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8月26日に封切られた『君の名は。
新海監督は、『秒速5センチメートル』(07)で熱烈なファンを生み出し、アニメ好きには知られた存在であった。美しい風景描写には監督のもの作りに対する真摯な姿勢がひしひしと現れているし、作品に共通して流れる「距離や隔たりがありながらも、なんとかして届きたいと手を伸ばす」登場人物の姿も人々を惹きつけた。
『君の名は。』ではそのような“新海ワールド”を持ち続けながらも、感動と希望に満ちたラストなど、これまで以上にエンタテイメント性を突出させていたのが印象的だ。作品世界とマッチしたRADWIMPSの楽曲、声優陣の好演などヒットの要因と考えられるものも多いが、誰もがこれほどまでに膨れ上がるとは予想していなかったはず。まさに化け物級のヒットを成し遂げた今、次に新海監督が生み出すものに、大いに注目が集まる。 そして『君の名は。』の大ヒットにより、9月17日公開の『聲の形』、11月12日公開の『この世界の片隅に』には、公開前から良い風が吹いていたように思う。
『聲の形』は、大今良時によるベストセラーコミックを『けいおん!』で知られる京都アニメーションの山田尚子監督がアニメーション映画化したもの。原作からばっさりとカットしたエピソードもありながら、若者たちの葛藤、ひたむきな姿が突き刺さるなど山田監督の手腕が炸裂。興収は22億円を突破した。
『この世界の片隅に』は、こうの史代の原作を片渕須直監督が6年以上を費やして映画化した渾身作。主人公すずを演じたのんの柔らかで温かな演技も素晴らしく、戦時下の人々が同じように笑い、泣き、日々を生きていたことに胸が熱くなる傑作だ。
声援やコスプレOKの「応援上映」という形態が盛り上がったのも今年の特徴的な動きだ。とりわけ『KING OF PRISM by PrettyRhythm』略して『キンプリ』の応援上映は、異様な盛り上がりを見せた。驚きの統率力で歓声を上げ、サイリウムを振り、映画と観客が一体に!そこでしか体験できない、スペシャルな時間を生み出すことに成功した。
『キンプリ』の大成功を受け、ますます「応援上映」も広がりを見せるはず。