俳優の中山求一郎が14日、東京・新国立劇場小劇場で行われた舞台『エンドゲーム』の取材に応じ、かつて記者を志していたという意外な過去を明かした。1,016人の応募者から選ばれ、新国立劇場主催公演に初出演する中山は、役者として苦しい時期を支えた言葉や、芝居に懸ける現在の思いも率直に告白。
「生きづらい」「一人だ」と感じる人たちの“架け橋”になれる俳優を目指したいと語った。

サミュエル・ベケットの不朽の名作『エンドゲーム』は、1957年の初演以来、世界各国で上演され続けてきた不条理劇。終末的な状況の中、出口のない空間に閉じ込められた4人の登場人物が、“終わり”と向き合う姿を描く。今回の上演は、新国立劇場の小川絵梨子芸術監督による〈フルオーディション企画〉の最終作となる第8弾で、1,016人の応募者の中から選ばれた4人のキャストが出演。中山はその一人として、クロヴ役に抜てきされた。

初めてマスコミの前に立ったという中山は「非常に新鮮な気持ちです。緊張もしていますが、ありがたさの方が勝っています」とコメント。さらに「今日は皆さんの“お仕事ぶり”を間近で見られて、個人的にはワクワクする気持ちが強かった」と語り、「父親がテレビ局で記者をしていた影響もあって、大学も新聞学科に通っていました。かつて憧れた職業の方々の前でお話しできていることが、とてもうれしいです」と笑顔を見せた。

「きゅうちゃん」の愛称でも親しまれる中山は、2015年に橋口亮輔監督の映画『恋人たち』のオーディションを受けてデビュー。今年で俳優生活は10年を超えた。今回『エンドゲーム』のオーディションに応募した理由については、「演出の小川絵梨子さんとご一緒できるということが、まず一つ大きかったです。
この戯曲も、もともと本を持っていて『どうしてもやりたい』という強い思いがありました」と説明。合格時は「まさか選んでいただけるとは思わなかったので、ものすごくうれしい気持ちと動揺が走りました」と振り返った。

これまで俳優を辞めようと思ったこともあったという。「オーディションに受からなかったり仕事が全くない時期が長くて、半ば病んでいるような感じだったこともありました」と吐露しながらも、「これまで映画や演劇で感動してきた言葉やシーンに支えられてきました」と回想。先輩俳優・岩谷健司から聞いた「俳優は売れる・売れないの“縦軸”ではなく、今面白くあるかという“横軸”でやっていくべき」という言葉を「今の僕の金言」と表現した。

ターニングポイントとなった作品には、デビュー作『恋人たち』と、昨年出演した舞台『勝手に唾が出てくる甘さ』を挙げた中山。「素晴らしい役者さんたちとご一緒して、『この人たちと同じ土俵でやっていきたい』と強く思った」と話し、苦しい時には俳優仲間の藤原季節らと語り合ったり、サッカー観戦で気持ちを整えたりしていることも明かした。中でも日本代表の遠藤航選手について、「強敵相手に諦めずに戦う姿には、いつも勇気をもらっています」と語っている。

今後については、「今、自分で映画を撮りたいと思って脚本を書いています」と新たな挑戦を告白。その上で、「『生きづらい』『一人だ』と感じている人たちへの“架け橋”になれるような俳優を目指していきたい」と将来像を語り、「今回のような素晴らしい舞台に立てることを証明し、お芝居を通して皆さんに何かを届けていきたい」と力を込めた。
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