「緊張やストレスを感じると、お腹が緩みやすい」
「慢性的に下痢しやすく、生活に支障をきたす」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
繰り返す下痢症状には、食あたりや薬、サプリメントによるものや、日常生活によるものなど、さまざまな原因が考えられます。そのため、自分の下痢症状の原因がなにか理解したうえで対策することが大切です。
そこで今回は、下痢の原因と下痢に効果的な漢方薬についてご紹介します。
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1.下痢の原因をチェック!
下痢は、「分泌性下痢」「浸透圧性下痢」「ぜん動運動性下痢」「浸出性下痢」の4つに分類されます。それぞれ原因が異なるため、下痢症状の原因を理解して、自分に合った対策をすることが大切です。
今回は、生活習慣や環境変化が下痢症状を引き起こす理由を、以下に詳しくご紹介します。
1‐1. 暴飲暴食による下痢症状
食べ過ぎや冷たい物の摂りすぎ、過度のアルコール摂取は、下痢症状を引き起こす原因とされています。
私たちが食べたものは、食道を通って胃に入り、小腸へと送られて必要な栄養素が吸収され、大腸で水分が吸収されて固形の便が形成されます。こうして、残渣となったものが便として排出されるのです。
大腸には、水分を吸収・分泌する働きと、腸の内容物を送り出す「ぜん動運動」の働きがあります。暴飲暴食は、これらのバランスを崩してしまうため、下痢症状が起こりやすくなるといわれているのです。
たとえば、普段以上に食べ過ぎてしまうと、食べ物を消化しようと腸の動きが異常に活性化されます。また、冷たい物の摂りすぎは、腸の粘膜の一部を刺激するため、ぜん動運動が活発になりすぎてしまいます。
そうすると、便の通過速度が速くなり、便から水分がしっかり吸収される前に排便されるため、便が固形で排泄できず下痢になってしまうのです(ぜん動運動性下痢)。
また、アルコールを大量に摂取すると、水分や電解質が腸からからだへ再吸収されにくくなるといわれています。さらには、消化機能の低下により糖や脂肪が分解・吸収されにくくなります。
その結果、便に水分や電解質が多く含まれた状態で排泄されたり(浸透圧性下痢)、便に過剰な脂肪分が含まれた状態で排泄されたりして(脂肪便)、下痢を起こしやすくなると考えられているのです。(※1)(※2)
1‐2. ストレスによる下痢症状
朝の出勤や通学途中、大切な会議や試験前など、緊張や不安が大きくなったときに下痢になったという経験はありませんか?
また、便秘が続いていたはずなのに、急に下痢になることも少なくありません。これらの下痢症状は、ストレスによる自律神経の乱れが原因と考えられています。
腸を含む消化管の働きは、自律神経(交感神経・副交感神経)によってコントロールされているため、自律神経が乱れると下痢や便秘を引き起こしやすくなるのです。
腸の内容物を送り出す「ぜん動運動」は、交感神経が優位になると停滞します。しかし、ストレスで交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、交感神経が優位に働くタイミング(腸のぜん動運動が停滞するタイミング)でも、腸が活発に動いてしまい、結果、下痢を引き起こしてしまうのです。
また、緊張やストレスでぜん動運動が停滞した状態から、リラックスした瞬間に一気に副交感神経が優位となるパターンもあります。この場合も、動いていなかった腸が、いきなり活発に動き出すため下痢症状が起こりやすくなると考えられます。
このように、下痢と便秘が慢性的に続く状態は「過敏性腸症候群」とも呼ばれているのです。(※3)
1‐3. 季節の変わり目による下痢症状
先程お話しした、下痢症状を引き起こす「自律神経の乱れ」は、季節の変わり目にも生じるといわれています。
また、生活環境が変化するタイミングでもありますので、それがストレスとなり自律神経が不安定になりやすく、結果、下痢症状が起こるといわれているのです。
とくに、春は1年のうちで寒暖差や気圧変動が激しい季節です。また、入学や就職、異動、転勤など、生活環境に大きな変化がみられやすいため、その分知らぬ間にストレスがかかっていると考えられます。
過敏性腸症候群も起こしやすい時期ですので、十分な対策が必要です。(※4)
2.下痢やお腹の不調には漢方も
下痢は老廃物の排泄ですので、下痢止めなどで無理に止めるのはよくない場合も多いようです。
また、下痢の対策・予防として、「腸内環境を整える」「食生活を改善する」「ストレスをうまく発散する」など、さまざまなセルフケアができますが、「漢方薬」も下痢のようなお腹の不調にはおすすめです。(※5)
2‐1. 漢方は腸にどう働く?
