現在放送中のドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時)で、4年ぶりに連ドラの主演を飾っている長澤まさみ。本作で長澤は、スキャンダルによってエースの座から転落した大洋テレビアナウンサーの浅川恵那を演じている。

今回は、長澤のようにテレビ局の花形であり、かつ知性あふれる“女子アナ”を演じた女優を振り返ってみたい。

【写真】長澤まさみ、小芝風花、深川麻衣ら 「女子アナ」を演じた美しき女優たち<写真特集>

■ 『エルピス』だけじゃない 長澤まさみが演じた全くキャラが違う女子アナ

 実は長澤がアナウンサーを演じたのは『エルピス』が最初ではない。2016年公開の映画『グッドモーニングショー』でも女子アナを演じていた。

 同作は朝のワイドショー「グッドモーニングショー」メインキャスター・澄田真吾(中井貴一)が、生放送中に立てこもり事件に巻き込まれるドタバタ・クライム・コメディ。長澤は澄田に思いを寄せ、澄田も自身を好いていると勘違いしている番組のサブキャスター・小川圭子を演じている。勘違いして澄田に対して過度にアピールをする長澤の演技がキュートであるとともに、笑いを誘う。
連続殺人のえん罪というヘビーな題材を扱う『エルピス』と、軽快なトーンの『グッド~』の違いから、長澤の演技の引き出しの多さに驚くことだろう。

■ 小芝風花、アナウンサー顔負けのアナウンス力で魅せる

 今年に入ってドラマ『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)の続編と劇場版、映画『貞子DX』に主演したほか、現在放送中のドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』『invert 城塚翡翠 倒叙集』(ともに日本テレビ系/毎週日曜22時30分)など出演作が途切れることのない活躍ぶりを見せている小芝風花。彼女が女子アナを演じたのは、2019年にNHKスペシャルシリーズ『体感 首都直下地震ウイーク』内で放送された主演ドラマ『パラレル東京』だ。

 パラレルワールド(並行世界)にある「もう一つの東京」を舞台に、大地震に直面した架空の放送局「NNJテレビ」がいかに報道を続けるのかを題材にした同作。小芝の役どころは、震災で行方不明になったメインキャスターの代わりを急きょ務めることになったアナウンサー・倉石美香だ。災害時の緊急生放送という緊迫した状況で賢明にキャスターを全うしようとするヒロインを好演。
また、アナウンサーも顔負けの安定したアナウンス技術を披露し、視聴者を驚かせた。

■ 深川麻衣が演じる不倫がバレて人生ピンチな女子アナ

 今月1日にスタートしたばかりのドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系/毎週火曜24時30分)で女子アナを演じているのは、アイドルグループ・乃木坂46の元メンバーで女優として活躍する深川麻衣だ。

 深川が演じるのは、“ユーカリちゃん”の愛称で親しまれるテレビ局アナウンサー・有加里壱子。自分の人生を完璧にコントロールしていることを自負する計算高い性格で、テレビ局のエースアナにまで上り詰めようとしていた矢先、交際相手が実は既婚者で、あろうことか自分は不倫相手だったというスキャンダルが浮上。一転、ピンチに追い込まれる壱子が、起死回生で美容のカリスマを目指すコメディだ。

 本作は、“美容マニア”を自負するタレント・MEGUMIが企画・プロデュースする異色の作品。
MEGUMIが監修した美容アイテムや美容法がストーリーの中に盛り込まれ、深川演じる壱子がどのように美のカリスマへと成長をとげていくのかも注目だ。

■ 水野美紀、連ドラ初主演で女子アナを演じた王道の青春ドラマ

 今や“怪演女優”の肩書をほしいままにする水野美紀。『踊る大捜査線』シリーズの柏木雪乃役などで人気を集めていた彼女が、満を持して連ドラ初主演を飾ったのが、その名も『女子アナ。』(フジテレビ系)だ。

 水野が演じたのは、ドジでマイペースなヒロインの大月真琴。ともさかりえが演じる性格の真逆の同期アナと、ときに反発しあい、ときに友情を深めあいながら、「理想の女性アナウンサー」になるため奮闘し、成長していく姿を描くコメディだ。
実は「女子アナ」を真正面からテーマにすえた作品は多くなく、本作はその珍しい1本。このあとブレイクする伊藤英明や木村多江の初々しい姿もチェックできる。

■ 夏帆が演じた不倫で左遷された“ヤサグレ女子アナ”

 映画『きばいやんせ!私』では、夏帆が同僚との不倫を週刊誌にすっぱ抜かれて閑職に追いやられる女性アナウンサー、児島貴子を演じる。「きばいやんせ」は「頑張って」を意味する鹿児島の方言。貴子が郷里・鹿児島県南大隅町をお祭りの取材で訪れ、そこで幼なじみと再会したことをきっかけに、投げやりにこなしていた自分の仕事、そして人生に真剣に向き合い始める。

 本作での夏帆の役どころは、いわば“ヤサグレ女子アナ”。
つまらない取材ロケの現場ではスタッフに暴言を連発。さらに、お酒に飲まれてスタッフとワンナイトラブも繰り広げてしまう始末。近年では、映画『Red』で妻夫木聡と濃厚なベッドシーンを繰り広げる不倫妻役も記憶に残る夏帆。「リハウスガール」で衝撃的な透明感を見せた彼女の役の幅の広がりには、衝撃を受けるばかりだ。