記者会見や一部報道でも周知のとおり、三菱自動車による燃費不正問題で、外部有識者のみで構成される特別調査委員会による報告書が8月2日に公表されました。

なお、特別調査委員会は、渡辺恵一委員長(元東京高検検事長)、元トヨタ理事でハイブリッド開発統括の八重樫武久委員、坂田吉郎委員(弁護士)、吉野弦太(弁護士)の4人です。

調査報告書によると、同社は遅くとも1991年(平成3年)頃から型式指定審査のため、法令である惰行法によって走行抵抗を測定することなく、開発段階における動力性能実験に付随する高速惰行法によって測定済みの走行抵抗のデータを流用。

そして、惰行法によって走行抵抗を測定したかのような体裁として負荷設定記録を作成して運輸省(当時)に提出し、型式指定審査を受けるようになっていました。

三菱自動車はその後、今回の燃費不正問題が発覚するまで約25年にもわたり、ほぼすべての車種について同様の方法で負荷設定記録を作成して、型式指定審査を受けていたと指摘しています。

報告書の中では、リコール隠しによる多数の人材流出なども指摘されていますが、中でも注目なのが極めてコンプライアンス意識の低下が続いていた状況。

とくに、驚くべきは、2005年(平成17年)2月18日に開催されたという「新人提言書発表会」において走行抵抗測定方法の問題が取り上げられ、「国内仕向け自動車の型式指定審査の際に使用する走行抵抗は、惰行法によって測定するというのが法規の定めであり、法規に従って惰行法を用いるべきである旨の提言が、当時の新人社員からなされた」と、新入社員から突っ込まれたという点です。しかし、その後も同社の運用は改められていません。

今後の復活は日産自動車のサポートも重要ですが、改めて企業風土の刷新は難しいことと感じさせられます。今度こそ自浄力が働くでしょうか。

(塚田勝弘)

画像付き元記事はこちら:新入社員に指摘されていた三菱自動車の燃費不正問題(http://clicccar.com/2016/08/03/390294/)