もう見慣れた光景となってしまった。

 パ・リーグ3位の楽天は26日、先発の田中将大投手(32)が7回4安打1失点と好投したものの、2位オリックスと1-1で引き分け、差を縮めることができなかった。

打線は今回も機能せず、9回になんとか1点を返して田中の黒星を消すのがやっとだった。

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 26日時点で田中は4勝6敗。チームは残り22試合で、中6日ペースだとあと4試合に登板可能だが、全勝しても2ケタには届かない。プロ野球史上最高年俸9億円(金額は推定)投手の成績としては、明らかに物足りない。7月13日ソフトバンク戦を最後に6試合連続で白星がなく、混戦の優勝争いで楽天が浮上できない一因となっている。

 田中の防御率「2.98」はリーグ4位でチームトップ。

だが得点援護率(投手が登板中に味方打線が挙げた得点を1試合換算で表した指標)が少ない。援護率「2.48」は規定投球回数到達者ではリーグワーストで、数字的にも飛び抜けて低い(援護率トップはオリックス宮城の「4.47」)。

 楽天打線自体の問題でもない。田中より防御率で劣る則本は援護率「3.92」で10勝。岸は援護率「4.26」で7勝をマーク。田中は先発陣でもっとも安定して試合を作るにもかかわらず、打線の援護不足に泣かされる試合が続いている。

「マー君、神の子、不思議な子」

 楽天入団1年目の07年、当時の野村克也監督が、点を取られても味方打線がたびたび取り返すため、勝ち運に恵まれた田中を形容した言葉だった。24勝0敗と神がかった活躍で楽天を初優勝に導いた13年の援護率は「6.08」。防御率「1.27」も圧巻だったが、おつりがくるほど十分な援護も受けていた。

 メジャーの活躍でスーパースターとなり、日本復帰した今シーズン。「マー君」と呼んでかわいがってくれた先輩はいなくなり、多くの若手にとって田中は伝説のような存在だ。偉大すぎる先輩の登板時「野手は知らず知らずにプレッシャーを感じている」とチーム関係者。

勝ちがつかないことで田中がさらに気合を入れ、マウンドで鬼の形相になればなるほど味方が萎縮し、本来の打力を発揮できない悪循環に陥っている。

 田中に勝ちがつかないのは、田中が悪いわけではない。楽天打線が「マー君恐怖症」を払拭しない限り、8年ぶりの頂点を勝ちとることはできないだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]