全世界興収450億円超の大ヒットを記録した映画『ラ・ラ・ランド』。その世界公開の際に、映画の舞台でもあるロサンゼルスのハリウッドで、たった一度だけ開催されたスペシャルなイベントが日本に初上陸する。
【写真】柿澤勇人、爽やかな笑顔がかっこいい!
■未体験の夢のステージは“映画とミュージカルのいいところがミックス”
アカデミー賞史上最多14部門にノミネートされ、6部門で受賞を果たした映画『ラ・ラ・ランド』は、現代のロサンゼルスを舞台に、女優になることを夢見るミア(エマ・ストーン)と、ジャズ・ミュージシャン志望のセバスチャン(ライアン・ゴズリング)が、互いに傷つき、困難に立ち向かいながらも、夢追い人が集まる街ロサンゼルスで必死に生きていく姿を描いたミュージカル映画。今回の『LA LA LAND Live in Concert : A Celebration of Hollywood ハリウッド版 ラ・ラ・ランド ザ・ステージ 初来日公演』では、スクリーンでの映画本編の上映に加え、総勢170名超のダンサー、フルオーケストラ、合唱団のライブパフォーマンス、花火などさまざまな特殊効果で彩る究極のステージエンターテインメントとなる。
――今回の来日公演のお話を初めて聞かれた時の印象はいかがでしたか?
柿澤:もともと映画の大ファンだったのですが、コンサートのイメージが正直なく、どんな舞台になるのだろうという興味が湧きました。単純に曲を演奏するだけなのかと思ったら、映画もスクリーンで上映して、フルオーケストラで、コーラスの方も入れたアンサンブルや、ダンサーのパフォーマンスもあるとのことで、ポジティブな意味で“どうなっちゃうんだろう?”と楽しみになりました。
映画も映画館でいい音響の中でご覧になった方も多いと思うんですけど、今回は、スピーカーを通してじゃなく、生の音とパフォーマンスのエネルギーや熱を感じられるというのは、舞台ならではだと思うので、より立体的に体で感じられる公演になるんじゃないかなと。映画とミュージカルのいいところがミックスされて上演されるんだと思います。全ての感覚をフル稼働して全身で感じられる舞台ってなかなか見ることができないと思いますし、ぜひその貴重な体験を一緒に楽しんでいただきたいと思います。
――映画『ラ・ラ・ランド』はどんな魅力がある作品でしょうか?
柿澤:オープニングから素晴らしい音楽の群舞で始まって、そこから心が鷲掴みにされました。全てがショーアップされてエンターテイメント色が出過ぎているというわけでもなく、2人の恋模様や人間味のある芝居が軸としてあるので芝居としても楽しめましたし、2人の心情が、すてきな音楽と共に繊細に描かれているので、ミュージカルとしても楽しかったです。
僕はライアン・ゴズリングのファンなんです。
――そんな思い入れのある作品に関わる公演で、オフィシャルPRアンバサダーに就任され、19日13時公演では、スペシャルオープニングMCを務められます。
柿澤:なかなかMCの機会もないので、どうなっちゃうんだろうって感じです(笑)。僕もリラックスして楽しみつつ、日本のお客様は舞台やミュージカルに対して緊張されているのか、静かに観られる傾向があると思うので、雰囲気を和らげることができたらいいですね。
本編の音楽を作曲された、ジャスティン・ハーウィッツさんが指揮者として来日されるそうなのですが、僕は同世代なので、どうやったらあんな素晴らしい音楽が自分の中で流れるのか、作曲方法などを聞いてみたいです!
――舞台のアフタートークの経験も多いですし、こうした素の柿澤さんのままでお客様の前に出られることは平気なタイプですか?
柿澤:アフタートークは芝居が終わってからのトークで、特に緊張もせず、なんでも話しますっていうスタンスなのですが、今回はオープニングなのでどうなっちゃうんだろう(笑)。素の僕はおしゃべりなほうではないので、テンションは高めに設定して出ようかなと思います。カチカチになるのか、変なテンションになっちゃうのか、新しい自分が見られるんじゃないかと思っています(笑)。
■デビュー15年 三谷幸喜との出会いがターニングポイントに
――柿澤さんは今年デビュー15周年を迎えられました。この15年を振り返ってみるとどんな15年でしたか?
