本格的な夏の暑さがやってきて、夜になっても25度を超える熱帯夜にも注意が必要な今日このごろ。パナソニック株式会社が6月下旬に行った調査によると、夏本番前でもすでに、4割超が「暑さでよく眠れていない」と回答していたそうです。

暑さが続く今、活用したいのは、やっぱり“エアコン”。今回は、睡眠改善インストラクターによる“熱帯夜の快眠マニュアル”をご紹介します。

■エアコンつけっぱなしは少数派

 パナソニック株式会社が、今年の6月21日に、全国の20歳以上の男女548名を対象に行った調査結果によると、睡眠の満足度に関する調査では、66%と7割近くの人が「全く満足度していない」「あまり満足していない」と回答し、睡眠負債を抱えていることが明らかになりました。

 その原因について、4割超が「暑さ」と回答しており、6月下旬と夏本番前にも関わらず、暑さにより寝苦しさを感じ始めていることが判明しました。しかし、暑さが原因で眠れていないはずなのに、睡眠時にエアコンを一晩中つけっぱなしにしている人は3割以下という結果に。つけっぱなしにしない理由として、半数の人が「直接風が当たり冷えすぎるのが嫌だから」と答えていたそうです。


■エアコンを活用した快眠のコツ4選

 とはいえ、エアコンなしで眠るのは、かなり厳しい季節になってきました。熱帯夜で寝苦しいときは、エアコンを上手く活用することで眠りやすくなるそうです。ここからは、パナソニック睡眠改善インストラクターの菊地真由美氏による、夏にエアコンを上手く活用し快眠できる4つのコツをお教えします。

【1】エアコンは寝室に入る30分前にON

 一般的には、室温26度~28度が心地よく眠れる環境だといわれていますが、温度同様に重要なのはエアコンを運転させるタイミング。ついやりがちな間違いが、布団に入ったタイミングでスイッチを入れること。日中に室内に溜め込んだ熱が、夜になっても天井や壁にこもっているため寝るタイミングでエアコンをつけても、室温が下がるまでに時間がかかることがあります。
寝室に入る30分前にエアコンをONにし、上に向けて風をあてておくのが、効率よく良い睡眠環境を作るコツです。

【2】タイマーは設定しない!

 快適な寝室環境を保つには、冷房モードで設定温度を26度~28度にするか、除湿モードに。特に熱帯夜は途中で運転を停止する設定にはせずに、冷えすぎない温度で朝までつけっぱなしにしましょう。途中で運転を停止してしまうと、その後室温が上がると共に寝苦しくなり途中で目覚めてしまう原因になります。理想は、就寝中も寝室の温度をコントロールすること。就寝前は少し温度を下げることで深部体温を下げ、就寝中は温度を下げすぎず、目覚めに向けて少しずつ温度を上げるとGoodです。


【3】湿度は60%以下に保つ

 夏場は湿度が高くなりやすく、寝苦しくなりがち。湿度が高すぎると、途中で目覚めてしまう原因にもなります。夏場は、寝室の温度だけでなく湿度にも注意しましょう。寝室の湿度は60%以下に保つことが重要です。湿度が高い時はエアコンの温度を下げる、または、エアコンを除湿運転する、といった対応をおすすめします。

【4】扇風機との併用使いのすすめ

 前述の調査結果で、エアコンを一晩中つけっぱなしにしない理由として、半数が「直接風が当たり冷えすぎるのが嫌だから」と答えたように、エアコンの風が苦手という人も多くいるかもしれません。
そういう人は温度を下げすぎてしまっていることも考えられます。エアコンの温度設定は下げすぎず、ただ、どうしても室温が高くて寝入りが悪いという方は、扇風機を併用することもおすすめです。

■“深部体温”を下げることを意識して

 安定した眠りのカギを握っているのは、実は“体温”。睡眠評価研究機構代表・医学博士の白川修一郎氏によると、人の体には、皮膚表面の体温とそれよりも少し高い“深部体温”と呼ばれる脳を含めた内臓の体温があるそう。夜になると手や足の表面から放熱して深部体温が下がることで、自然と眠気が高まるとのことです。

 この“深部体温”をスムーズに下げるためには、バスタブにつかって入浴するのも大切。
夏でも38度~40度のお風呂に、10分~20分ほどつかるのがおすすめです。入浴することで深部体温は約0.2度~0.3度上がるといわれており、一度上がった深部体温は反動で下げようとする体の性質があるため、この落差が寝入りやすさにつながります。

 このほか、入浴前に、照明をリラックスできるオレンジ色などにしておいたり、ゆったりとした長袖・長ズボンのパジャマを着用したりすることも、快眠につながるコツだそうです。さまざまな工夫を取り入れて、真夏でもぐっすり眠れる環境を目指しましょう。

【「睡眠に関する実態調査(パナソニック調べ)」概要】
調査地域:全国
調査期間:2021年6月21日
調査方法:インターネット調査(協力:ジャストシステム)
調査対象:20歳以上の男女
有効回答:548名