 彼らの場合、2018年にふぢわらさんが移籍して、今ではコンビとしてグレープカンパニー所属になっています。彼らは、もともと別々の事務所で活動していたときにコンビを結成して、たまたま双方の事務所の理解があったために、そういうことが成立しました。普通はあまりないと思います。

 個人的な推測でしかないですが、TKOの場合、実質的には木下さんは解雇に近い状態だと思うので、コンビとして今後活動をすることはないんじゃないでしょうか。事務所に残る木本さんの顔を立てるというか、意思を尊重する意味でコンビ解散という表現にはしなかった、というだけではないかと思います。

 退所理由についても、個人的な推測でしかものを言えませんが、表沙汰になったトラブルがいくつかあるということは、表に出ていないところでも似たような問題を何度も起こしていた可能性は高く、そういうところもすべて考慮した上で、事務所としては契約解除に踏み切ったのではないでしょうか。

 カラテカが同じような状況ですね。闇営業問題で入江慎也さんが吉本興業から解雇されて実質的に解散状態にあるけれど、矢部太郎さんは解散とは明言していない、という状態です」(ラリー遠田氏)

 複数のパワハラ報道の真偽はさておき、芸人仲間から木下を擁護する声はほとんど聞かれない。仕事仲間から愛されていないのであれば、フリーとなって活動を続けていくのは厳しいかもしれない。

(文=編集部)

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