Travis Japanの川島如恵留が主演する舞台『惰性クラブ』が、6月8日より東京グローブ座、7月3日より大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演される。劇団「小松台東」を主宰する宮崎県出身の松本哲也が作・演出を務める本作では、川島が自身初の宮崎弁での芝居に挑む。
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■初の宮崎弁のセリフに戸惑うも「日常でも話せるように」と気合十分
――本作の主演が決まった際の周囲からの反響は?
ちょうどTravis Japanのメンバーみんなと一緒にいる場所で発表できたんですけど、「本当におめでとう。ブログに書くわ!」とか「何か如恵留っぽくない舞台で、面白そうだね」と言ってもらえました。家族からも「どんな舞台なの? 歌うの? 踊るの?」とまず聞かれましたね。「今回もストレートプレイのお芝居なんだね。すごい楽しみにしてる。しかもグローブ座さんなんだ! えっ、シアター・ドラマシティにも行けるの? いいね」と言ってくれました。どちらかというと、「主演、おめでとう!」よりも、劇場や作品の内容について言われることが多かったです。
――昨年、単独初主演舞台『すべての幸運を手にした男』(2025年11~12月)に続き、再び東京グローブ座のステージに主演として立つことになりますね。
僕個人としては、東京グローブ座さんで、2作続けて主演を務められること、そして今回の作品は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)さんの舞台にも立たせていただけることが、本当に幸せだなと思っています。
――作・演出の松本哲也さんの印象は?
松本さんが出演されていた『観測地』(2026年3月/東京・APOCシアター)という舞台にうかがって、ご挨拶(あいさつ)させていただいたのが初対面でした。その後、本作のビジュアル撮影の時にお会いしたら…何か“パパ”みたいな感じでしたね(笑)。松本さんの人の好さというか…柔らかさ、温かさがあって、一緒にいて本当に心地良いんです。現場でも、ゆったりいろいろとお話ができそうな気がしています。
それと、今はコンサートのために金髪にしているんですが、この舞台は黒髪で臨むつもりだったんです。でも松本さんが「金髪の感じもいいね」「如恵留くんの明るさ、あっけらかんとしてる感じみたいなのが、逆にいいかもしれない。そのままでいてください」と言ってくださったんです。「もしかして、松本さんの中の直哉像がちょっと変わったのかな? 僕って、直哉にぴったりだったのかな」なんて思ったので、直接、松本さんに聞きたいですね(笑)。
――そんな松本さんが書かれた台本を読まれてみていかがでしたか?
台本は5度ぐらい読み返して、今、役を自分の中に落とし込んでいる最中です。物語の展開として大きな事件があるわけではないですけど、だからこそ、誰にでも起こりうるというか…。
――本作に挑むにあたり、宮崎県出身の松本さんが吹き込まれた宮崎弁の音声データを聞かれたとうかがいましたが、聞いてみていかがでしたか?
宮崎弁の音声データをいただいて1週間ぐらいなので、まだ3回しか聞けていないんですけど、最初に標準語の台本をいただいていたので内容を理解した状態で宮崎弁を聞いたつもりだったんですが、「今これ、何て言ってたんだろう? どういう意味なんだろう?」と戸惑ってしまいました。2回目は宮崎弁に慣れてきていたので、「めっちゃ意味がわかる!」となりました(笑)。
来てくださるお客様に、初見で宮崎弁の意味を伝えなければならないので、声だけでなく表情や動き、ストーリーでも、ちゃんと伝えられるように精進していきたいです。それと、(東京都出身の)僕が宮崎弁でお話させていただくことを違和感だと思わせたくないので、宮崎弁の意味をちゃんと自分の中に落とし込んだ上で、日常でも宮崎弁が出せるところがあれば出していきたいですし、これから始まる稽古でも、松本さんと宮崎弁でやり取りできたらいいなと思っています。
■惰性で生きているように見せる主人公・直哉は「強さも弱さもある可愛いやつ。彼の“もどかしさ”をちゃんと表現したい」
――演じる主人公・直哉はどんなキャラクターだと捉えていますか?
