コロナ禍の中で行われた12球団のキャンプでしたが、クラスターが発生することなく、無事に終えられたことは安心材料でしょう。ここからはオープン戦を経て、3・26のセ・パ同時開幕へとプロ野球界は突き進んで行きます。

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 キャンプ総括のニュースを見れば、各球団の監督が「キャンプのMVP」を挙げています。投手なら頻繁にブルペンに入り、必死に球数を投げてアピールした男。打者ならユニホームを真っ黒にして、大きな声を出しながら朝から晩までバットを振り込み、ノックの嵐に耐え抜いた男が選ばれがちでしょうか。

 1軍切符をかけたサバイバルの第一ラウンドで、まずは首脳陣にやる気を印象づけた。それはそれで尊いことですが、ベテランのスポーツ紙記者はこう語るのです。

 「キャンプMVPがシーズンで活躍することはなかなかありません。

同様にオープン戦でフィーバーした選手がそのまま好成績を残すことも、ほぼないでしょう。そもそもキャンプやオープン戦でいくら頑張っても、年俸には一切反映されません。大事なのはペナントレースで数字を残せるか否か。たとえるなら、マラソンのスタート前のアップで全力ダッシュを繰り広げるようなものです」

 長いペナントレース。経験のある選手は開幕にピークが来るよう、キャンプやオープン戦ではアクセルとブレーキを交互に踏みながら、うまく調整していきます。

 しかし、若手やルーキーはこのへんのさじ加減が分からず、寒い時期に全力でアピールしてしまう。

すると、どうなるか。生身の人間ですから、一部の頑健な選手を除き、けがを誘発してしまうことも多々ある。オープン戦では元気ハツラツだったのに、開幕後、パタリと勢いが止まってしまう選手は後を絶ちません。

 前述のベテラン記者は続けます。

 「例えば昨春の巨人のキャンプMVPは誰だったか、覚えていますか。来日2年目のモタですよ。

スポーツ新聞は連日、一面でその活躍を報じていた。勢いのままに支配下登録を勝ち取ったのに、オフには戦力外になってしまいました」

 そして、こう言うのです。

 「実績のない選手は首脳陣の期待に応えようと、練習試合やオープン戦でも常に100%で頑張ってしまう。追い込むことも大事ですが、それ以上に栄養や睡眠をたっぷり取って、休養することも重要です。長く現役を続ける選手は例外なく、休むことの大切さを理解している。オンとオフのメリハリも一流の条件です」

 現在、「名将」と呼ばれているあの監督さんや、あのヘッドコーチさんは現役時代、違和感を訴えてリタイアする常連さんだったことはよく知られた話です。


 「キャンプMVP」に選ばれた選手のみなさん、しっかり疲労を除去して、「3・26」に備えるようにして下さいね。ペナントレースは長いのですから!

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]