【写真】勝海舟、キセルを手に未来を見据える
勝は、広範な知識と大胆な行動力を兼ね備えた幕末の傑物の一人。日本の将来を見据えて、徳川幕府から明治政府への橋渡し役を果たした人物である。
遠藤は開口一番「俺の場合、歴史に詳しくないんで…」と謙遜しつつ、「中学時代の同級生が、高校教師で歴史を担当しているんですよ。大河ドラマに出演するときは、必ずその同級生に話してもらって。『真田丸』でもそうでしたし、今回も明治維新の話を全部教えてもらって(笑)」と明かす。さらに「今回の大河ドラマの原作は、どうしても西郷さんが話の中心になるので、勝さんを話の中心にした小説を読んでます。そこで勝さんのキャラクターは勉強させてもらいました」と語った。
遠藤が思う勝海舟の人物像は「立場がどんな人だろうが基本的に対応が同じ人」。「人によって話す内容は違うと思うんだけど、人に向かう姿勢が変わらない、人に区別をつけない人」と分析し、“開けっぴろげな男”として演じているという。
そんな勝の“開けっぴろげ”なイメージは、日本史のターニングポイントのひとつとも言える“江戸城無血開城”のシーンにも表れているという。「『西郷どん』では、無血開城に到るまでの勝さんと西郷さんの交流も描かれているんですよね。そこでふと思ったのが、無血開城のシーンで正装したくないってことだったんです。
俳優として90年代以降、数々の大河ドラマに出演してきた遠藤。ほかのドラマにはない大河ドラマならではの醍醐味について聞いてみると「実は自分のやったことが『武蔵 MUSASHI』ぐらいからしか覚えてないんですよ」と意外な返答。
「きっと地に足がついてなかったと思うんですよね。セットひとつとっても、ものすごい能力を持った人たちが、下調べをして、想像力を働かせて渾身の力作を仕上げる。そこに照明も当たって、自分の目の前に独特の世界が現れちゃう。そこに浮ついた気分でひょいっと入っていっても地に足がつかない。“よしっ”て自分の中でスイッチを入れないと、セットの中のエネルギーに飲み込まれる」と、大河ドラマならではの緊張感を言葉にした。
西郷や龍馬といった幕末の傑物に、さまざまな影響を与えていく勝。演じる遠藤は「勝さんが言いたいこと。やりたいこと、勝さんの役目をちゃんとシーンに出るように、深く深く考えて練習して」と演じる役柄への敬意を忘れない。「練習して考える、練習して考えるの繰り返しですかね」と真剣な表情で語った(文:鈴木大志)。
NHK大河ドラマ『西郷どん』はNHK BSプレミアムにて毎週日曜18時、総合テレビにて20時放送。