念願のマイホームを購入した人にとって、親しい人の新居訪問は、本来なら喜びと祝福に満ちているはず。けれどその空気を一瞬で壊す人がいたとしたら……。


今回はそんな義父の発言に面食らってしまったという女性のエピソードをご紹介しましょう。

マイホームの購入を決意したものの……

神谷佑香さん(仮名・34歳)は、結婚して3年目。昨年待望の第一子となる息子が生まれたことをきっかけに、夫婦で念願だったマイホームの購入を決意しました。

「建売住宅は狭くてお粗末」新居を罵る義父。赤ちゃんの横でタバ...の画像はこちら >>
選んだのは、立地や予算、将来の暮らしやすさを考え抜いた末の建売住宅。派手さはないものの家族3人で穏やかに暮らすには十分すぎるほどの、温もりのある住まいです。

「腰を据えて子育てしていこうという気持ちに後押しされて……今まで生きてきた中で最も思い切った買い物でしたね」

引っ越しを終えた後は、親しい友人を招いてささやかなお披露目パーティーを開きました。

「私の両親も来てくれて『素敵なお家だね』『日当たりもいいし、ここなら安心して子育てできそう』と心から喜んでくれました。新生活は幸せな空気に包まれていたんですよ」

そんな中、義両親も新居を見に来ることになり……。正直、少し緊張はあったものの「お祝いの言葉くらいはもらえるだろう」と、佑香さんはどこかで期待していたそう。

「狭いな~!」新居をボロクソに罵る義父

「ところが、玄関を開けた瞬間にいつもは無口なお義父さんが『狭いな~! 俺はお前より若い時にもっと広い家を建てたぞ。しかも建売だろ? 庭もほとんどないし、お粗末だな』とニヤニヤしながら言い放ったんですよ。なんでそんな失礼なことを言うのか、本当に信じられませんでした」

「建売住宅は狭くてお粗末」新居を罵る義父。赤ちゃんの横でタバコを吸おうとしたその瞬間、“意外な人物”がブチ切れた
マイホームで自由に振る舞う義父
耳を疑うような言葉に驚いてしまった佑香さん。祝福どころか労いも一切ない、見下すような言葉を浴びせられ、せっかく夫婦で力を合わせて手に入れた家を土足で踏み荒らされたような気持ちになったそう。

「夫や義母は苦々しい顔をしながらも、お義父さんの自慢話に付き合っていて……。
きっと義父は『息子より若い時にもっと広い家を建てた俺の勝ちだ』という気分になっていたんでしょうね。妙に興奮して早口になっていました」

このときの義父は、家を見ていたのではなく、自分の過去の栄光と息子を比べていたのかもしれません。息子が父親になり、家を持ち、自分とは違う形で家庭を築いていく。その現実を前に、「父としての優位性」や「一家の主としての立場」が揺らいだように感じた……そんな不安や焦りが、無意識のマウントとなって言葉に表れたのではないでしょうか?

そして、その違和感はさらにエスカレートしたそう。

義父のありえない行動に、義母が衝撃の一言

「お義父さんが突然リビングの窓を少し開けたかと思ったら、ポケットからタバコを取り出して火をつけようとしたんです。新居は壁も床もまだピカピカで、もちろん私たち夫婦は非喫煙者。赤ちゃんもいる家なのに」

「建売住宅は狭くてお粗末」新居を罵る義父。赤ちゃんの横でタバコを吸おうとしたその瞬間、“意外な人物”がブチ切れた
タバコ
「えっここで吸うつもり? 信じられない」と佑香さんが天を仰いだ瞬間、空気を切り裂くように響いたのは意外な人物の声でした。

「いつもは控えめな義母が『やめなさいよ! ここは佑香さんたちの新しい家よ。あなたの“縄張り宣言”なんていらないから、みっともない自慢話ももうやめて!』とはっきり言ってくれたんですよね」

まるで長年胸に溜め込んできたものが、一気にあふれ出たかのような一喝でした。義父の行動は、単なる喫煙ではなく、「ここでも俺が一番だ」「この家でも主導権は俺にある」という無言のアピールのような行為だったことに、義母は誰よりも早く気づいたのでしょう。

義父は思わぬ反撃に言葉を失い、手に持っていたタバコを慌ててポケットに戻したそう。

「義父は『うるせー! タバコもダメなんて全くシケた家だな』と舌打ちをして外に出て行ってしまいましたが、私の胸の奥のモヤモヤがスッと晴れていくのを感じました」

家族の新しい人生を守ってくれた義母

佑香さんは、あの物静かでいつも義父の後ろに控えている印象だった義母が、ここまできっぱりと声を上げてくれるとは、夢にも思っていませんでした。

「もしかすると義母は、私たち家族の新しい人生を守るため、そして長年振り回され続けてきたお義父さんとの関係に一区切りをつけるためにあんな風に言ったのかな? なんてつい考えてしまいました」と微笑む佑香さんなのでした。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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