今年、芸能生活10周年を迎える女優・吉岡里帆。本日1月15日には30歳の誕生日と、年齢の節目も迎える。
【写真】今日で30歳 かわいらしさとカッコよさが同居する「吉岡里帆」フォトギャラリー
■ “かわいらしさ”よりも“どこかカッコいい”がハマる女優
2023年で芸能生活10年という節目を迎える吉岡だが、最初に強いインパクトを与えたのは、福田雄一監督がメガホンをとった映画『明烏』(2015年)で演じたヒロイン・明子。本作には福田組常連のムロツヨシや佐藤二朗はもちろん、菅田将暉、城田優、若葉竜也、新井浩文ら個性的な俳優たちが多数出演し、怪演といえる芝居を見せているが、そんな中でもホストクラブで無銭飲食をしてしまった女性・山本明子を演じた吉岡のキレキレの演技には度肝を抜かれた。
その後、2015年下半期に放送された連続テレビ小説『あさが来た』で、波瑠演じる主人公・あさの娘・千代(小芝風花)が通う女学校の寮で同室となる女学生・田村宜を演じた吉岡は、寡黙で不愛想、丸眼鏡というインパクトあるキャラクターを、どこか憎めない愛らしさいっぱいに演じ、大いに知名度を上げた。
さらに吉岡は翌2017年、「傑作」と呼び名の高い坂元裕二脚本の連続ドラマ『カルテット』(TBS系)でドラマファンにその名を知らしめる。松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生という名優たちが演じるカルテットを引っかき回す、“笑顔でも目が笑っていない女性”・来杉有朱だ。出演シーンは少なかったものの、数々の名言、演技で強烈なインパクトを残し、一部視聴者をイラっとさせたキャラクターは圧巻。特に最終回で言い放った「人生、チョロかった」という言葉は“悪女”も一周回って愛すべき存在に見えるぐらいだった。
『明烏』、『あさが来た』、『カルテット』。この3作はどれもデフォルメされたようなキャラクターだったが、吉岡はファンタジーにならない絶妙なさじ加減で演じ、演技力の高さを見せた。フェミニンなイメージがある吉岡だが“かわいらしさ”よりも、“どこかカッコいい”がハマる女優という印象を持った。
■ “ギリギリまで追い込まれる役柄”で魅せる「カッコよさ」
その後も、映画やドラマでさまざまな役柄を演じるが、土壇場で踏みとどまる“カッコいい”キャラクターが何とも魅力的に映る。2018年公開の映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』では、声が小さすぎるストリートミュージシャンの明日葉ふうかを演じた。劇中ではギターを弾きながら熱唱するシーンがあるが、公開後の舞台あいさつでは、大勢の観客がいる前でギターを弾きながら生歌を披露。未経験から始めたギターを大観衆の前で弾きながらシャウトする姿は何とも清々しく、終わったあと涙ながらに背筋をピンと伸ばす姿も、やはり“カッコいい”という言葉がぴったりだった。
2019年公開の映画『見えない目撃者』では、事故で視力を失ってしまった中、ある事件の犯人を追いかける女性・浜中なつめを演じた。本作では、目が見えないという設定の中、困難に立ち向かう女性を好演。アクションを含め、敵に立ち向かう姿には、力強さを感じさせた。
さらに2022年には映画『ホリックxxxHOLiC』で、セクシーな女郎蜘蛛を演じ、美しいカッコよさを見せつけると、映画『ハケンアニメ!』でも、新人アニメ監督・斎藤瞳に扮し、無理難題を押し付けられる中、ギリギリで踏みとどまり前に進む、凛とした佇まいを見せた。
30代に突入し、今まで以上にさまざまなことを経験していくことで“カッコよさ”の深みは増していくだろう。一方で吉岡には「日清食品 どん兵衛」のCMで見せた「どんぎつね」のような“かわいい”も内在する。以前のインタビューで、「俯瞰(ふかん)して物事を見てしまってはもったいない」と、誰かを羨(うらや)んだり嫉妬したりする感情をプラスとして捉えているとも明かし、芯の強さも感じさせる。年を重ねるごとに、こうしたさまざまな要素が互いに相乗効果をもたらし、より磨きがかかった“カッコよさ”、“かわいさ”、“強さ”を見せるだろう吉岡の今後を、注目せずにはいられない。