10月2日から放送スタートの連続テレビ小説『わろてんか』でヒロイン・藤岡てんを演じる女優・葵わかな。発表会見では、期待と不安を口にしていた彼女が、クランクインから3ヵ月が経った今の心境や、放送開始直前の率直な思いを語った。


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 葵にとって初めての朝ドラ。過去のヒロインたちも、撮影期間の長さやセリフの多さなど、ほかのドラマや映画とはまったくちがう現場であることを感想として述べていたが、葵も「とにかく展開が早いので、あっという間に終わってしまうんじゃないかなと思ってます」と苦笑い。

 「台本を読んだとき、てんちゃんはおおらかで楽天的な女の子で、ネガティブな自分とはかけ離れているなと思ったんです。なんでこんなに笑顔が光り輝く役を頂けたんだろう」と自身とてんを別のものとして構えてしまったという。

 しかし撮影が始まると、周囲が葵に対して大きなバックアップをしてくれたという。「(てんの夫となる藤吉を演じる)松坂桃李さんが『てんと藤吉の物話なのでなんでも相談してね』と言ってくださって、監督やスタッフさんともしっかり話ができるようになりました」。
 
 それからは次第に葵のなかで、てんと自身がリンクしていった。「最近は、わたしとてんちゃんが混ざってきたというか、切り離して考える方が難しくなってきました。撮影が始まって数ヵ月、すでに自分の年齢を超えて、経験したことのない人生を歩んでいるのですが、“初めて”をてんちゃんと一緒に経験しています」と目を輝かせる。

 それでも難しいことはある。「50代くらいまで演じるので、役の年と自分の年が重なっていく部分は大変ですね。この先例えば、てんちゃんが子どもを産んだり育てたりするとき、当然わたしは経験がないので、子どもの重さも泣く様子もわからないですし、おむつを替えた経験もありません。
短期間で自分が大人にならなくてはいけないのがとても大変です」と戸惑いも明かす。 朝ドラという「現場」を経験したからこその感情も沸いてきた。「初めての朝ドラなので撮影の様子が想像つかなかったので、実はプレッシャーも感じていなかったんです。でも撮影から少し経って、いろいろ見えてきて現実的になってきました。そこですべてを背負ってしまったら押しつぶされると感じたのですが、周りの方がとてもやさしく助けてくださったんです。そんな人たちにわたしはなにができるのか……そう考えたら、どんなことがあっても笑顔でいようと思ったんです。そこは成長できた部分なのかなって感じています」。

 また、朝ドラならではのメリットもあるという。「ドラマや映画だと“ちょっと足りなかったな”と気づいて、そのことを作品に活かすことができないのですが、朝ドラって挽回できるんです。発見や失敗を、その作品内でしっかり反映できる。気づきの毎日で、試行錯誤を繰り返しているとアッという間に時間が過ぎていきました」とクランクインからの日々を振り返る。

 撮影現場では、「毎日笑い過ぎというぐらい笑っています」と語った葵。
続けて「10ヵ月間限定の家族なのですが、共演者のファミリー感がすごいので、このまま悔いがないように全力で撮影に臨んでいきたいと思っています」と強い視線で誓っていた。(取材・文:磯部正和)

 連続テレビ小説『わろてんか』は、NHK総合にて10月2日より毎週月~土曜朝8時ほか放送。
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