【関連】『逃げるは恥だが役に立つ』フォトギャラリー
新垣演じるみくりのドラマ最大の名言「愛情の搾取」(第10話)は、みくりの家事代行には、労働として賃金が発生していたのに、互いに恋愛感情が生まれると、星野演じる平匡が、結婚をすれば家事代行の費用が抑えられる、つまり、愛があれば家事は無償になると考えたことに反論した言葉だが、これには多くの主婦が共感。
さらに最終話の「夫が評価しなければ妻は誰からも評価されない。愛情は数値化されない」には、主婦から「涙が出てきた」「そーなんだよー!!!だから世の旦那さん方、奥さんに『ありがとう』をちゃんと言ってあげて下さい!!!」「最終回、必ず夫に見てもらいます」という叫び声がツイッターに溢れる中、男性からは、「心が痛くなりました。改めよう」と反省をするコメントも挙がってる。
一方で働く女性から多くの共感を得ているのは、石田ゆり子演じるみくりの叔母・土屋百合の名言。
――「私みたいなアラフィフ独身女だって、社会には必要で誰かに勇気を与えることはできる。『あの人が頑張っているなら、自分ももう少しやれるって。』今1人でいる子や1人で生きるのが怖いっていう若い女の子たちに、『ほら、あの人がいるじゃない?結構、楽しそうよ。』って思ってもらえたら、少しは安心できるでしょ。だから、私はカッコよく生きなきゃって思うのよ」(第9話)
――「私が虚しさを感じることがあるとすれば、あなたと同じように感じている女性がこの国にはたくさんいるということ。今あなたが価値が無いと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ。
そのほかに、専業主婦として一人娘の育児に励んでいたものの、旦那の浮気から離婚することになったやっさんこと田中安恵(真野恵里菜)や、帰国子女というマイノリティーを抱えて生きづらさを感じている百合の部下・堀内柚(山賀琴子)など、視聴者の多くが自分のことのように捉えられる登場人物が存在した。
胸キュンシーンの連続や「恋ダンス」で視聴者を釘付けにしておきながらも、実は「女性の生き方」という、今、社会でも散々問われている問題が本作の根底にある。『逃げ恥』の登場人物から語られた台詞は、女性がそれぞれの立場で普段モヤモヤと感じていた感情を代弁する形となって、ネット上に“『逃げ恥』名言集”としてブログやまとめサイトに多く残されているのだろう。(文:嶋田真己)