【写真】透き通るような美しさ…比嘉愛未『ケイジとケンジ』インタビューショット
■ 「勝手に体が動いてしまう」脚本への信頼感
放送開始以来、回を重ねることに、比嘉演じるみなみのキャラクターは立体的になっているように感じられる。比嘉も、家族や友達から「面白い役をもらえてよかったね」などと好評だという。みなみというキャラクターが魅力的に映っているからこそ出てくる感想。かなりの手応えを感じているようだ。
そこには福田靖による脚本の魅力も大きいという。比嘉は過去にも『DOCTORS~最強の名医~』(テレビ朝日系)シリーズなどで、福田脚本を経験している。「毎回素晴らしいなと感じていたのですが、本作は読んでいるだけで、勝手に体が動いてしまうというか、どんどん想像力が湧いてきて『こうしてみたい』と自然に思えるんです」と明かす。さらに、桐谷や東出らと現場でセッションすることで、イメージが膨らんでいくという。
比嘉自身、出来上がった作品を観て「決して狙っているわけではないのですが、現場での雰囲気がいいので、ものまねなどいろいろとチャレンジしていますが、やりすぎていないかなと思うこともあります」と照れ笑い。そんな比嘉のチャレンジを桐谷らも「どんどん来い!」と頼もしく受け止めてくれているという。「自分がここまでかなと思っていた枠を壊してもらえるというか、こんなこともできるんだ、と新たな自分を発見できるので、とても楽しいんです」と目を輝かせる。
■ デビュー15年で役柄にも変化 新たなチャレンジに意欲
2005年に映画『ニライカナイからの手紙』でデビュー以来、女優として15年近くの歳月が流れた。その間にはNHK連続テレビ小説でのヒロインをはじめ、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)シリーズなど、映画やドラマの出演が途切れることなく続いている。そんななか、本作でのコミカルな役をはじめ、昨年はドラマ『TWO WEEKS』(カンテレ・フジテレビ系)で母親役を務めるなど、役柄にも変化が見られる。 「20代に築き上げてきた経験や出会いは、とてもありがたく、私にとっての大きな基礎になっていますが、30代に入ったとき一度まっさらにして、また一から新たなチャレンジをしていきたい、とマネージャーさんと話していたんです。いまはどんどんいろいろな役にチャレンジしたいという気持ちが強いです」。
実際、『TWO WEEKS』で演じた母親役も、演じる前は不安な部分も多かったというが「演じてみると『私にもこんなに母性があったのか』と感じられたんです」と新しい発見があったという。もともと役者という仕事に対して「資格があるわけでもなく、よく『役者とは何なのか』と考えるのですが、結局は答えが分からない」と胸中を明かすと「役によって何にでもなれるのが役者。自分を決めつけず、求めていただけるものに100%、200%で応えていきたいと思うようになったんです」と意欲を見せる。
■ “新人でもなくベテランでもない30代”だからこそ「柔軟でいたい」
求められるために「柔軟性を持つように心がけている」と語った比嘉。「30代って新人でもなく、ベテランでもない。周りの方からも、ある意味で悩まされる時期だとお聞きしますが、だからこそ、あまり凝り固まった意識を持たず、幅を持たせて柔軟でいたい。流されるのではなく、意志を持って流れていくような…」と理想形を表現すると「見せかけではごまかせなくなってきた年齢。
その意味で、本作は“柔軟性”が存分に発揮できる現場だという。「本当に感謝しかないです」と笑顔を見せ、「30代というのはどっちつかずで苦しい時期と言われていますが、いまはものすごく充実して楽しいです。特にこのドラマと出会えたことで『女優業はやめられないな』と感じられました。最後まで思う存分楽しもうと思っています」と作品への没頭を誓っていた。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)
ドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』はテレビ朝日系にて毎週木曜21時放送。