NHK『のど自慢』を税金で誘致

「今日は〇〇県〇〇市からの生放送で~す」と開口一番。そして「会場の〇〇市民会館には〇〇〇人のお客様がお越しです」と続くのがNHKの人気番組『のど自慢』である。

おじいちゃんおばあちゃんのほのぼのとした番組の、もう1つの顔である。
 実はその地域や会場の宣伝にはもってこいの番組なのだ。しかし、『のど自慢』を開催するのには、なかなかの金額が必要となってくる。

 埼玉県所沢市は『のど自慢』経費が問題になったことがある。2010年10月24日に放送された『のど自慢』で、市が400万円以上の経費を負担していたことが翌月4日に明るみになったのだ。
 同市は会場となった市民体育館の舞台や椅子の設置など、番組に必要な設営費にこの金額を投入。

市民からは「税金の使い道として納得しがたい」という声が上がった。果たして本当に400万もの金が必要だったのだろうか?

 この問題を受けて、5日付の朝日新聞では、メディア法専攻の服部孝章・立大教授が「NHKの番組は受信料で制作するのが前提(中略)。今さら名を売る必要のない自治体で税金を使い、のど自慢をやることが市民サービスと言えるだろうか」と批判した。
『のど自慢』の制作はNHKが行うが、会場の確保や運営などの必要経費は自治体の持ち出し、というのが慣例なのである。

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(文・編集部)

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