好投を見せた高橋宏。意表を突くセーフティバントで今季初安打も記録した(C)産経新聞社

 大型連休を終えて、中日は勝率5割ジャスト(14勝14敗4分け)。

単独首位に立った頃の勢いこそないものの、直近2試合で約3週間ぶりの連勝を果たしている。

 この2試合で勝利投手になったのが髙橋宏斗と梅津晃大。ともに先発を務めて試合を作った。彼らの好投が、チームに「らしさ」を取り戻させたかもしれない。

【動画】高橋宏斗が見せた勝利への執念!意表を突いたセーフティーバントの映像

■抜群の内容を見せた髙橋宏斗

 5日のヤクルト戦(神宮)で勝利投手になった髙橋宏は、8回2/3を3失点の内容。完封・完投まであと1アウト、本当にもう一歩……である。

 前日まで先発が早期降板かつ2試合続けての延長戦、その前は涌井秀章が1回持たずKOと、救援陣の負担が増していた。ゆえに、背番号19にかかる期待は否応なしに高まっていた。

 立ち上がりから髙橋宏は飛ばしていた。最速157キロの直球とスプリットを軸にアウトの山を築く。中盤からは130キロ前後のナックルカーブを効果的に使用。4回から5回にかけて6者連続三振を奪うなど、相手に付け入る隙を与えず。

打席でもセーフティーバントを決め、勝利への執念を見せた。

 9回に自らの悪送球が重なり失点したものの、次回以降の課題を敢えて残したと捉えて良いほど、この日の髙橋宏は抜群だった。降板後の涙も含め、全身で喜怒哀楽を表現する様は多くのファンを魅了したのではないか。

■梅津晃大は要所を抑え今季初勝利

 翌6日に先発した梅津は、本拠地・バンテリンドームナゴヤで巨人と相対した。

 前夜の髙橋宏と異なり、梅津は初回からランナーを出すなど苦しい投球が続いた。2回までに盗塁を2個許し、得点圏に進めてしまうことも。

それでも「制球重視」で変えたというクイック投法がハマり、要所を抑えていく。

 結果、6回まで投げ切ることはできなかったが、5回1/3を無失点で降板。後を受けたリリーフ陣がリードを守り、背番号18は今季初勝利を手にした。

 トミー・ジョン手術明け2年目を迎え、本格的な復帰シーズンとなる梅津。これまでの3登板では好投しても白星に繋がらないこともあっただけに、今回の1勝で潮目が変わることを期待したい。

■「先行逃げ切り」がドラゴンズの「らしさ」

 今季の中日は典型的な「先行逃げ切り」のチームだ。

 先制した時の勝敗は11勝3敗3分け、リーグ最高の勝率.647を記録。4月5~13日にかけての6連勝中はいずれも先制し先発投手に白星がつく、「先行逃げ切り」を地で行く戦いぶりだった。

 前述の通り、先発投手の髙橋宏と梅津に白星がついたのは、チームにとって「先行逃げ切り」という「らしさ」を取り戻させる良い機会になった。他の先発陣も発奮して、どんどん勝利を積み重ねていきたい。

[文:尾張はじめ]