俳優として30年近くキャリアを重ね、近年はますますイケメンぶりに拍車がかかっている竹野内豊。年々増していく渋さとほのかに漂うお茶目さで新たなファンを開拓し続ける彼の、これまでの代表作を振り返り、その魅力に迫ってみよう。



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◆『ロンバケ』『ビーチボーイズ』で人気爆発

 母と姉がファッション誌の読者モデルに応募したことから、1989年に10代でモデルとして芸能界デビューを果たした竹野内。モデルとしての活動を経て、1994年には緒形直人主演のテレビドラマ『ボクの就職』(TBS系)で俳優デビューを果たす。

 そんな彼が一躍注目を集めるきっかけとなったのが、1995年からスタートしたドラマ『星の金貨』シリーズ(日本テレビ系)。この作品は、酒井法子扮する聴覚障がいを持つヒロイン・彩と医師の兄弟が織りなす三角関係を描いた純愛ラブストーリー。竹野内が演じたのは、彩に惹かれる医師の拓巳。プレイボーイでありながら実は繊細でナイーブという複雑なキャラクターを若さとモデル出身ならではの洗練された佇まいで体現してみせた。


 拓巳役で視聴者の心を掴んだ竹野内は、同年には早くも『まだ恋は始まらない』(フジテレビ系)で月9ドラマデビュー。その翌年には木村拓哉山口智子主演の伝説的月9ドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)に出演する。社会現象を巻き起こした本作で竹野内が演じたのはヒロイン・南(山口)の弟・真二。プレイボーイでありながら繊細かつプレッシャーに弱い真二を、ワイルドさと見え隠れする愛嬌で演じきった。

 人気俳優が大挙出演した“ロンバケ”で抜群の存在感を放った竹野内は、1997年放送の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)で、ついに月9ドラマで初主演(反町隆史とのダブル主演)を務める。それまでの月9ドラマでは珍しかった“バディもの”として新機軸となった本作で、竹野内が演じたのは元エリート商社マンの海都。
クールで冷静かつ常に論理的な海都と、真逆のキャラクターの広海(反町隆史)が織りなすコミカルな掛け合いも披露し、俳優として新境地を開拓。本作で竹野内は“主演俳優”としての地位を確固たるものにしたのだった。

◆渋さとお茶目さが共存する“キング・オブ・イケオジ”道を邁進

 デビューからブレイクまで一気に駆け抜けた90年代を経て、30代を迎えていた2001年には『冷静と情熱のあいだ』で満を持して映画に初出演にして主演を担当。その後もコンスタントに話題作への出演を続けた彼の当たり役の1つと言えるのが、2009年スタートの刑事ドラマシリーズ『BOSS』(フジテレビ系)で演じた警察官僚・野立信次郎だ。主人公の刑事・絵里子(天海祐希)の同期で良き理解者という設定だが、性格は自分本位で女好きなナルシスト。しかし絵里子がピンチに陥るとどんなサポートも惜しまないというキャラクター。
そんな信次郎を、30代も後半に差し掛かってダンディさもマシマシになった竹野内が、クールかつコミカルに好演。彼の俳優としての魅力が凝縮された役柄に仕上がっていた。

 40代となってもデビュー当時と変わらないスタイルを維持しつつ、渋さと演技の円熟味を増していく竹野内。2018年には『義母と娘のブルース』(TBS系)に出演し、綾瀬はるかと共演。本作では余命わずかでありながら、一人娘を守るためにバリキャリ女子・亜希子(綾瀬)と結婚する良一を熱演。ドラマのキーパーソンでありながら中盤で最期を迎えてしまうという複雑なキャラクターを、どこか浮世離れした存在感で見事に表現した。


 そして50歳となった竹野内にとって11年ぶりの月9ドラマ主演作となったのが、2021年放送の『イチケイのカラス』(フジテレビ系)。このドラマでの役柄は、中卒の元弁護士にして裁判官の主人公・入間みちお。性格は超マイペースで趣味はふるさと納税というクセが強すぎる設定でありながら、刑事裁判官として誠実に人や罪と向き合う生真面目さで事件を解決していく。竹野内にとって新たな代表作となった本作は今年、劇場版としてスクリーンで復活。劇場公開の翌日となる1月14日には、スペシャルドラマも放送される。

 今年で52歳となった竹野内は『イチケイのカラス』のほかに、伊藤沙莉と共演した映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』の公開も待機中。
この作品で竹野内が演じるのは、伊藤扮するヒロインの恋人にして、自称“忍者”というぶっ飛んだキャラクター。30年近いキャリアを経ても決して守りに入らず、我が道をいく彼の今後から目が離せない。(文:スズキヒロシ)