女優の戸田恵梨香が主演を務め、永野芽郁が共演する映画『母性』が、第41回バンクーバー国際映画祭(9月29日~10月9日)の正式招待作品に決まった。廣木隆一監督と原作者の湊かなえが現地でのワールドプレミア上映に参加する。

さらに、第35回東京国際映画祭(10月24日~11月2日)にて特別招待上映(ガラ・セレクション部門)・ジャパンプレミアも決定した。

【動画】戸田恵梨香×永野芽郁『母性』特報解禁

 本作は、累計発行部数100万部を突破した湊かなえの同名小説を映画化。ある未解決事件の語り手となる母娘を戸田と永野が演じる。監督は廣木隆一。

 第41回バンクーバー国際映画祭では、世界各国から集められた約18本の長編映画によって構成され、バンクーバーの観客の心に強く響くような優れた作品に焦点を当てることを目的として、今年から新設される「ショーケース」部門からの出品となり、観客賞の対象となる本作。

 映画祭のプログラミングチームは、本作について「今回の最新作は、これまでの廣木監督の多くの作品と同様に、女性の心理とその複雑な感情の網目を、思いやりと細やかな感性で探っています。ワイドスクリーンで撮影され、ドールハウスのような美しさを持つこの作品は、類まれな2人の女性の心理を分析し、母性に対する規範的な前提を覆す意欲作です。監督はまた、私たちが登場人物の行動を理解するのに苦しみながらも、どこかで深い共感を呼び起こさせるような、俳優の素晴らしい演技を引き出しています」と説明。続けて「勇敢で美しく、魅力的なこの作品は、悲しい物語ではありますがその中に優しさと思いやりの余地を残していると感じました」と称賛のコメントを寄せている。

 過去にもバンクーバー国際映画祭へ度々招待され、第37回の『ここは退屈迎えに来て』以来4年ぶりの参加となる廣木監督は、映画祭からのコメントを受けて「バンクーバー国際映画祭の皆さんに新設部門『ショーケース』の一本として、本作を選んでもらえて感謝です。世界でも通じるテーマだと思っているので、ここから発信できることも嬉しいです」、バンクーバー国際映画祭への初参加が決定した原作者の湊かなえも「観客の皆さんがどのような表情で観て、どのようなリアクションをされるのか、とても楽しみであり、それを会場で体感できることに緊張と喜びを感じています」と喜びのコメントを寄せている。

 湊原作の映像化作品は海外の映画祭で熱烈な支持を集めており、中島哲也監督作『告白』が第63回カンヌ国際映画祭のスクリーニングで大喝采を浴び、黒沢清監督作『贖罪』が第69回ヴェネチア国際映画祭に正式招待されるなど、各地の観客を沸かせてきた。


 バンクーバー国際映画祭 観客賞の発表は、日本時間で10月10日または11日の映画祭終了後に発表予定。

 映画『母性』は、11月23日より全国公開。

【コメント全文】

★廣木隆一 監督 コメント

バンクーバー国際映画祭の皆さんに新設部門「ショーケース」の一本として、本作を選んでもらえて感謝です。世界でも通じるテーマだと思っているので、ここから発信できることも嬉しいです。

★原作・湊かなえ コメント

海外の方々に映画『母性』を観ていただけることを、心から光栄に思います。
「母性」という世界に共通する普遍的なテーマの作品を、
観客の皆さんがどのような表情で観て、どのようなリアクションをされるのか、
とても楽しみであり、それを会場で体感できることに緊張と喜びを感じています。
原作者としては『母性』上映中、スクリーンを見守りたいけれど、
小説家としては客席の観察をしていたい。
国際映画祭への参加も、バンクーバーの訪問も初めてです。
熱気があふれているだろう会場で、エンターテインメントの魅力や力を、
受け止め切れる限り吸収し、日本に持って帰りたいと思います。

★バンクーバー国際映画祭プログラミングチーム コメント

廣木隆一監督の新作を再びバンクーバーの観客に届けられることを嬉しく思います。
1995年の『魔王街 サディスティック・シティ』から2018年の『ここは退屈迎えに来て』まで、監督の作品を多数上映してきました。

今回の最新作は、これまでの廣木監督の多くの作品と同様に、女性の心理とその複雑な感情の網目を、思いやりと細やかな感性で探っています。


湊かなえさんの小説を映画化した『母性』は、母を愛しながらも同じ感情を娘に抱くことができない女性の物語です。ワイドスクリーンで撮影され、ドールハウスのような美しさを持つこの作品は、類まれな2人の女性の心理を分析し、母性に対する規範的な前提を覆す意欲作です。監督はまた、私たちが登場人物の行動を理解するのに苦しみながらも、どこかで深い共感を呼び起こさせるような、俳優の素晴らしい演技を引き出しています。勇敢で美しく、魅力的なこの作品は、悲しい物語ではありますがその中に優しさと思いやりの余地を残していると感じました。

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