これまでバラエティ番組のアシスタントMCというと、テレビ局の女性アナウンサーがそつなく進行する形態をとっていることが多かった。しかし、昨今のバラエティ番組を見渡してみると、アシスタントMCが“笑い”の部分でも重要な役割を担っているため、タレントを起用することが多くなっている。
また大型番組の場合は、番組に箔がつくように、大物女優が完璧にアシスタントをこなすこともある。そこで、今回はテレビ番組で重宝されている女性MCを取り上げてみたい。

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 まず、イジられ系MCの筆頭と呼べるのがHKT48の指原莉乃だ。指原は、同じくイジられ系でハーフタレントのSHELLYが産休に入るため、『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)の新MCに抜擢。ほかにも『HKT48のおでかけ!』(TBS系)など、グループを背負った立場でもMCをこなしており、イジってよし、しゃべってよしのスタイルはスタッフ間で評価が高い。実際に『今夜くらべてみました』南波昌人プロデューサーは「SHELLYさんの産休にあたり、演出の上利君と『後任は誰がいいか、いっせいのせ!で言おう』と言って同時に出たのが指原さんでした」と語っている。

 女優の松岡茉優は『うつけもん』シリーズの『オサレもん』や『ツギクルもん』(いずれもフジテレビ系)で女性MCとして出演。松岡は芸人からMCとしての能力を高く評価されており、同番組で同じMCのおぎやはぎから「女優がダメになっても(バラエティで)OKだね」と称賛を受けている。また、ディープな恋愛系のトークをふられたり、時にはヘッドロックをかけられたり、人気女優とは思えない洗礼を受ける場面をよく見るが、しっかりとその場が盛り上がるようなリアクションを取っており、見ている側も嫌な気にならない。さらに、女優としての目標は「女版の八嶋智人になること」と公言しており、“MCができる女優”の方向へまっすぐ突き進んでいるようで好感を持てる。

 上記2人とはキャラが異なり、ハツラツとスポーツ番組や情報バラエティ番組でMCをこなすのが小島瑠璃子だ。小島は事務所の先輩であるさまぁ~ずに、デビュー当初からかわいがられていたそうで、番組進行のうまさは先輩譲り。
MCとして出演しているスポーツ番組『S☆1』(TBS系)ではタレントのみならず、スポーツ選手や学生とのやり取りもうまいと好評である。 また、かつて局アナだったが、フリーに転身しMCとしての能力を開花させたのが夏目三久だろう。日本テレビのアナウンサー時代にスキャンダルを報じられ、後に退社。一時テレビで見かけなくなったが、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)のMCに抜擢されると見事な復活を果たした。今ではバラエティ番組だけ留まらず、局アナ時代の経験をいかし情報、報道番組でも活躍している。局アナの頃から「負けず嫌いです」と公言しており、同性からの人気も高い。

 年末の大型番組で進行を完璧にこなす大物女性MCといえば女優の仲間由紀恵上戸彩だ。仲間は『NHK紅白歌合戦』、『日本レコード大賞』(TBS系)など日本を代表する大型番組の司会に抜擢されている。同じく紅白で司会を務めた中居正広は昨年7月に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)で「完璧だよね。仲間由紀恵の司会、半端ない」と告白。「何でこの人できるんだろう」と不思議に感じるほどだったという。また、「(仲間は女優だから)“司会役”をやっている」、「相づちとかも、完璧だよ。
間とかさ。すごかった。あそこまでできるのはおかしいもん」と評価していた。上戸も『M‐1グランプリ』(テレビ朝日系)や『日本レコード大賞』などの司会に起用されている。その姿を見ると仲間同様、まるで司会役を演じているようであり、見事な進行ぶりを披露している。

 テレビ番組に華を添えるだけでなく、的確な番組進行を行う上で女性MCの存在は必要不可欠だ。間もなく在京テレビ局の番組改編の時期を迎える。新たな名女性MCが誕生する番組はあるのか?今から楽しみである。(文:梶原誠司)
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