1980年に連続テレビ小説『なっちゃんの写真館』で女優デビューして以来、テレビや映画など数々の作品で活躍する女優の萬田久子。4月8日よりスタートした土ドラ『グランマの憂鬱』では、主人公の「グランマ」役を演じる。
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◆実年齢より年上役に初挑戦 出演オファーに「なるほど」
『グランマの憂鬱』は、とある『村』で代々総領職を務める主人公・グランマこと百目鬼ミキのもとに寄せられる、現代を生きる人々の切実な悩みを、グランマが“愛ある喝!”でほぐしていく人情ドラマ。
萬田が演じるグランマは、息子の嫁と孫娘と同居しながら、どんな相手にも臆せず意見する芯のある女性だ。萬田は、グランマ役のオファーを受けた瞬間を「なるほどの一言でした」と振り返る。
「自分では歳をとっていないつもりなんですよね。もちろん、誕生日は毎年やってくるので歳はとっていますし、周りの人が私に対する接し方を見て、自分の立場も分かっているつもりですが、改めて私ってこんな年齢なんだなと。自分の年齢よりも年上の役がきたのは初めてだったので、そういう意味も含めてなるほどと思いました」。
一方で、役を演じる上では年齢を意識しているわけではなく、「樹木希林さんは38歳の時におばあさん役をされたとおっしゃっていましたし、例えば、今、私に女子高生の役がきてもそれがチャレンジだとは思いませんし、できると思います。人はどう思うのかは分かりませんが(笑)」とも話す。そこには、萬田が大切にしている「Age is just a number(年齢なんて、ただの数字よ)」という言葉がある。
「そう自分に言うことによって、自己暗示的なものがあるのかもしれませんが、年齢ってただのバロメーターだと思うんです。
ドラマでは村人たちの悩みを一刀両断していくグランマだが、萬田は「彼女も人間だから寂しいとか悲しいという思いを抱える時もあると思いますが、村の人たちの前では凛として強く、温かみのある人です」と分析。役作りでは、「凛とした女性を演じる上では、もちろん精神的なところもありますが、姿勢をきちんとしなければと思います。ですので、簡単なことですが、猫背にならないように、ふとした時に項垂れないようにということを心掛けています」と明かした。そんなグランマと萬田の共通点は「愛」。「自分で言うのもなんですが、私も愛はあると思います」と笑顔を見せた。
◆ミス・ユニバースから45年 大切にし続けるのは「好奇心」と「健康」
1978年にミス・ユニバース日本代表に選出されてから45年。ドラマや映画で強い存在感を放ち、女優として輝き続けている萬田だが、実はミス・ユニバースの日本代表になった当時は「女優をすることは一切考えていなかった」という。
「ミス・ユニバースの日本代表になったことで、事務所の方がお声をかけてくださったんですが、両親も親戚も友達もみんな大反対でした。ただ、私はどうしても東京に行きたかった。当時は、大阪に住んでいたのですが、東京かパリかニューヨークのどこかに住みたい。そのための手段はなんでもいいと思っていたんです。それくらい東京に興味があったんです」。
そうして上京し、芸能活動をスタートした萬田。女優業としての転機となったのは39歳の時に出演した舞台『隠れ菊』だった。「山田五十鈴さんや十朱幸代さんと一緒に板の上に立たせていただき、演じることの面白さを感じることができました」と語る。
その後も、女優業に真摯に向き合い続ける中で、大切にしてきたのは「好奇心。それから、この作品のミキさんではないですが、自分自身に“喝”を入れること」。
「ベースとして健康がなかったら、好奇心が湧いてくることもないと思うんです。なので、健康が第一にあります。ヨガや筋トレをして、食事や睡眠をしっかりとるというのは当たり前のことですが、日常がおろそかにならないように心掛けています」。
「自分と会話して、痛いところや違和感があるところを敏感に感じることも大切」とにっこり笑う萬田にとって、自分と向き合い、知ることが健康の、そして美の秘訣なのだ。
最後に、改めて、本作を「現実に起こっている社会問題、例えば、高齢者の免許返納の問題やSNSでの誹謗中傷など、誰にでも共感できる悩みが描かれているドラマです。小さな悩みの解決策が見つかるドラマになっていると思います。どんな立場の方もスカッとしていただけると思います。土曜の夜に1週間分の“全身エステ”をして差し上げます」とアピールした萬田。萬田が演じるグランマの“喝”が溜まったストレスも吹き飛ばしてくれることだろう。(取材・文:嶋田真己 写真:高野広美)
土ドラ『グランマの憂鬱』は、東海テレビ・フジテレビ系にて毎週土曜23時40分放送。