『惰性クラブ』は、惰性で生きてきてしまった若者たちが集まっている場所ではあるんですけど、直哉自身、その惰性の中で実は抗って生きている、ちょっとした強い部分を持ち合わせているじゃないかなと捉えています。実はいろいろなことに挑戦はしてきたんだけど、挫折をして諦めたことが、一種のコンプレックスとして残ってしまったから、惰性で生きるという選択肢を取ったんじゃないかな。だからその選択はある意味惰性じゃないかもしれないけど、傍から見ると惰性で生きているように見えているという…。直哉は、薄いモヤがカーテンのように目の前にかかった人生を歩んでいる人なのかなと思っています。
そんな直哉が、僕はすごく愛おしいんです。きっと世の中にもたくさん頑張っているのに、頑張ってきたはずなのにタイミングが合わなくて報われなかったりした経験がある方がたくさんいらっしゃると思うんですよね。もちろん僕もそうですし…。そういうことを僕はいろいろな人の力を借りて乗り越えて、前を向くことができたんですけど、直哉は周りと自分を少し切り離して考えちゃっている部分があるのが、もったいないというか…今の僕からすると、「もうちょっと背中押してあげたいな」と思うような、強さも弱さもある可愛いやつなので、そんな直哉の“もどかしさ”をちゃんと表現したいです。
僕は台本を読んでいて、直哉たちに“もどかしさ”を感じました。僕自身は自分にとってマイナスな状況にぶち当たった時に弁明や否定、訂正をできる人間だと思うんですけど、直哉や『惰性クラブ』のメンバーは、「何で言わないの? 本当のこと言えばいいのに…」みたいな、もどかしさがあるんです。
個人的に、そうした“もどかしさ”を芝居で観ることが好きなんです。そこに、役者さんや演出の凄さを感じるというか…。台本を読んだり、宮崎弁の音声を聞いたりしただけで、そうした想像が膨らむので「この舞台はきっと面白くなるだろうな」という確信がありました。
――台本でも、直哉は「……」のセリフが多いですね。
そうなんです。三点リーダー(…)だらけなんですよ(笑)。
――本作は、『惰性クラブ』のメンバーの会話も重要になってくると思いますが、共演者の方々の印象は?
ビジュアル撮影をした時に、『惰性クラブ』のメンバーの男性3人(広田亮平、富田健太郎、見津賢)にお会いしたのですが、初対面の他愛もない世間話をしたんです。「はじめまして」「おいくつですか?」みたいな(苦笑)。それで、稽古や本番が始まったどこかのタイミングで、「あの時は、まだ初々しい会話をしてたよね、って話をしようぜ!」という話をしていました(笑)。
3人は、僕と年齢が近いんです。でも、俳優さんとしては皆さん僕より先輩ですから「よろしくお願いします!」って弟子入りする形になるのかなとも思っています(笑)。これから関係が育っていくのが楽しみですね。
■「惰性」は“力まない生き方”という意味でポジティブな捉え方ができる
――宮崎弁のほかにも、本作のためにしていることはありますか?
この舞台のお話をいただく前からしていたことなんですけど、Travis Japanが『けるとめる』(フジテレビ系)というサッカーをテーマにした番組をさせていただいていて、今、家でリフティングを練習をしているんです。本当に毎日欠かさず練習しています。そしたら何と、演じる直哉は学生時代にサッカーをしていて、結構うまかったという人物だったんです。何かつながってるなと思いました。
それと、直哉は父の仕事を手伝っているんですが、驚くべきことに直哉の父って、おそらく電気工事士なんですよ。僕も昨年、第二種電気工事士の資格を取得したので、この舞台に臨むにあたって、改めて電気工事士についても復習しようと思っています。そんなふうに自分が今まで続けてきたものが、作品の中でいろいろ結びついている感じがして面白いなと思います。
――情報解禁時にご自身は「『惰性』とは程遠い人生を歩んできた」とおっしゃっていましたが、本作に出演するにあたって、「惰性」ということについて深く考えられたんじゃないですか?
そうですね。僕自身、変化や挑戦が好きな、どちらかといえばアグレッシブにどんどん成長していこうという生き方を選んできたつもりで、「惰性」が分からなかったので、「惰性」についてめっちゃ調べました(笑)。別に「惰性」が悪いわけでは決してないんですよね。ネガティブに聞こえてしまうかもしれないですけど、“無理に力を加えない、力まない生き方”という意味で、ポジティブな捉え方もできるなと思っています。
僕の生きてきたこの31年間の中でたまたま触れてこなかっただけで、僕自身「惰性」自体をマイナスには全く捉えていないんです。“脱力”の良さが、この作品からはきっと感じられるんじゃないかなと思います。
――改めて、上演を心待ちにしている方々にメッセージをお願いします。
この舞台は、存在しない記憶、存在しない青春みたいなものが、リアルに感じられる作品になっていると思います。もどかしさやちょっとした切なさ…そうした感情の小さな爆発の連続が続く作品です。
(取材・文:齊藤恵 写真:高野広美)
舞台『惰性クラブ』は、東京グローブ座にて6月8日~28日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて7月3日~5日上演。チケットは、ローソンチケットにて4月25日10時より先行販売開始。5月9日10時より一般発売。

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