【写真】粗品が登場、『R‐1ぐらんぷり2019』優勝者囲み会見の模様
■ 史上初の2冠も「心残り」を生んだ異例の勝利
粗品は、「R‐1」で2年連続2度目の決勝進出を果たすと、決勝1回戦Bブロックでは同じよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の大先輩・おいでやす小田と同点(6点)に並び、審査員の数で上回った者が勝ちという大会ルールにのっとり、1名の差で薄氷の勝利となった。続くファイナルステージでも、Aブロック勝者のセルライトスパ大須賀と同点(7点)。結果、審査員数が2名多く、初の栄誉をゲットした。
2007年にチュートリアル・徳井義実があと一歩まで迫りながらも達成できなかった「M‐1」との2冠だが、粗品にとって“完勝”とならなかったのは、無念の材料のようだ。審査員数が決め手となった異例の勝利に、「圧勝したほうがカッコよかった。なんか怪しいですよね。その怪しさを残してしまったのは心残り」と漏らした。しかし、ここまでの道程と「R‐1」への執念はホンモノだ。
■ 19歳で完成していた“高速フリップ芸”
「R‐1」に焦点を絞ったのは、高校3年生のとき。霜降り明星を結成する2年前だ。
今大会で披露した高速フリップネタの半分は、この『オールザッツ漫才2012』優勝時に完成していた。使用した手描きフリップ(ネタ)は、19歳のときにあまたの先輩芸人を大爆笑させたものだった。
■ 苦杯を舐め続けたR‐1をついに制覇 それでも口にしたのは“コンビ愛”
「R‐1」は2009年の第7回大会から出場している。12年が唯一の3回戦敗退で、11年と以降の13年から17年までは、準決勝まで駒を進めている。何度も苦杯をなめてきた。事前VTRで、「R‐1でした嫌な思いは、R‐1でしか仕返しできひんと思ってる。M‐1では優勝しましたけど、R‐1の恨みは晴らせてない」と語ったのも、納得できる。
高校生のときからすでに周囲から「天才」と呼ばれ、進学した同志社大学を中退してまで、お笑い一本に絞った。ピン芸人から漫才師に転向する際、仲間の多くは反対した。
しかし2人は、「第38回ABCお笑いグランプリ」、「第7回ytv漫才新人賞」、昨年末の「M‐1」で優勝。“偉才”粗品が見定めたせいやもまた、たしかな腕の持ち主だった。優勝直後、粗品は相方と電話で話している。「『めちゃくちゃおもろかったわ』と言われました。『M‐1で優勝したときより、俺はうれしかったわ』と。そんなヤツいます? 僕も気が引き締まる。早くせいやに会いたいですね」。粗品は、美しくも熱い相方愛を口にしている。そして、深夜にツイッターを更新。「R‐1優勝しました そんな僕より間違いなく面白いのが、せいやです 霜降り明星をよろしくお願いします」。
4月から2人は拠点を大阪から東京に移す。“霜降り無双”に拍車をかかるのは、確実だ。(文:伊藤雅奈子)