【写真】小柄な体にキュートな表情 岸井ゆきのフォト集
2009年、志田未来らが出演したドラマ『小公女セイラ』(TBS系)で女優デビューを果たした岸井は、その後、数々の映画、ドラマ、舞台で実力を磨き、2016年、『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)では松本潤演じる主人公・深山大翔に思いを寄せる自称シンガーソングライター・加奈子を好演。同年、NHK大河ドラマ『真田丸』では堺雅人演じる主人公・真田信繁の側室となる豊臣秀次の娘・たか役に抜てきされ、一躍注目を浴びる。
2017年には『おじいちゃん、死んじゃったって。』で長編映画初主演を務め、『まんぷく』が始まった2018年には、『99.9 -刑事専門弁護士‐ SEASON II』(TBS系)、『モンテ・クリスト伯‐華麗なる復讐‐』(フジテレビ系)、さらに映画『ここは退屈迎えに来て』など、立て続けに話題作に出演し、次世代を担う演技派女優として、その名を全国に知らしめた。今年もその勢いは止まらず、『大奥 最終章』(フジテレビ系)、『名探偵・明智小五郎』(テレビ朝日)に出演し、19日には、成田凌共演の最新主演映画『愛がなんだ』が公開された。
ざっくりとキャリアをたどってみたが、特に2016年以降の岸井の活躍は目を見張るものがある。外側から見ていると、「時代がようやく岸井の才能に気づき、各製作陣が彼女の争奪戦を繰り広げている」…そんなイメージすら沸き起こる超売れっ子ぶりだが、なぜこれほどまでに、観客を、視聴者を、そして製作者たちを虜(とりこ)にする存在になれたのか。先日行われた映画『愛がなんだ』のインタビューの語録をひも解いてみると、2つの理由が浮かび上がってきた。
1つは、あくまでも作品を際立たせる役者としての「スタンス」。どの出演作品を観ても、演技という「行為」を感じさせないくらいリアルで自然体。「憑依」と言えば大袈裟だし、「カメレオン」と言えばなんだか陳腐。
そしてもう1つは、郷に入れば郷に従う「順応性」。同作の今泉力哉監督が演技に対して何も指示を出さないことから不安に陥っていた岸井だが、「監督は現場のサプライズ感やライブ感を楽しんでいる」と直感した彼女は、自分が思う通りに演じてみることを決意。それに対して今泉監督がどう反応するか、というやり方を選択し、結果、テルコというキャラを伸び伸びと演じることができた。監督の思惑をいち早く汲み取り、演技に反映させる順応性は、作品によって全く違う岸井の魅力を引き出し、ひいては、メガホンを取った監督たちをも虜にする。引っ張りだこの要因は、そういうところにもあるのではないだろうか。
事務所の先輩・安藤サクラを「誰も真似できない、規格外の人」とリスペクトしながらも、その大きな背中を必死に追いかけ、進化し続ける役者・岸井ゆきの。これからの活躍にますます期待で胸が膨らむばかりだ。(文:坂田正樹)