柿澤:あっという間ですね。初舞台の時の感覚や、初めて主役をやった時の思い出とかも鮮明にありますし、気付いたら15年といった感じで。
――この15年でターニングポイントになった出会いや作品はありますか?
柿澤:う~ん。どの作品との出会いもターニングポイントだと思うんですけど…。三谷幸喜さんの『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』に出演したときですかね。三谷さんって基本的に当て書きをされる方なんですよね。その人の個性や特徴を生かして、それを膨らませて役にあてるという。『メリー・ポピンズ』というミュージカル作品に出演していた時にお話を頂いて、エンタメ色の強い作品に出ていた僕に、まったく歌わない若い時のシャーロック役をあててくださり、すごい人に出会ったなーって思いました。今撮影中の『鎌倉殿の13人』で、台本を頂いてその役を読んでいてもすっと入ってくる感覚があって。そうしたことは今まで15年やってきた中で、初めての感覚だったんです。まだ2作品ですけど、毎回三谷さんとの出会いはターニングポイントになっていくんだろうなと思いながら演じています。
――当て書きにあたって、三谷さんからは取材のようなことはあるんですか?
柿澤:それがまったくないんです。
三谷さんが僕に書いてくださった役に共通しているのは、基本さみしいやつ、孤独なやつで、楽しそうにやっているけど、実はすごい悲しい何かを抱えているっていうところです。三谷さんによると、僕は“笑えば笑うほど泣けてくる”らしくて。自分ではそんなつもりはないんですけどね…(笑)。
――お話に出ました『鎌倉殿の13人』での源実朝役もそうですし、『真犯人フラグ』でのサッカー教室コーチの山田元哉役と映像作品でも話題作への出演が続きますね。
柿澤:芝居をする上ではあんまり意識はしてなくて、目の前の人と台本を通して会話するという基本的なことは(舞台と映像で)意識して変えるということはないんです。ただ、舞台の場合はどんなに大きな劇場でも観ていただくお客様の数のMAXが決まっていますが、ドラマになると何百万人とかの皆さんに観ていただくことになるので、それはすごいなって思います。『真犯人フラグ』もたくさんの方が出られていたのに、こないだ公園を歩いていたら子ども連れのお母さんに、「あ、サッカーのコーチだ!」って言われて(笑)。知っててくださるんだなーって実感しました。『鎌倉殿の13人』では、烏帽子もかぶってますし、扮装も違うからどうだろう…?(笑) 楽しんで見ていただけたらうれしいですね。
――舞台でも、『東京ラブストーリー』や『ジキル&ハイド』と大作が控えます。
柿澤: 僕はミュージカルに対する知識も観たこともないまま『ライオンキング』という作品を観たときに、“なんで動物たちがしゃべるの?”“なんで動物たちが歌うの?”という疑いの目から入ったんですけど、冒頭から心を鷲掴みにされたんです。人間が歌って演じるエネルギーみたいなものを生で感じることで僕の人生も変わったくらい、ミュージカルっていうのはすごい力を持っていると思っているので。今後もエネルギーを出して、役として生きるということを、常日頃から考えて演じていきたいと思っています。
あとは、今のご時勢では、なかなか難しいことですが日本のオリジナル作品を携えて海外公演をまた実現させたいです。『デスノート』や『海辺のカフカ』などで経験した海外公演は、僕の中で糧になっている部分が大きくて、またあの景色を見たいですね。今後も役者を続けていくうえでの夢として追いかけ続けたいと思っています。
(取材・文:編集部 写真:高野広美)
PARCO presents『LA LA LAND Live in Concert:A Celebration of Hollywood ハリウッド版 ラ・ラ・ランド ザ・ステージ 初来日公演』は、東京国際フォーラム ホールAにて8月18~21日開催。柿澤がスペシャル・オープニングMCとして出演するのは、8月19日13時公演のみ。