「みんなから好かれているな」「あの人の悪い話を聞いたことないな」。あなたの周りに、そんなふうに思わせる魅力的な人っていませんか? 老若男女問わず、誰からも好かれる人の共通点があるとすれば、知っておいて損はありません。


前回は「適切なパーソナルスペース」や「単純接触効果」など、誰でも"人類モテ"するために実践できる5つのポイントを、具体例に沿って解説しました。今回は行動ではなく、心理的な部分をさらに掘り下げていきたいと思います。

→前回の記事「男女問わずに"モテる人"の共通点とは?」

教えてくれるのは、Je respire代表取締役であり臨床心理士の松島雅美先生。松島先生は、これまでに延べ2万5千人以上のカウンセリングを行ってきたいわばメンタルのスペシャリストです。今回は、心理学を交えながら"人類モテ"の秘けつをお聞きしていきます。

■自己理解が安心感を与えるカギ!?

まず前回お話した「安心感」について。
人に好かれる、人が寄ってくる人には、相手を緊張させないような安心感を持っていることが共通点なのだと説明しました。

松島先生によると、モテる人の安心感の根源には「自己理解」があるそうです。実は、自分を客観的に理解できることは、自分の魅力を自然に出せたり、"心の安定"につながったりすると先生は話します。また、自己理解ができて初めて、他者理解ができるようになるのだとか。

ですが、そんな安心感や他者理解につながる『自己理解』とは、そもそも、どのようにすれば身につけられるのでしょうか。そしてそれをどのような方法で"人類モテ"につなげていけばいいのでしょうか。
これから4つのポイントに絞り、一つずつ解説していきたいと思います。
■1. 自分のキャラに合わない自分を作らない

あなたの周りに、"こんなふうになりたい"と思わせる人はいますか? 魅力あふれる人に憧れて、真似をしてみるのは悪いことではありません。ですが、その人のキャラクターは自分自身の特性に合っているでしょうか。

松島先生は、「見本があるのはいいこと」と前置きした上で次のように続けます。

「こうなりたいな、素敵だなと思うことは間違いではありませんが、人によって魅力は異なります。自分の強みやどういう印象を持たれやすいのかを見つけるよう、最初に意識してみてください。
ただ誰かの真似をするだけだと、どこか違和感が生まれてしまうもの。例えば、ジョークが得意な人の真似をしてみたけど、自分が言うと変な空気になる……なんてことがあるかもしれません」

どこか違和感のある人に、安心感や好意を抱くのは難しいもの。そうならないためにも、自分の得意・不得意を理解することから始めましょう。自身を理解してようやく、自分という人間の魅力を表現できるようになるはずです。
■2. 不快を長引かせない、伝染させない

多くの人は、ネガティブな人よりポジティブな人の方が好きだと答えると思います。ポジティブな人ができることの一つに、「自分の不快を長引かせない」ことがあります。
これは自然にできていた人もいれば、意識的にできるようになった人もいるかもしれません。

「感情は、身近な人から伝染するもの。ポジティブだけでなく、ネガティブな感情も大きく影響を受けてしまいます。不平不満を言う人や、イライラしている人がそばにいると、あなたの気持ちまで引っ張られてしまった……なんて経験はありませんか? これを、心理学では情動伝染と言います」

これはなんと、ネガティブな感情の方が伝わりやすいという研究結果も出ているほど。"私さえ我慢すればうまく回るはず……"などと無理をしていると、知らず知らずのうちに、自分がネガティブをばらまいてしまっている可能性もあります。もし不快だと少しでも感じたら、押さえつけるのではなく、その不快を長引かせない方法を見つけておきましょう。


気分が良くなる友人に会うとか、好きなものを食べるなど、ささいなことで構いません。自分にあった不快の対処法を見つけ、習慣にすることが大切です。

自分自身を理解し、コントロールできるようになれば、他人の不快にも気づけるようになり、さらには手を差し伸べることもできるようになるのではないでしょうか。すなわちそれは、相手に好感を抱いてもらえることにつながるはずです。
■3. 簡単なお願いをして相手を頼ってみる

この人のために何かをしてあげている、それが、イコール"この人のことを好きなのかもしれない"という錯覚に陥ることがあるそうです。相談に乗ってもらっているうちに好きに……そんな話を聞いたことはないでしょうか。
それがまさに、このことです。

「気を引きたい場合は、簡単なお願いをちょこちょこしてみてください。本当に簡単なことで構いません。"ちょっとペンを貸してください"や、"その荷物を取ってもらえませんか?"など、相手にとって苦にならない程度のお願いをしてみてください。また、相手の得意分野について質問してみるのもいいですね」

これは異性に対してだけでなく、職場での上司と部下の関係でも有効です。

"自分は苦手だけど、相手が得意なこと"など、自分と他者をよく理解し、相手にとって煩わしさを感じない程度のお願いを見極めてから実践してみましょう。
■4. 間接的コンプリメントを使う

コンプリメントとは、褒め言葉や賛辞という意味を持ちます。このコンプリメントには、大きく分けて直接的と間接的の2種類があり、松島先生によれば、より効果的なのは間接的コンプリメントなんだそう。

「上手に褒めてくれる人は、気持ちがいいものです。私自身も仕事やプライベートで間接的コンプリメントをよく使うようにしています」と、松島先生。

間接コンプリメントの例として、"私もすごいと思うけど、○○さんも言っていたよ"など、第三者を登場させてみるのが有効的なんだとか。それを言われた相手は、"その場にいなくても自分のことを話してくれているんだ"と感じ、うれしくなるそうです。これは自分と相手、そして第三者。登場する全員の評価がアップする「魔法のような技」だと、松島先生は話します。

たしかに……。褒めてくれた相手はもちろん、それを伝えてくれた人、どちらにも好印象を抱きますよね。ただ、その相手に良さに気づくには、きっと自分がこれをやってもらってうれしい、あの人はこんなところが他よりも秀でていると気づける力が必要です。それも自己理解、他者理解があって初めてできることなのかもしれません。

「ここまで説明した内容において、自己理解の重要度がどれほど高いかわかっていただけたと思います。自己理解ができて初めて、他者理解ができる。それを頭の片隅において他者を観察し、より上手な付き合い方をしていけるといいですね」と、松島先生。

奥の深い"人類モテ"ですが、知っていくと面白い発見もたくさん。これらがみなさんの役に立ってくれることを願っています。

高橋もも子 たかはしももこ 雑誌編集部、WEB編集部勤務を経てフリーランスのライターに。エンタメ系のインタビューを中心に、生活に関する時事ネタや単発企画など多ジャンルで執筆中。芸能人の顔と名前を覚えるのが得意です。 Twitter:@m152cm_ この著者の記事一覧はこちら