「好き・嫌い(というか、興味ない)」の差が誰にもわかるほど顔やリアクションに出るところが、タモリのニクタラシイ&可愛らしいところでもあるのだろうが、その「好き・嫌い(興味ない)」の線引きの基準は、常人と異なるところにあるように思う。
最近、顕著な例は、AKB前田敦子。
AKB48 前田敦子卒業記念フォト
一般的には「頑張り屋さん」キャラで、リアクションも大きい大島優子や高橋みなみがトークをする機会が多い気がするが、タモリがからむのは、前田敦子ばかり。
「ミュージックステーション」に出演するたび、以前から「前田」と呼び捨てにしていたし、9月16日放送の「ミュージックステーション25周年スペシャル」では、とうとう「 “まえあつ” は」と言い出した。
さらに、14歳時の前田のVTRには「この頃、目が寄りすぎてんじゃないの?(笑)」と辛辣なツッコミ。対する本人も「ツッコんじゃいますか、そこ?(笑)」と奇妙なやりとりが繰り広げられたのが印象的だった。
感情がすぐ顔に出る&やる気のない「素」のままの前田敦子と、波長が合うのだろうか。 思えば、SMAPでも、タモリと大の仲良しなのは、毎年正月をタモリ宅で過ごすという草なぎ剛だ。また、以前からタモリが「好き」と公言しているのは、「天然おしゃべり」の稲垣吾郎。「SMAP×SMAP」~「ビストロSMAP」に出演した際(2006年)は、一生懸命タモリに話しかける&気配りのキムタクが、ほとんどスルーされ、気の毒に見えたほどだった。
同様に、嵐では大野智、V6では岡田准一。タモリが話しかけるのは、みんなキャラを作りこまない「素」の人ばかり。
そういえば、「Mステ」での長年の付き合いなのに、浜崎あゆみには、いつまでも距離が縮まらないように見える。
その他の好物には、福山雅治や、誰もが夢中になってイジる大泉洋など、「みんなの人気者」もいる。
だが、不思議なのは、平井堅へのジャレつき方。しかも、いつも「顔」イジりだ。
また、「タカアンドトシ」の「トシ」のほう(「ひょっとこ」など)や、「ロッチ」のコカドケンタロウ(滑舌悪いほう)など、一般的にはオチでないほう、「あれ、そっちにいく?」と思うほうばかりをしつこくイジるのも、タモリならでは。
きっちり作り込み系&頑張り屋キャラの人には、気を許せないのだろうか。それこそがタモリの座右の銘のひとつ「やる気のある者は去れ」なのかもしれないが。
ともかく、ワケはわからないが、意外と一貫性があるタモリの嗜好の傾向。それは、世間の評価や流れ・お約束ではなく、個人的「好悪」が軸となっているからこそ、ブレないものなのかも。(文:田幸和歌子)