「個人向け国債」の金利が上昇を続けています。元本保証で運用できる安心感から、改めて注目する人も増えている一方、資産形成の主役として人気なのが「オルカン」です。
では、100万円をそれぞれ運用した場合、将来受け取れる金額にはどのくらい差が生まれるのでしょうか。2026年5月募集分の個人向け国債の最新金利をもとに比較しました。
個人向け国債とオルカン、それぞれの特徴は

個人向け国債は日本国政府が発行する債券で、「変動10年(変動金利型10年満期)」「固定5年(固定金利型5年満期)」「固定3年(固定金利型3年満期)」の3つのタイプがあります。

変動10年の金利は半年ごとに変わりますが、固定5年と固定3年の金利は満期まで固定されて変わりません。いずれのタイプも、年率0.05%(税引前)の最低金利が保証されています。

また、1万円から1万円単位で購入可能で、発行から1年が経過すれば途中換金もできます(その場合、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる)。

一方のオルカンは、三菱UFJアセットマネジメントが提供する投資信託(ファンド)です。正式名称は、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」への連動を目指して運用される、インデックスファンドです。

オルカンは、「オール・カントリー」という名前の通り、先進国から新興国まで世界中の株式にまとめて分散投資ができます。また、国内の投資信託の中でもトップクラスの純資産総額を誇っています。

リスクを抑えながら安定したリターンも目指せることから、幅広い層の人気を集めている投資信託です。


それぞれの特徴を踏まえると、個人向け国債は、安全性を重視して手堅く運用したい人に適しています。一方、オルカンは値動きのリスクを受け入れつつ、世界経済の長期的な成長を見据えて投資したい人に向いている商品といえるでしょう。

利子と運用益をシミュレーション

では、個人向け国債とオルカンでは、受け取れる利子や運用益にどのくらい違いがあるのでしょうか。ここでは、2026年5月募集分の個人向け国債(3タイプ)の金利と、オルカンの運用実績をもとにした想定利回りを用いて、それぞれ100万円運用した場合を比較してみます。

なお、オルカンの平均利回りは直近5年では約20%にものぼります。しかし、より長期的な視点で慎重に利回りを想定するため、今回は、同じ指数に連動する「iShares MSCI ACWI ETF」の過去30年間の年率リターンを参考に、シミュレーションで用いるオルカンの利回りを8%として計算します。

また、運用にかかるコストや税金は考慮しないものとします。

<個人向け国債(2026年5月募集分)>

・変動10年

・固定5年

・固定3年

<オルカン>

個人向け国債「変動10年」「固定5年」「固定3年」の受取利子と、オルカンで10年、5年、3年運用したときの運用益を算出してみました。

まず、最も長い運用期間である10年を見比べてみると、個人向け国債「変動10年」で受け取れる利子は16万7,000円、それに対してオルカンの運用益は115万8,925円でした。同じ運用期間でありながら、オルカンの運用益は個人向け国債の利子より99万1,925円も多くなっています。

次に、運用期間5年を見てみると、「固定5年」で受け取れる利子は9万4,500円、それに対してオルカンの運用益は46万9,328円です。こちらも、37万4,828円もの大きな差が開いています。


運用期間3年では、「固定3年」で受け取れる利子は4万7,100円、それに対してオルカンの運用益は25万9,712円と、21万2,612円もの差がありました。

なお、個人向け国債の「変動10年」は半年ごとに金利が変わるため、将来の利子総額を正確に計算することはできません。ここでは、発表金利の1.67%が、この10年間ずっと同じ水準で続くと仮定して、受け取れる利子額のイメージを示しています。
特徴を理解し、資産形成に役立てよう

個人向け国債と比べると、オルカンの利回りは大幅に高く、将来受け取れる金額にも大きな差が生まれる可能性があります。 もちろん、今回の結果はあくまでシミュレーションのひとつに過ぎませんし、個人向け国債にも、オルカンにはないメリットや魅力が存在します。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、ご自身の資産形成に役立ててみましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
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