>>>前編より

マニフェスト3「インターネットを免許制にする」

 このマニフェストは、「インターネットは18歳以上の人間が教習所でルールやマナーを学び、免許を取った者だけが利用できる」「誹謗中傷、風説の流布、ポルノ掲示などを警察が取り締まり、自動車免許と同じく点数が引かれていき、累計によって免許取り消しもある」というもの。
 まずこれは、どう見ても言論の自由を規制する主張だ。

中国ではネット上の書き込みを、政府の判断で勝手に削除したりしているが、早い話がそんな中国の状況を目指している。警察が取り締まるということは、そういう意味だろう。
 太田は「インターネット(電子掲示板)への書き込みを1文字100円とする」というマニフェストも提案したことがあり、特にネットの掲示板に対する反感が大きいようである。1文字100円となると、ツイッターで投稿できる文字数が140文字だから、ひとつのツイートで最大1万4000円かかることになる。そこまでして物理的に書き込みを制限させるというのは、普段の太田の主張からかけ離れた理想のない考え方に思える。

 太田なら、「人の悪口を言わない子供を育てる教育をするべき」と主張しそうなものだが、権力によって心の中にある悪口を表に出させないようにするというのでは、太田ファンも「太田総理なら理想を語れよ!」と思ってしまう。

また、現状ではネット上のマナーは放置状態だが、ルールに違反すれば逮捕される法律は整備されている。
 例えば「太田の漫才はくそつまらない」という書き込みは取り締まれないが、太田に対する殺害予告の書き込みなどは犯罪として逮捕されるし、実際にされている。それなのにインターネットを規制したがるのは、自分のネタに対する批判を聞きたくないからではないか、と思われても仕方がないかもしれない。

マニフェスト4「出しゃばり過ぎなので小沢幹事長には議員辞職してもらいます」

 太田には、自分の胸に手を当ててよく考えてほしい。小沢幹事長とは、当時民主党幹事長だった小沢一郎のこと。幹事長は党内のことを決める役職なのに、毎回何ごとにもしゃしゃり出てきて総理大臣より目立つような印象だった当時の小沢幹事長には、太田と同じ感想を持っていた人も多いかもしれない。

だがその姿は、やたらでかい声で前に出てくる、テレビ出演時の太田とそっくり被って見える。マニフェスト自体が一発ギャグっぽいし、これはよく考えると自虐ギャグなのかもしれない。

 このように太田のマニフェストは聞こえは良いが、深く考えて出されたものではないとわかる。もし太田が実際に総理大臣となり、ここまでのマニフェストを実現したとすると、日本は「外国から軍事攻撃され放題の、政府による言論統制が行われ、稲川淳二島田秀平が廃業し、出しゃばりは排除される国」となってしまう。もはや国として成り立っていない状態だ。つまり、太田自身も一部分は本気であるにせよ、バラエティ番組向けの極論を言っていると考えていいだろう。


 ところで現在までの日本の総理大臣で、「太田総理」と同じ理想主義マニフェストを掲げて就任した総理がひとりだけ存在する。鳩山由紀夫だ。鳩山元総理は、普天間飛行場国外県外移設など、「できるに越したことはない」約束を国民と結び、実現できなかったことで記憶に新しい。やはり「現実よりも理想を語れよ!」は、バラエティ番組にとどめておくのが「現実的」だろう。

(文・tkze)

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