日本演劇界を代表する唐十郎と蜷川幸雄の伝説のコンビによる2作品『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』、『唐版 滝の白糸』の連続上演が決定。9日、都内で合同製作発表が行われ、演出の蜷川のほか、それぞれのメインキャストが登壇した。


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 『盲導犬』からは伝説の不服従の犬を捜す盲人・影破里夫役の古田新太、破里夫と奇妙な絆を結んでいくフーテン少年役の小出恵介、そして昨日、軽度の心筋梗塞であることが発表され、病状が心配される天海祐希の出演舞台の代役を務める宮沢りえが、思い出をコインロッカーに封印されたヒロイン奥尻銀杏役で出席。会見では取材陣から天海の代役に関する質問が飛んだがコメントを控えた。

 『唐版 滝の白糸』からは元宝塚トップスターで退団後初舞台となる大空祐飛手筆頭株の窪田正孝、ベテランの平幹二郎が出席し、錚々たる顔ぶれが並んだ。またフォトセッション時には、唐十郎が飛び入りする嬉しいハプニングも起こり、蜷川、キャストらと写真に収まった。

 唐の書き下ろし戯曲を蜷川が初めて演出した『盲導犬』は1973年に初演され、1989年に再演。今回は実に24年ぶりの上演となる。
「1回目は成功しましたが、2回目は演出が悪くて失敗しました」といきなりの蜷川節で会見はスタート。続けて「死ぬ前にもう一度成功させたいと思って決断しました。(古田ら)どこに本当の心があるのか分からない恐ろしい人たちを相手にできるのはとても嬉しい」と意気込みを語った。

 17年ぶりに蜷川演出舞台に立つ古田は「やっと念願が叶いました。唐さんの、宝石のようなセリフが散りばめられた、大好きだけど難しい作品です」と喜びを見せつつ、「唐さんと蜷川さんが死ぬ前に間に合ってよかった」と笑わせた。

 『下谷万年町物語』で唐×蜷川の世界観を体験済みの宮沢は「前作ですっかりトリコになりました。
古田さん、小出さんとの共演にもワクワクしています」と話し、唐の戯曲の魅力について「最初に読んだときは飛躍した言葉の世界に?マークが100個くらい浮かびますが、立ち稽古に入って温度が高まっていくうちに1つも?がなくなって、追い越す瞬間さえある。やっていてやめられなくなります」と笑顔。

 対して蜷川も「宮沢さんはかっこいいですよ。美しいだけでなく台本の理解力も素晴らしい。そして役が乗り移るときの独特のスピード感と色気がある。今、もっとも輝いている女優さん」と絶賛した。


 また『唐版 滝の白糸』は泉鏡花の「義血侠血」に着想を得て1975年に初演され、4度目の上演を数える作品。大空のキャスティングは、蜷川の家族が宝塚ファンとのことで、「DVDを観させていただいて決めました」と蜷川が理由を述べ、大空は「ストレートプレイも女を演じるのも初めてですが、選んでいただいき幸せです。蜷川さんの情熱にくっついて行こうと思っています」と話した。

 そして登壇予定のなかった唐の登場に会場からも驚きの声が上がり、唐×蜷川の貴重なショットが実現。

 『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』は7月6日から28日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、8月3日から11日まで大阪・シアターBRAVA!にて、『唐版 滝の白糸』は10月に東京・Bunkamuraシアターコクーン、11月に大阪・BRAVA!で上演される。