最初に結論:
聞こえづらい“モヤ耳”を技術でアシスト! カシオがイヤホン新製品
新製品の注目ポイント!:
特徴1:「音声の聞き取りにくさ」はシニア層だけでなく若年層でも課題
特徴2:自然な聞こえを助けるオープンイヤー型イヤホンを開発
特徴3:聞こえの改善で「コミュニケーションの質」も改善する
カシオ計算機は5月19日、オーディオ領域の新製品・ヒアリングアシストイヤホン「earU(イヤユー)」の発表会を開催。会話の聞こえづらさによるコミュニケーションのストレスを“モヤ耳”と定義し、全年代に関わる社会課題として取り組む新規事業をスタートします。
○“聞こえ”を社会課題としてとらえる
「音声の聞き取りにくさ」は加齢によるものと思いがちですが、現在は若い世代にも広がっているそうです。原因のひとつは、イヤホンやヘッドホンを大きな音量で使う時間が増えたこと。難聴までは行かなくても、カシオが強調するのは「聞こえ」は単なる音量の問題ではなく、「人の声には感情やニュアンスが含まれる」ことです。
カシオの調査によると、医学的に聴力に問題がなくても、日常生活の中で人の声や会話が「聞き取りづらい」と感じることがある人は58.1%、その際に聞き返すことを遠慮して十分に理解しないまま会話を続けた経験のある人は72%という結果に。聞こえづらさが、コミュニケーションや幸福度、生産性にも影響を与えるという調査結果も紹介されました。
印象的だったのは、「聴力検査では問題がないが、会話のニュアンスや抑揚がつかみにくい状態」を“モヤ耳”と名付けた点。単純に音が聞こえるかどうかではなく、「なんとなく聞き取りづらい」「聞き返しづらい」といった曖昧なストレスに注目しています。
○日常に溶け込むヒアリングアシスト
新デバイスのearUは、耳をふさがないオープンイヤー型のヒアリングアシストイヤホン。医療機器として認定を受けたいわゆる「補聴器」ではなく、あくまで「聞こえ」をサポートする完全ワイヤレス型のイヤホンです。
本体カラーはネイビーブラックとアイボリーホワイトの2色、価格はオープン、想定価格は49,940円、発売は5月28日。アイボリーホワイトは、付属するスタイルアクセサリーの違いで2モデルがあります。
耳に挟み込むイヤカフ型のデザインは耳穴をふさがないため、自分の声がこもりにくく、周囲の音や方向感覚も把握しやすくなっています。
技術面では、独自の「Cuffs Technology(カフステクノロジー)」を搭載。ハウリング抑制や音響補正、個別最適化などを組み合わせ、自然な聞こえを目指したといいます。
発表会で実機も試してみました。適切な耳の位置にピタッと収めるには多少の慣れが必要だと感じましたが、装着したあとは快適。圧迫感や違和感はほとんどありません。ヒアリングアシスト機能も優れており、自分の声も相手の声もはっきり聞こえます。若干、自分の声が増幅されている感じはしましたが、開発で「自分の声が自然に聞こえるようにこだわった」というだけのことはあります。
カシオのR&Dセンターによる技術説明でも、単なる集音性能ではなく“自然な音”への強いこだわりが語られました。
例えば、オープンイヤー型は低音再生が難しく、ハウリングも発生しやすい傾向があります。その課題に対して、数十種類のドライバー試作や独自のデジタル処理を重ね、開発初期比で約7倍の音圧向上を実現したとのこと。カシオはシンセサイザーや電子ピアノといった電子楽器をはじめとして、「音」に関して40年以上の研究の歴史があり、その蓄積とノウハウが投入されています。
また、専用アプリ(Android/iOS)による聴力チェックと自動調整機能も搭載。レストラン、オフィス、屋外など、利用シーンに応じた設定切り替えにも対応します。加えて、earUはヒアリングアシスト専用機器ではなく、一般的な完全ワイヤレスイヤホン(ストリーミングモード)としても使えます。
○主な仕様
通信規格:Bluetooth Core 5.4
対応コーデック:SBC、aptX、AAC
ドライバーユニット:φ10mm ダイナミックドライバー
マイク形式:MEMS
連続使用時間:リスニングモード(ヒアリングアシスト)で約9.5時間以上、ストラップで約14時間以上
充電時間:約1.5時間(リスニングモード時、10分間の充電で約90分の動作が可能)
防滴性能:IPX4
質量:約8g(片耳、スタイルアクセサリー含まず)
使用温度:0℃~40℃
付属品:充電ケース、イヤーピース(S/M/L/XL、各2個)、充電用USBケーブル、スタイルアクセサリー
○“聞こえづらさ”を可視化する挑戦
発表会では、豊橋技術科学大学の松井俊恵教授が登壇し、イヤホン難聴や現代のリスニング環境について解説。WHO(世界保健機関)が安全なリスニングに関する国際規格を定めている一方で、オンライン会議や長時間のイヤホン利用など、現代の生活環境には依然として難聴リスクがある点を指摘しました。
earUについては、自分の声が自然に聞こえることは会話への参加感を保ちやすいと評価。耳穴をふさがない構造は、方向感覚を維持しながら周囲の音も把握しやすいことをメリットとして挙げました。
ゲストによるデモンストレーションは、庄司智春さん・藤本美貴さん夫妻。レストランでの会話を想定したもので、earU装着後、藤本さんは「耳のすぐそばで話しかけられているみたいにはっきり聞こえる!」とコメントしました。
今回のearUは、聞こえづらさを加齢だけの問題として扱わず、コミュニケーションの質という視点からとらえている点に興味がわきます。筆者自身としても、会話の中でけっこう聞き返すことが多いと自覚しているところがあるため、友人たちと居酒屋で試してみたくなりました。
earUの発表に合わせて、カシオは「モヤ耳」のWebページも公開。











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