漢方の観点からみると、下痢症状は胃腸機能の低下により、体内に余分な水分がたまった状態、いわゆる「水毒」が原因と考えられています。
また、ストレスにより自律神経が乱れたり血液の巡りが悪くなったりすることは、胃腸機能の低下につながるとも考えられています。
漢方薬は水分や血液の巡りを良くして、腸の巡りを整えることで、症状を改善していきます。
2‐2. 下痢に漢方薬を使うメリットは?
漢方薬を使うメリットは、単に下痢症状を止めるだけでなく、腸を正常な状態に戻して、下痢などお腹の不調があらわれにくい体質へと導いてくれるところです。
胃腸機能を高めることで、十分な栄養をつくることができ、水分や血流の代謝が上がるため、下痢症状だけでなくむくみや皮膚症状といった不調にも効果が期待できます。
また、肝における気の流れがよくなると、肩凝りや頭痛などの不調も緩和することができるとされています。
3.下痢しやすい方におすすめの漢方薬
「以前から、下痢と便秘を繰り返しているのがつらい」
「腸内環境を整えようと食事に気を遣っているに、変わらず下痢しやすい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
「慢性的な下痢」「お腹の不調」などの症状に効果があるとされる漢方薬は、実はいくつもあり、実際に医療現場でも活用されています。
腸が不調になると、消化不良による下痢や便秘、ニキビや肌荒れが生じ、さらにはアレルギーの原因となることも。漢方薬はからだの内側からアプローチすることで、腸内環境を良い状態に導いていくのです。
<下痢しやすい方におすすめの漢方薬>
・六君子湯 (りっくんしとう):胃腸が弱く、胃腸の水分代謝が悪く下痢をしやすい方
胃腸の働きを高め、消化管にたまった余分な水分を取り除きます。飲食直後の下痢やストレスによる下痢に用いられます。(※6)
・五苓散(ごれいさん):のどが渇いて尿量が少ない方
体内の余分な水分を尿として排出することで、下痢をはじめ、水毒が原因のむくみ、頭痛などの症状に幅広く用いられます。
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):ストレスなどでみぞおちがつかえ、お腹がゴロゴロと鳴って、ときに吐き気や腹痛を伴う方
胃腸をあたためることで胃内の水分を取り除くとともに、胃腸の機能を整えることで急性・慢性の下痢をはじめ、消化器の一般的な不調に用いられます。
以上、3つの漢方薬をご紹介しましたが、大切なのは、選んだ漢方薬が自分に合っているか否かということです。
自分の今の状態に合っていない場合は、効果がでないばかりでなく、副作用が生じることもあります。そのため、購入の際には漢方に精通した医師、薬剤師への相談をおすすめします。
●あんしん漢方
4. 胃腸機能を高めて、下痢になりにくいからだに!
春先は自律神経が乱れやすく、お腹の不調がでやすい時期。下痢症状を引き起こしにくいからだをつくるには、生活習慣を見直して、胃腸機能を高めることが大切です。
胃腸機能を高めることは、下痢症状だけでなく肌のトラブルやむくみの緩和、ストレスに対する許容を広げるなど、不調を起こしにくい身体づくりにもつながります。
また、自分に合った漢方薬を選ぶことで、根本的な体質改善も期待できます。下痢症状の原因を理解して、無理のない範囲で対策していきましょう。
参考文献:
(※1)e-ヘルスネット「アルコールの消化管への影響」
(※2)一般社団法人 日本臨床内科医会「下痢の正しい対処法」
(※3)大幸薬品「ストレスとおなかのトラブル」
(※4)ココカラクラブ「季節の変わり目は体調不良になりやすい?対策とは」
(※5)Kracie「下痢に効果的な漢方薬|下痢の原因とその改善方法とは」
(※6)小太郎漢方製薬株式会社「香砂六君子湯 (こうしゃりっくんしとう)」
[文:あんしん漢方]
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 杉岡 弥幸
薬剤師。北里大学で生薬学を学び、卒業後は大手漢方専門店にて漢方薬剤師として勤務。現在は自身のダイエット経験や健康に関する知識を活かして、漢方や養生による体質改善方法をWeb等で発信。
漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。