立浪監督が誰を起用するのか注目される(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 セ・リーグ首位を走る中日にアクシデントが発生した。開幕からフル出場を続けていた高橋周平が故障で離脱ーー。

4月16日のヤクルト戦でゴロを処理した際に下半身を痛め、立浪和義監督は登録抹消を示唆している。入れ替わりでルーキー内野手・辻本倫太郎が昇格の予定だ。

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 高橋周はオープン戦での好調そのままにシーズンへ突入し、開幕戦では2本のタイムリー。以降は一時的にバットが湿ったものの、直近5試合では3度の複数安打を記録していた。また、定評のある三塁守備でも球際の強さは健在で、幾度もピンチを救ってきた。間違いなく、チームを開幕ダッシュ成功に導く立役者のひとりだった。

 不動の「3番打者」と「正三塁手」が抜けるのは正直痛い。それでもペナントレースは待ってくれない。今回は高橋周の抜けた「3番打者」と「三塁手」の代役候補を考察したい(※成績は4月16日現在)。

■3番打者:細川の打順を上げるか、左バッターを置くか

 三好大倫、田中幹也の1・2番が出塁、高橋周がつないで、中田翔と細川成也が還す。これが今季の得点パターンとなっていた。「つないで」と書いたように、高橋周の存在が打線に1本筋を通していたように思う。

 得点の効率を上げていきたいなら、細川を5番から3番に持っていくのが良い。チーム随一の長打力を誇るスラッガーを3番に置けば、一塁走者を一気に本塁へ還すシーンが増えるだろう。昨季も73試合で3番を打っており、慣れの部分でも問題はない。

 高橋周と同じ左打者を置く場合は、上林誠知か宇佐見真吾の起用が考えられる。ともにロングヒットを狙えるのが特徴だ。実際に上林は16日の試合で高橋周が抜けた3番に入ると、8回に二塁打を放ち、直後の逆転劇を呼び込んでいる。

一方の宇佐見は打数は少ないものの、打率.364と好調をキープ。捕手だけでなく、中田の休養時に一塁で使えるのも大きい。

 筆者は上林が3番打者の有力候補と見る。首脳陣の心情を察するに、中田~細川のラインを崩したくないのではないかと。

■三塁手:カリステを筆頭に山本、村松の起用も

 高橋周のような三塁手は12球団を見渡してもそうそういない。特に守備面において。

その守備面を重視するか、はたまた攻守のバランスを重視するかで、代役の選択肢が変わってきそうだ。

 守備面ではまず山本泰寛が挙げられる。山本はユーティリティープレーヤーではあるが、昨季まで在籍した阪神では2軍で三塁を多く守っており、守備面では全く心配ない。現状は遊撃のファーストチョイスなため、そこを動かせるかにもかかってくる。

 山本を遊撃から動かせないとなると、村松開人の三塁起用も視野に入るか。公式戦での守備機会はないが、1年目の昨季にオープン戦で三塁を守った経験を持つ。

打力もある程度計算できるため、使ってみる価値はありそうだ。

 攻守のバランスではオルランド・カリステが一番か。ラティーノらしいダイナミックな守備で沸かせてくれそうだ。そして、打力の高さと攻撃的な走塁もチームの武器になり得る。16日の試合では当初守っていた左翼から三塁にまわっており、現状の筆頭候補と見て良いだろう。

■中長期的には石川昂、福永に期待

「3番」「三塁手」と聞いて、石川昂弥の名前が上がってこないのが正直寂しい。

 もともとは三塁のレギュラー筆頭候補だったが、キャンプでの軽微なケガとオープン戦での不振により、高橋周にポジションを奪われた格好。2軍でも本塁打ゼロと目立った活躍はなく、報道によると打撃フォーム改造に取り組んでいるようだ。まだまだ時間がかかるということで昇格は見送られたが、高橋周の離脱が長引くようだと背番号25の出番がやってくるかもしれない。

 そして、2年目・福永裕基にも期待がかかる。2本塁打と9盗塁はウエスタン・リーグでトップの成績。OPS.937は同2位、打率.343は同3位と攻撃面での充実ぶりがうかがえる。課題は守備面で、二塁と三塁を守って計5失策。直近で外野での出場機会が発生しており、まずはそちらの上達が優先されたか。できれば旬なうちに昇格させたいところだが……。

 上位に居続けられるチームには選手層の厚さが必須。ケガや不調をカバーする選手が現れるものだ。高橋周の離脱で訪れた“試練”を迎え、首脳陣のやりくりに俄然注目が集まりそうだ。

[文:尾張初]