6月5日に放送された連続ドラマ『白衣の戦士!』(日本テレビ系)第8話は、平均視聴率8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。

 中条あやみ水川あさみがW主演を務める同作は、1996~2002年に放送された人気ドラマシリーズ『ナースのお仕事』(フジテレビ系)を彷彿とさせる、看護師たちのドタバタコメディ。

中条は“元ヤン”の新米看護師・立花はるかを、水川は“婚活中”の先輩看護師・三原夏美を演じ、共演にはジャニーズWEST小瀧望や、沢村一樹安田顕などが名を連ねる。

 はるかは同期の斎藤光(小瀧)に告白する前にキスをしてしまい、2人はお互いに意識している関係。一方で夏美は、結婚相談所を退会して看護師長・本城昭之(沢村)との真剣な交際をスタートさせたばかり。第8話では、両カップルがそれぞれの状況を把握し、4人だけの秘密にしようとしていたところ、偶然居合わせた外科医・柳楽圭一郎(安田顕)に恋愛模様がバレてしまう。

 そんな柳楽は、元看護師の恐妻・静香(遼河はるひ)に浮気を疑われて家を追い出され、病院に寝泊まりしていた。同じ頃、腸閉塞で入院していた患者・沙織(足立梨花)に退院の許可が降りる。13年前にも柳楽の手術を受け、彼を“命の恩人”と慕う沙織だったが、退院して間もなく迎えた結婚式当日、腹痛で倒れてしまう……という内容だった。

 今回は第7話の7.7%から0.7ポイント上昇し、3話ぶりに8%台まで回復。現時点での自己ベストは初回の10.3%だが、最終回までに記録を更新できるかは怪しい。インターネット上に書き込まれている感想を見るに、視聴者の興味をまったく引いていないわけではないものの、特に盛り上がっているわけでもないので、このままダラ~ッと終わりに向かうのだろう。

 第8話は柳楽メインとあって安田ファンにはうれしい回だったように思うが、ネット上の反応を見ていると、同ドラマのメイン視聴者は10~20代で、中条や小瀧のファンとみられる。今回、小瀧は急速にはるかを意識し始め、その様子が「カワイイ!」「もどかしいけどニヤニヤしちゃう」「ピュアで甘酸っぱくていいな~」と好評だった。
これが『白衣の戦士!』という“看護師モノ”ではなく、はるかと斎藤のラブコメディオンリーのドラマであれば、もっと視聴率は良かったのではないか。

 シングルマザーの看護師・小野貴子(鈴木紗理奈)にスポットを当てた第7話もそうだったが、柳楽メインの第8話も「良い話だった」「感動した」という声はあれど、やはり「ありきたりな話」になっていた。それならば“元ヤンガール”と“鈍感ボーイ”のドタバタコメディのほうが、視聴者層は絞られるが数字につながっただろう。

 とはいえ、私は、中条にコメディをさせることも疑問視している。最近までは“元ヤン”キャラが合っていないのだと思っていたけれど、もしもクールビューティーな“元ヤン”であれば、中条の魅力が発揮されたのではないか。そう思うと合っていないのはコメディのほうで、一番ダメなのは“中条の変顔”である。

 中条は18年にSexy Zone・中島健人とW主演した映画『ニセコイ』で「変顔がすごい!」と話題になったが、それは意外性も兼ねての感想だったように思う。近年、橋本環奈が“変顔女優”のポジションを獲得しており、彼女もまた最初は意外性から注目を集めたわけだが、いつの間にか“テッパン”になった。17~18年の映画『銀魂』シリーズの神楽役で白目を剥き、鼻をほじるなど、完全に振り切っていたことが大きいだろう。

 一方、中条にはそこまで求められていないのかもしれない。しかし、そこまで求められていないのであれば“変顔女優=橋本環奈”のままであり、中条のやっていることは中途半端で、橋本には取って代われない。だったら私はキレイでカワイイ中条だけを見ていたいし、『白衣の戦士!』を最後に“変顔”を封印してほしいと、切に願う。

(文=美神サチコ/コラムニスト)

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